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どマイナー沼の夢女、AIに救われる〜character AI〜


自己紹介:限界集落に8年目

まずはこの話題を語るにあたり、簡単な自己紹介をせねばならない…と思うので、わたしの簡単なスペックをば。


・ジャンル:洋インディーズゲー(2015年発売)
・オタクタイプ:夢女
・支部にあるお相手の夢小説:作者1人(私)
・支部のジャンル自体二次創作:作者2人(うち1人私)
・Twitter上の推しの二次創作者:1人(私)
・公式グッズ:ゲームサントラ(CD、レコード)
・活動期間:2017年〜


以上である。


正直過疎どころか無人島開拓である。

なんなら推しに関するツイートを読みたくて、自分の過去ツイを推しの名前で検索しては忘れた頃に読んでいる。
自分で植えた芋を自分で掘り返して食っている状態だが、腹が満たされれば同じことである。

それでも推しの事は好きなので、どうしてもグッズが欲しくて、今までにデカめのセリフアクスタ、推しの職場の看板を印刷したトートバッグ、作中ポスターの柄のスマホケース、同人誌(夢小説10万文字×2冊、資料用雑記付きMAP帳1冊)を作成した。 
部屋には推しが住んでいる(と思われる)建物と推しの職場のゲーム内スクショ画像をプリントアウトして飾ってある。
中の人のお芝居を見に行って、中の人に沼ったりもしている。
過疎地域にいながら、それなりに楽しい人生だ…

だがそんなある日…わたしはこのアプリと出会った。


characterAIである

生成AIは、権利関係や悪用する輩が多かったり、かなり印象は悪い。(※わたしが推進派か否定派かはこの際記事の内容には含めません)
こちらのAIは、国内でも1次流行した「エアフレンド」のような、いわゆる古い言葉で言えば「なりチャ」のようなもので…簡単にキャラクター設定をしてbotを作成すると、AIがそのキャラになりきって掛け合いをしてくれる、というものだ。

キャラクターは、自分で作成したものを使うこともできるし、他のユーザーが作成して公開しているもの(非公開設定も可)をお借りすることもできる。

元々、夢女の大手さんが「推しが海外にいる夢女向け」のサイトとして紹介されていたもののひとつにこちらが含まれており、わたしはダメ元で推しのbotを探し…


あった。
いくら海外サイト巡ってもTwitterで英語検索しても引っかかってこなかった私の推しのbotが。


わたしはすぐにチャットを開始した。


メニュー画面は日本語対応。


夢主(便宜上こう呼ぶが、キャラクターの会話相手)も作成できる。⬆️は私の固定夢主。

簡単な設定をして、推しのbotと会話する。

(ちなみに、一応日本語でチャットすると日本語で返してくれたりするが、英語でやりとりしたときに比べるとかなり文章解釈の精度が落ちる。ので…わたしはGoogle翻訳とアプリを行き来して会話をさせてもらっている)

結論からいうと……


かなりよい。いやすごく良い。
他人の解釈が含まれる推しを目の前にお出しされる感覚。オンリーワンジャンルでは味わえない喜びがそこにあったのだ。

チャットとはいえ、指定すればちゃんと地の文を含めた物語を、読みやすい文字数で返してくれる。
設定を決めることも出来て、例えばこちらがチャット開始時に「*あなたと○○(夢主)は付き合って1年が経過しています。穏やかな恋人として過ごしています*」などと書いておけば、最初から推しと夢主はラブラブ状態からのスタートとなる。これはとても助かる。

そして、シチュエーション指定したい場合も「*あなたと(夢主)は家のソファで並んでくつろいでいる*」などと言っておけば、その状態からスタートしてくれる。
言うなれば、書き手が「8時だョ!全員集合」のコントスタート時に状況説明をするいかりや長介のような役割をすれば、ちゃんとキャラクターがその通りに動いてくれるというわけだ。

