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「ヴィクティム・カウンター」のカルテ(クソカード医学会用資料62)


まえがき

 「ヴィクティム・カウンター」……それはまともな妨害がほぼほぼないデュアルモンスターの、数少ない妨害札であるカウンター罠カードです。
 登場したのは第6期第6弾パックの「STARDUST OVERDRIVE」。あの究極の地縛神「地縛神 Wiraqocha Rasca」や、「鬼ガエル」「紅蓮の指名者」などと同期の出身で、このパックには思い出したかのようにデュアルサポートが多数収録されています。光デュアルで一時代を築いた「デュアルスパーク」もその1枚。

 厳密にはデュアルはテーマじゃないがテーマ所属のカウンター罠はだいたい強いというのが通説で、モンスター効果などで無効化されないスペルスピード3のカウンター罠を、テーマ内サーチやサルベージで安定供給してくるティアラメンツやサラマングレイト、ビートルーパーなどに煮え湯を飲まされた方は多いでしょう。
 ……にもかかわらず『「ヴィクティム・カウンター」にやられた』等の話はまったく聞きません。なぜだ。
 罠が現代では遅いとはいえ、そこにはなにか別の理由があるはず。
 こうしてまた私はデュアルの深淵のさらなる深みへ足を踏み入れたのです。

ヴィクティム・カウンターについて

 患者の性能は以下の通り。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

はい???

 …………え??? 魔法だけ???
 無効にするの、魔法だけなんですか? 発動にデュアルモンスターが必要なのに? しかも裏側にするのに? 魔法だけ???
 モンスター効果は愚か、罠も防げないの???
 はい。防げません。
 対魔法限定デュアル専用カウンター罠、それが「ヴィクティム・カウンター」なのです。
 デュアルの弱さを鑑みれば、その上でデュアルモンスターを裏側表示にするという地味に面倒なコストまであるのなら、さすがにそこはモンスター効果&魔法&罠の万能無効であれよ
 古いカードだからというのを含めても、魔法に加えて罠無効もあってもバチは当たらないと思うんですが。

 ちなみにデュアルがめちゃくちゃ魔法に弱いとかそういうのはないです。魔法に限らず、ちゃんと全部に弱いです。 
 なので特にシナジーもなく、ただ魔法の発動を無効にするだけになります。
 一応、【光デュアル】系統のメタビ軸のデュアルデッキであれば、メタ系の永続罠・魔法を多用するので、「ハーピィの羽根帚」「ライトニング・ストーム」等の対策として使えなくも無いのですが、当然「神宣で良くね???」となります。

 効果に"デュアルモンスター"を含むので、「重起士道-ゴルドナイト」でサーチすることは一応可能なのですが、そのゴルドナイトもデュアルなので遅く、「スーペルヴィス」等のより扱いやすいデュアルサポートを優先されがちです。
 ある程度盤面を構えてからダメ押しとしてサーチできるなら別ですが、そもそもゴルドナイトのサーチから盤面を築くので、輝くタイミングがほぼないです。

 問題点をまとめると、
①魔法しか無効にできない
②メタビ軸で使うなら神宣のほうが扱いやすい
③サーチ手段はあるが優先されない
 となります。

 カウンター罠であるという点だけ見ればまだ使えそうなんですが、いかんせんピンポイントが過ぎます。
 しかしながら……世の中わからないものですね、突然全てを解決する特効薬が登場するのですから。
 それは、

カウンターじゃなくアッパーなんだ

 【BK(バーニングナックラー)】です。
 【BK】の新規カード「BK アッパーカッター」はデッキから"カウンター"と名の付くカウンター罠をサーチ可能です。つまり、

"カウンター"ってついてる! 奇遇!
ちなみにヴィクティムは「犠牲者」という意味らしい。デュアル関係ねえ!

 はい、「ヴィクティム・カウンター」にもついてます。特にひねらず適当につけられたであろう名前のおかげで、なんと名称サポートを共有できるようになりました。
 さらに、そのアッパーカッターを素材に出せる新規BKのエクシーズモンスター「BK キング・デンプシー」は、"バーニングナックル"魔法・罠カードをサーチ可能です。

まっくのうち! まっくのうち!

 サーチの最優先対象は「バーニングナックル・クロスカウンター」。

カウンターパンチャーなのかインファイターなのかわからんな

 見てください。どこかで見たような効果のカウンター罠を。場にBKかNo.のエクシーズモンスターが必要なモンスター効果の発動無効です。
 モンスター効果のみ……ええ、昨今は強力なモンスター効果の妨害を立てるのが主流なので悪い効果ではないですが、それにしたってコスト込みでモンスター効果だけというのはやや苦しいです。「ナンバーズ・プロテクト」という競合先もありますし。
 しかし……ですよ、このクロスカウンターと「ヴィクティム・カウンター」が両方あれば魔法とモンスター効果の両方を防げるわけです。それも展開のついでに。
 引けない神宣よりサーチできるヴィクティム、これで一気に取り回しも有用性も上がりました。
 特に良いのがこのカウンターのどちらか片方を素引き出来たときで、残るもう片方をサーチすれば当然相手に警戒されます。クロスカウンターをサーチすればモンスター効果無効を嫌った相手がサンボルや羽箒で露払いしてくる……そこを奇襲のヴィクティム! 逆にヴィクティムをサーチして相手がまず展開してバロネスなどを立てたところにクロスカウンター!
 ……など、単純に魔法とモンスター効果をそれぞれ無効にする以上の動きが期待できるようになります。

