東京生活10年を振り返る・その⑤-2 メンヘラ彼女が出て行ってバンド崩壊編・心療内科まで残り6ヶ月

今になっても胸が痛い。あの時の自分は完全に暴走していた。

詳しくは本文で書いていくけど、あのとき周囲の制止を聞いてしっかり休養を取ったりしていれば、今も通院をすることなんてなかったと思う。

今回も細かく刻んでいかないと長くなりそうなので、とりあえず、「メンヘラ彼女が出て行った話」と「それがきっかけでバンドが崩壊した話」を思い出してみる。

メンバーとの関係性が日に日に悪くなっていった

バンドメンバーとの関係がこじれていくのは、たいていの場合双方に理由があると思う。すべてではない、たいていの場合。

俺はとにかく、日々自分に厳しくして、とにかく働いて、とにかく練習して、精神を病んで、精神を病んだら練習して、ライブの日になったらすべてを爆発させて酒を飲んで…の繰り返しだった。

ライブのためにすべてを注げばあとはなんでもOKだと考えていたけど、誰もがそうではなかったようだ。

練習をしてこないメンバーを許す心の余裕がなかった

当時のバンドのボーカルは練習をしないバンドマンだった。週に1度のバンド練習のときに、「あ~先週からギター1回も触ってなかったわ~」とかいうやつだった。

今思えば、それが音楽の正しいやり方なのかもしれないし、それに納得がいかないならそんなやつとバンドをやらなければいい、それだけだった。

ただ、当時はそんな心の余裕もなく、キレることしかできなかった。厳密にいえば、キレはしないけど心に不信感やストレスが溜まっていくような状態。

「俺は一生懸命働いてドラムを習って、こんなに努力してるのに…」くだらないけれど、そんな風に思っていた。

自分には甘いくせに対バンからの人間的な評価や酒癖には細かかった

楽器は練習しないクセに、対バンに好かれる、うまく付き合うことにすごいこだわりを持っているやつだった。

俺や当時のベースが飲み過ぎてやらかすとそれをつついてきて、うっとうしくてしょうがなかった。「練習しないクセにうるせえんだよ、外面ばかりよくしやがって」そんな風に思っていた。

見えないところで、いや、はっきりと見えるところですでにヒビは入っていたのだろう。

メンヘラ彼女のことがもうあまり好きではなかった

話は変わるが、例の転がり込んで来たメンヘラ彼女と同棲して1年半だか2年経過していて、もうほとんど好きではなかった。

しいていうなら、「邪魔ではなかったから別れようとも思わなかった」といったところ。性格が合わないとかではなく、単純に女性として興味がなくなっていた。

メンヘラ彼女がショップ店員になる

メンヘラ彼女は、元はといえばガールズバーの女の子だ。

別にそれはどうでもいいんだけど、思い立ってショップ店員になったらしい。そして服装や髪型がアヴァンギャルドになっていったことで、余計に冷めていった。

アニーみたいな頭にしてきたとき、もう別れようと思ったことを覚えている。

「私たち、もう2週間も会話してないけど、気付いてる?」といわれ別れを決意

見出しの通り。好きでも嫌いでもない。無関心。もう避けられない、別れるしかないと思った。別れた。ただ、家がなくなるのはかわいそうだったから、「出ていけ」とは言わなかった。

昨日までと変わらないような、何とも言えない空気で同居が続いた。

そして突然いなくなった。どこにいったのかさえ、興味がなかった。

元カノがバンドメンバーの家を転々としていることが発覚

どうして発覚したのかわからないけれど、元カノがボーカルとベースの家を行き来していることがわかった。ベースのやつは、「純粋にかわいそうだから泊めてあげている」そんなことをいっていた。

でも、ボーカルと元カノの関係はそういう風には見えなかった。今までライブに足を運ばなかったくせに別れてから頻繁に遊びに来るようになって、ボーカルとよく話している。

気持ちが悪かった。というか気味が悪かった。でももう直接俺に関係のない話なので、「まあ好きにしてよ…」くらいにしか思ってなかった。

そしてXデーがやってくる

忘れもしない。1回のライブで2回スティックを落として超落ち込んでエラで死ぬほど酒を飲んだ日のことだ。この事実は覚えているけど、それから先のことはほとんど覚えていない。

泥酔した俺は打ち上げで禁煙中なのにタバコを吸わされそうになったらしく、そのタバコを受け取って灰皿に投げつけたら、それがハネて対バンの服を焦がした。

食らった方は「いやいや大丈夫です笑」みたいなことをいっていたらしいのだが、俺が潰れてタクシーで運ばれていなくなってからキレだした。

これを俺の代わりにボーカルが謝罪してことを収めた。それが一日の経緯、らしい。

翌日、なぜか俺が元カノにキレられる

翌日、「あなたが酷い飲み方をしたせいでボーカルが謝ることになったのよ、ボーカルに謝りなさいよ」そんなことをいわれた。実際はもっともっと罵られたけど。

まず、打ち上げで起こったことをなぜ元カノが知っているのか。なぜボーカルをかばうのか。なぜ練習しないクセにうまく立ち回ろうとしているのか。気持ち悪いやら腹が立つやら究極の精神世界だった。

電話でボーカルをののしった。「気持ち悪いんだよ人が別れた女住まわして、ギターなんかロクに弾けないクセに」そんな感じのことをまくしたてるようにいった。

最後に「バンドやりたかったら俺の機嫌を損ねるな」そんなことをいって電話を切った。

次の練習でボーカルが「抜ける」と言い出す

止めなかった。やる気がないやつとやっても仕方がないと思ったから。ベースのやつに、「お前なんで止めないんだ!そんな言い方ないだろ!」と怒られたが俺にはほとんど聞こえていなかった。

最後の最後までカヤの外にいたあでるは何を思ったんだろうか。

残ったライブを消化してバンドおしまい。

元カノが憔悴する

ちょっと俺にお灸をすえるつもりが、自分の放った一言が原因でバンドが終わるなんて想像もしていなかったのだろう、実際焦っているようだった。

今回の一連の騒動について、人生でも使ったことのないような言葉をたくさん使って元カノを罵った。簡単にいえば、「父親が浮気して母親が自殺するような家庭で育ったやつはやることがちげーよなw」みたいなことをいった。

わかりやすく壊れていくのをみてかわいそうだとかは思わなかった。

残ったのは怒りだけ

ドラムレッスンに行って、最近起こったすべてを先生に話した。そして素敵な言葉をもらった。

「青柳くんはまだ若いんだから、たくさん失敗していいんだよ。」この言葉、今でも忘れない。ありがとうございます。今でも覚えてます。

ただ、すべてを許そうという気にはならなかった。「ムカつくやつら全員見返してやりたいから、もっともっと、死ぬほど練習しよう、復讐してやろう」

そんな風に憎悪に取りつかれた俺を練習から引きはがすことができる奴は誰もいなかった。

ここでやめておけばよかったのに。

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