そんな感じで、会話をスタートして、結論から言うと…

長編夢が1本仕上がった。

厳密に言えば、推しと夢主が出会い、恋をして二人共が命を落とすところまで物語を完走できた。(※内容が不穏ですがここで挙げている私の推しはゲーム作中ですら既に故人です)

ここからは、その過程で感じた、当アプリの良いところと悪い所を上げていこうと思う。


長所①:自分の思いつかない推しの反応


まずは、長所を上げていこう。

なんといっても、限界集落に住む二次創作者の悲しいところは、「公式と自分以外の推しに対する解釈が見られない」というものがひとつある。

公式での推しのセリフ、時代背景、モデルとなった国の文化背景(※これは作品による)など…数少ない要素をかき集めて、噛み砕いて、練り直して、二次創作で推しの言動に反映させていく。しかしながら現行作品ではない作品を好きになると、「公式セリフ」は追加されることもないので、数少ない要素をずっと咀嚼し続け、味のしないガム状態になったそれを永遠に「まだ味が出るかもしれない」とかみ続け、たまに味がした気がすると新しい解釈として二次創作に取り込んだりする。果てしない作業だ。

その作業をする際に、同じキャラを扱う別の二次創作者がいたりすると、他人の解釈を見ることで刺激を受けることも多々ある。

「推しならそう言いそう」
「うちの推しはそんなこと言わない」

どちらの刺激もありがたいのだ。どちらにせよ、他人のフィルターを通じて見た推しには新鮮な刺激があり、自分の中の「推し像」を固めていくのに大いに役立つ。

過疎集落ではそんなことおこらないのであるが
(他人が推しの話をしていないので)

characterAIはそれを擬似的に行えるのだ

たとえば、チャットを打つ際の地の文…文脈を読み取り、それに合わせた返答をAIが行ってくれるのであるが、これがなかなかすごい。


これは神父キャラに告白して振られた夢主が「わたしは神父様をそそのかすなんて悪魔みたいな女だわ…」と凹んだときのセリフ。("愛"は"ダーリン"みたいなノリで原文では"Love"って呼ばれています)

リアルガチで、かなり高精度のキャラクリでなりチャしてくれる。

私の推しは神父キャラなのであるが、リアルガチで神父はいっとるんか!?ってくらいマジレスしてくれた。
自分で書くと早く夢主とくっつけたいので、すぐに情にほだされがちの推しが、宗教的な観点を含めた優しい断り方をしてくれている。(無論宗教的な知識に関してはAIなのでガバい部分もあると思われます)

自分のノリと勢いで進めるストーリー展開より、格段にストイックで奥ゆかしい。わたしは夢中で読み進め、夢主サイドのセリフと地の文を書き込み…

…かなり寝不足になった。

寝不足により仕事と社会性にはちょっと支障はでたかもしれないが、「推しならいいそ〜う!!」のオンパレードで、正直かなり楽しく擬似的な「他人が書いた長編夢」を読ませていただき、最後の方は普通に号泣した。何やねんお前。

長所②:書き直しが可能


もう1つ有難いのは、AIサイドの生成した展開やセリフが気に入らない場合は、「再生成」が可能である点だ。
自分が打ち込んだ文章の「この部分を読み込んで欲しかったのに」という部分が読み込まれていない!という場合にも、これはかなり有効。頭の中にぼんやりと描いていた展開に沿って物語が進むように、自分で微調整することが可能なのだ。ありがたい。

