国家試験まであと2か月(2)

こんばんは。

今回も、国家試験まで残り2か月ということで、残り時間の過ごし方、気をつけるべきポイントについてお話ししたいと思います。

今回のテーマは、「自己分析」と「優先順位」です。

メッセージにて、「直前講座はどれを取ればいいのか?」や、「過去問以外には何をすればいいですか?」といった質問をしばしばいただきます。
その回答もこちらでさせていただきます。

残り時間は限られてくるわけで、毎日5時間頑張って勉強をしたとしても、残りは250時間程度しかないわけです。
過去問を1問解いて、その周辺知識を勉強するのに10分かかるとすると1500問、国家試験4年分弱しかできない計算になります。
(もちろん、スラスラ解ける瞬殺問題や、復習に時間があかかる長文問題もあるのであくまで概算です。)

いわゆる臓器別や、マイナー、産婦・小児、公衆衛生でまだ通しで勉強をしていない範囲があると、これらのインプットをしつつ、演習を重ねてアウトプットの練習をしたり、過去問の関連知識を詰めていけないので、かなり辛い状況です。

そこで、大事になってくるのは、分析と取捨選択です。

①いま自分は受験生全体のうち、どの位置にいるのか?
模試の成績、過去問の演習状況、頻出事項に関する知識量、過去問での得点率...
いろいろな視点から、自分の立ち位置がどのあたりなのかをまず考えましょう。
ある程度の余裕があれば、遊びに出かけたり、多少オーバーワークとなるようなもの(予想講座や研修医向けの本など)に取り組んでもよいでしょう。
逆に、模試などで成績が安定しない(本番であれば不合格となるような点数・偏差値をとってしまう)場合には、後で後悔しないよう、気合を入れて勉強していく必要があります。余計な勉強をしている暇はないです。

②いま自分に足りないものはなんなのか?
点数が伸び悩む人は、
・インプット不足:疾患の基礎知識や頻出事項を覚えていない。
・アウトプット不足:問題演習が足りていない。実際に知識をどう組み合わせたらいいのか、どこに着目をしたらいいのかがわかっていない。
・勉強時間の絶対的な不足:インプットもアウトプットも足りない、かなり厳しい状況。
の3つに大きく分けられます。
自分に足りないものを分析して、それに応じた勉強をする必要があります。
特に3番目であれば、残された時間は全員共通で、なおかつみんながそれなりに勉強をしてくるので、追い抜くためには相応の努力が必要になります。

③勉強の方法・手段はどうするのか?
ここが一番大事なステップです。

この時期になると、予想講座や冬季講習なるものが出てきたり、いろいろな人が予想問題を作成してきます。
しかしながら、国家試験の8割程度の問題は過去問(直近3年分+有名問題)を解いていれば正解できますし、さらに残りの20%のうち、15%ぐらいは過去問に出てきた内容を深めていれば得点可能となっています。
(残り5%はポリクリで偶然見ていたり、普段から自学自習を進めていないと厳しいため捨ててよい)
そう考えると、現時点で合格が危うい人たち:下位30%ぐらいの人たちは、出るかどうかもわからない予想問題(当アカウントの問題も含めて)を解く暇があるのであれば、まずは過去問3年分(ないし5年分)と、国試にて頻出の常識問題(臓器別テキストに掲載されているようなもの)をまずはしっかりと演習したほうがいいです。

こうした意味では、Medu4の国試究極MAPは基礎知識・頻出事項をさらうという意味で、成績下位層におすすめできると思います。
(すでに基礎ができている人には物足りないかもしれないですが)

新しい知識や、マニアックな知識は勉強していて面白いですが、実際に出題される可能性は極めて低いですし、出てもほとんどの人が解けず、差がつきません。
なにが出そうか予想するのも正しいですが、試験の範囲は莫大であり、よほど下調べをしていないと当てるのは至難の技です。
当アカウントでは、ここ2年間全国の卒試の問題を収集し、出題委員の専門分野/発表済論文と照らし合わせて問題を何百問も出してきましたが、的中したと自信をもって言えるのは50問程度しかありません。それだけ準備をして予想をしても、なかなか当たらないものなのです。
我々よりも遥かに国試対策に長けたプロの予備校講師ですら、それほど的中はできていません。沢山話した知識のうち、ほんのすこしがカスっただけなのに、的中!的中!と大騒ぎしているのが現実です。

ですから、予想にすがって1、2点を取るために時間をかけるのであれば、その分だけ過去問演習をしたほうが遥かにいいですし、友人とお喋りして、息抜きをしつつ知識の共有をした方が何倍も有意義です。

大手予備校・出版社などが出す予想講座は、すでにある程度勉強が仕上がっている人が、難しい問題にどう取り組むかの練習(消去法、病態からの考察、最近のTopicsの把握...)として用いるのがよいと思います。
難しい問題に慣れておくと、本番で焦りませんし、「テストのコツ」がわかると得点しやすくなります。

あわせて検討をすべき内容に、「どの分野を重点的にやるか」「なにから手をつけるか」という問題があります。
循環器、神経、感染症、小児・産婦、公衆衛生は出題数が多いため、これらを苦手に感じる場合は重点的に勉強を進めるべきでしょう。
とくに小児産婦と公衆衛生は苦手に思う学生が多い印象です。

さらに、国家試験では出やすい疾患、出にくい疾患というものが決まっています。
(こうした出やすい疾患を把握するためにも、最近の過去問はなるべく早いうちに一度は演習して傾向を抑えておく)

こうした出やすい分野・出やすい疾患から確認をしていくのが重要になってきます。
あれこれ手を出した挙句、「この問題どっかで見たな〜 でも忘れちゃって肝心の答えがどれかわからない...」という最悪の事態に陥るよりは、優先度をつけて、重要な順番に1つ1つ確実に覚えていくほうがいいです。

成績が伸び悩む人の中には、それは出ないでしょう...というマニアックな知識を覚えたり、そこまで覚える必要ないでしょう...というようなスコアリングの点数/項目までを必死に覚えようとして、ほかの重要知識が抜けているという残念なパターンがあります。


国試の本番では、休み時間にはスマホやタブレット、参考書を用いて勉強ができます。
このわずかな時間でも、いま自分に必要なものはなんなのか(公衆衛生の勉強、前のブロックでわからなかったこと・自信を持てなかったこと・気になったこと、苦手な分野の勉強、頻出事項の確認、必修の演習、栄養補給、睡眠...)を考えて行動するといいでしょう。
スケジュール通りに模試や国試の過去問を解く練習をして、シミュレーションをしておくと、本番当日を有意義に過ごせると思います。

だんだんと本番が迫ってきて、不安に思ったり、焦りを感じてしまう頃だと思います。
ですので、直前講座や予想問題にすがりたくなる思いもわかります。
ですが、残念なことに、そうした予想問題の類は国家試験の合否の瀬戸際にいるボーダーマンにとって本当に必要なものではなく、むしろ勉強時間を奪う毒になっていることも多いのです。
焦るとき、不安なときこそ、それが自分にとって本当に必要か考えて、取捨選択を大事にしていきましょう。


残り2か月、頑張りましょう。

みなさんの合格を応援しております。
必ずしもお返事できるというお約束はできませんが、ご相談をいただければ可能な限り対応します。
今後ともよろしくお願い申し上げます。




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