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#91 野球観戦

 しょうへいの夏休み最後のイベントは、プロ野球観戦だった。しょうへい・パパ・ママの観戦チケットは、ネットで早くからとってあった。当日は、しょうへいが一人で電車に乗り、大阪でパパやママと待ち合わせの予定だった。

 その数日前から、しょうへいとりかこは私の家に泊りがけで遊びに来ていた。野球観戦の前日に、妻がしょうへいに特急券を渡し、私たちは、当日は、名張発14:39の特急電車に一人で乗って大阪に行くことも確認した。その時しょうへいは、「一人で大丈夫。球場でジャイアンツの帽子やタオルも買う。」と元気に言っていた。

 当日の午後、私は、グローブやメガホンをリュックに入れた緊張気味のしょうへいと、名張駅のプラットホームまで一緒に行った。私が、「わからへんことがあったら、駅員さんや車掌さんに聞くんやで」というと、イライラした感じで「わかっている」と答えた。のどが渇くのか、しょうへいはしきりにペットボトルのお茶を飲んでいた。プラットホームで駅員さんに特急券を見せたら、電車の昇降場所まで案内してくれた。駅員さんが「最終駅だから、寝ていても、必ず車掌さんが起こしてくれるよ」とやさしく言ってくれたので、しょうへいは少し安心したようだった。特急電車は乗客の昇降が終わると間もなく出発した。

 大阪に着いた時、ママから電話があった。駅員さんの言うように寝ていたらすぐ大阪に着いたとのことだった。「ひとりで、電車に乗れたな。えらかったな~。次から、ひとりで大阪まで電車で行けるな?」とママが聞いたところ、「ひとりで行けると思うけど・・・」と少し不安げにしょうへいは答えた。 
 @家族 3

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