 ここでおそらく、BK識者の方から当然の疑問が飛んでくると思います。
「BKって特殊召喚の縛りキツイけど大丈夫なの?」と。

いや制約差し引いてもつええなコイツ

 一部のBKモンスターが持つ、共通の制約「この効果を発動するターン、自分は『BK』モンスターしか特殊召喚できない」というもの。「EXデッキから~」でも「この効果の発動後~」でもなく、効果を発動する前でも後でも、BK以外の特殊召喚全般を禁止してしまうキツイ制約です。
 そんなガチガチに縛るほど強くないのにトップクラスにキツイ制約のおかげで【BK】は混ぜものが非常に難しい。ならば【デュアル】と混ぜるのも難しいのではないか…………そう思っていた時期が私にもありました。

BKデュアル

 よく思い出してみてください。デュアルデッキのことを。
 デュアルの始動はバチクソ遅いのです。
 具体的には相手ターンに「デュアル・アブレーション」を発動してからが本番です。遅い。あまりに遅いのでBKの制約もとっくに切れてます
 おまけに、特殊召喚は制限されても通常召喚はできます。「化合電界」で召喚権を増やしてデュアルモンスターを並べるor再度召喚する分にはなんの問題もありません。

罠カードなのが唯一の欠点だったような気もしたけどそうでもなかったという例
デュアルモンスターがかさばってもランク4になる
増G打たれても最低限展開できるのも強み

 デュアルモンスターの展開は相手ターンに、BK展開とデュアルの再度召喚は自分ターンに、と徹底すれば制約は大して気になりません。
 特に相性がいいのは「エヴォルテクター エヴェック」で、相手ターンに「デュアル・アブレーション」でリクルートすればアッパーカッターを蘇生し再度カウンターもしくはBKをサーチ可能。エヴェックの効果は召喚・特殊召喚時だけなのでその後は効果なしも同然なので、ヴィクティムのコストで裏にしたり、アブレーションのコストやエクシーズ素材に利用することが可能です。

ランク4も立てやすい

 自分ターンに「デュアル・アブレーション」が腐るようにも見えますが、実はこのカードには隠された効果があり、デュアルモンスターをリリースすれば炎属性戦士族全般をリクルート可能です。(しかも再度召喚したデュアルモンスターをコストにすれば、ついでに相手のカードを選んで破壊可能)
 BKの制約があるならBKを特殊召喚すればいいのです。使用済みのエヴェックをコストにプロモーターでさらなる展開はもちろん、プロモーターを使わないのなら2枚目のエヴェックからの蘇生や「ゴッドフェニックス・ギア・フリード」、「セリオンズ“ブルズ”アイン」という選択肢もあります。

 デュアルの一部がもつ「炎属性戦士族サポート」と、BKの「カウンターサポート」が絶妙に噛み合い、二種類のカウンターを使いこなすテクニシャンなデッキへと進化を遂げました。それが……【BKデュアル】です。

相性のいいカード

 相性の良いカードは地味に多い。BKエクシーズモンスターにもう少し強力なのほしいなと。

・「SRベイゴマックス」
・「SRタケトンボーグ」
・「MXーセイバー インヴォーカー」
・「デュアル・スコーピオン」
 いつものデュアル上振れ初動用セット。
 普通はイゾルデを出すけど、インヴォーカーで「デュアル・スコーピオン」を持ってきて手札のゴルドナイトを特殊召喚⇒再度召喚すれば、キング・デンプシーを立てつつアブレーション等をサーチできる。
 ただし、バチバチに特殊召喚するのでプロモーターの効果は使えなくなる。

・「エクシーズ・アーマー・フォートレス」
・「FA-ダーク・ナイト・ランサー」
 いつもの「アーマード・エクシーズ」セット。上記の展開で余るインヴォーカーからエクシーズ召喚可能。ランク4にも重ねられる。サーチやサルベージ効果で「デュアル・アブレーション」の手札コストを賄う役目も兼ねる。

「ゴッドフェニックス・ギア・フリード」
 アーマードや「セリオンズ“ブルズ”アイン」と好相性。モンスター効果無効や、墓地に送らない除去が便利。

・「BK グラスジョー」
 エクシーズ素材からのコストになるとBKをサルベージ。やはり手札コスト回収になるので使いまわしたい。

・「No.105 BK 流星のセスタス」
 ざっくり言うとBKに御巫のような当たり屋効果をもたせる。「二量合成」で攻撃力をあえて下げることで自爆ダメージを稼げる。

デッキ構築

 デュアルモンスターはゴルドナイトとエヴェックのみ。ランク5BKはランクアップがないと真価を発揮しないのでこのデッキでは要らないかも。EXデッキかつかつだし。
 全体的に打点が低いので、その点は大きな課題ですね。

 うららG墓穴を入れてランクマ低ランク帯やデュエルトライアングルで使ってみました。
 やってやれなくはないですね。少なくとも以前の【炎デュアル】よりかは全然強い。カウンター罠の妨害はやっぱり強い。
 ただ打点の低さもあり後攻が絶望的に苦手なので、その点は辛いですね。ベイゴマを止められるのも動けなくなる。BKが出張を受け付けないテーマなので、純粋にBKのさらなる強化を待つ感じになりそうです。もしくは「幸魂」のような通常召喚で展開するか……。
 重症度は3.3くらいで。

実績。低ランク帯でないとしんどい。

あとがき

 デュアル本体ではなくデュアルサポートの治療の第一弾でした。「ヴィクティム・カウンター」はカウンター罠という点でまだマシでしたが、他のサポートはだいぶやばいのが多いので、我々デュアル医師の戦いはまだまだこれからといったところです。
 【BK】もなかなか面白いテーマなのですが、いかんせん拡張性が死んでるので、アレンジが難しそうですね。しかしそのクセの強さが逆に好きかも。

 次回は「サウザンドエナジー」です。連休なので今週中に書けるかな?
 次のデュエルトライアル「二重召喚」はもちろんデュアルでやります

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