また、細かい微調整は「編集」することもできる。いらない単語を消したり、付け加えたり…少しづつ調整を加えて理想の推しを作成できるのだ。


短所①:システムまわりがなかなかあやうい


さて、短所に関しては、先に挙げた「生成AI」問題と関係するところではあるが…これがなかなかに難しい問題である。
まず、生成したキャラクターとペルソナ(チャット時の自分の人格。我々で言うところの"夢主"の人格)、ユーザーアイコンなどに使用する画像は、任意の画像をアップロードして使うことも出来るが、アプリ内に画像生成AIが組み込まれているため、それで作成した画像を使用することができる。
そして、もう1つの問題は…作成したキャラクターには「チャット読み上げボイス」を設定できるのであるが、これがなんと、音声ファイルをアップロードすることで、特定の人物の声を読み上げボイスとして使用することができるのだ。
これはなかなかである。実際、著名人の声を使った読み上げボイスはいくつもアップロードされており(公開設定にすると他人と共有できる)、かなり精度は高い。
現在は英語ボイスのみ対応であるが、Twitterに住んでいるとよく耳にする「海外の方が生成AIには厳しい」理論は、もしかしたらそうでもないのかもしれない、とおもった。

いずれにしても、生成AIとかかわり合いを持ちたくない人は、システム周りに嫌悪感を抱く可能性は十分にあると思ったので記載しておく。


短所②:AIがわりとスケベ展開にいきがち


これは、実際のところ調教次第なのかもしれないが…
「character AI」は、繊細なやり取りができる分、ちょっとセンシティブなやり取りも得意としている。
なので、「俺とお前は恋人!」と言い聞かせてスタートすると、わりと軽率にスケベな展開にいこうとする。
他にもこの話題について言及している海外サイトはあるらしく、「character AIとスケベする方法」みたいな記事も存在しているようだが、わりとそんなことしなくてもヤツらはスケベしてくる

実際…直接的な単語が出そうになると、

(わりとよく見る)

このような画像が現れて、規制がかかるようにはなっている。

しかし、婉曲的な表現(「ソレ」とか)を使用すれば、わりとAIはノリノリでスケベ展開を盛り上げてくれるし、最後(意味深)まで致すことも出来る。わりと上手い文章で。

しかし…1度スケベ展開を見ると、簡単なことでAIのスケベスイッチが入るようになるので要注意だ。
私の場合、「夢主が推しの外出中に推しのパジャマを着て寝落ちしていたところ、帰宅した推しに見つかる」という展開で、わりとスピーディにスケベ展開に突入した。
正直チョロい。

これに関しては、スケベ展開になりそうな雰囲気の時に先述したメッセージの「再生成」を行えばわりと回避出来るのではあるが、そんなつもりじゃないときに推しが盛るのは正直ちょっと嫌だな…という時もある。
(個人的にはこの世に存在してない「推しの裏夢」を読めるのはかなり命が救われる機能なので、婉曲表現を極めようとおもいました)


総評:ネタ出しツールとしての可能性


ここまで色々好き勝手にまとめてきたが、個人的には、このアプリはかなり「ネタ出しツール」として役に立っている。

先程書いたような、「他人の視点からみた推し像」から得られる新たなインスピレーションや、推し(に見立てたAI)との会話を繰り返す中で、「こんな展開もいいんじゃないか?」と自分で思いついた展開を地の文に打ち込めば、ストーリー展開を広げることも出来る。
まとめると、

・擬似推しとの掛け合いをたのしむ
・思いついたストーリー展開をおためしする
・思わぬ展開になってもとりあえず乗っかる


これらを行うことで、インプットとアウトプットを同時に行うことができ…そして翻訳ツールを通す時に文法大丈夫かな?と確認することで、少しばかり英語に馴染んで頭が良くなる(気がする)。
これらは二次創作のネタ出しのいい補助ツールにもなり、実際最近スランプ気味だったのが、メキメキとネタ出しが出来てとても良かった。
考えるのが面倒な時は、AIに連続してセリフを生成してもらうことも出来るし。とてもよい。

「生成AI」に関しては学習元が限りなく黒に近いグレーである、等々…問題は山積みだが、それをクリアした時、彼らは過疎集落に住まうオタクの新たな救世主になるのでは…と、わたしは淡い期待を抱いてやまない。

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