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ピアノをはじめた頃の話

もうかれこれ30年以上ピアノを弾いていることになるのですが、最初からピアノが好きで始めたというわけではありませんでした。
そもそもピアノを始めたのも小学2年生のとき。ちゃんとしたピアノを習うという意味ではどちらかというと遅い方かもしれません。
子どものいなかった伯母が、わざわざ自分たち兄妹のためにピアノを買ってくれたこともあり、その流れでなんとなく習うことになったのがきっかけだったかと思います。親にしてみれば音大に行かせるとか本格的にピアノを習わせるとか、そんなつもりはまったくなかったと思います。

通っていた教室の先生も、ガツガツした先生ではなかったし、そんな親の意向もあったからか、細かいことは求められず、結構ゆるい感じのレッスンでした。とはいえ、ピアノだけでなく、楽譜の読み書きや音の取り方とか、基本的なことは一通り教えてくれました。

音楽は嫌いではなかったのですが、練習曲もあまり面白くなく、面倒臭くて、ほぼ一夜漬け。レッスンに通うのも面倒臭くて、どちらかというと、レッスン室にある漫画を読みたくて通っていたような感じでした。
けれども、テレビアニメやゲームの音楽や、テレビで流れるクラシックの有名な曲には興味があって、気に入った曲を弾いてみたいと思うようになりました。で、最初は自分でお小遣いを貯めて楽譜を買って、先生に内緒で練習をするような感じでした。
そのうち、楽譜のない曲は、耳で音を取って弾いてみたり、そんなことをするようになりました。まだコードネームも知らない頃の話です。
そんな風にして弾こうとした曲は大概、練習曲よりは難しいレベルの曲が多かったので、結果的に練習曲の方が譜面ヅラも簡単で、一夜漬けでも弾けてしまってたんですね。

この音楽はなぜかっこよく聞こえるのか、とか、この響き好きやけど、どう弾いたらいいんだろうか、とか、そんなことにばかり興味がありました。そしてそれを手探りで弾いてみて、見つけた時の感動がまた次の好奇心をくすぐって、みたいな時期でした。
おそらくその後に作曲や編曲に興味を持っていく土台のようなものがこの頃に築かれていたんだと思います。音楽理論を感覚的に理解していくような感じです。

先生もそれを知ってたのか知らなかったのか、あまりうるさく言われることはなかったんですけど、自分としては、もうレッスンに通う意味もないよなーと感じたりもしたのか、いよいよもってレッスンに通うのも億劫になってきて、結局小6で一旦レッスンに通うのは止めることになりました。

自分のような辿り方をした人は、あまり多くないのかもしれません。
なにが良かったのかはわかりませんが、少なくとも強制されずに放牧されたことが自分にとっては良かったんだと思います。放牧といってもほったらかしではなくて、知りたいと思った時に知ることができるツールがあったり、知るために必要な最低限の知識は教えてくれていたことが良かったなと思います。
あとは、興味と好奇心が深まれば、なんとなく自分で自分にあった方法や自分に必要なものを選んでいけるようになるのではないかと、思います。

実際、自分はその後「ああ、これ以上の独学は無理だな」と思い、高校生の時に再びレッスンに通うようになったのでした。今度は全くの自分の意志で、です。

そんなことを思い起こしながら、教える側でできることって、実は案外ぎゅっと凝縮された、エッセンスのような、ほんのわずかなものなのかもしれないな、と思うのです。

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