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黎の軌跡2をクリアしたので感想文を書いたぞ!!!(※ネタバレ全開)

 まず最初に言っておかなければならない。

  ゲネシスの外殻マジ万能すぎるだろ!!!

 外殻ですよ? ガワです。ガワだけで異世界から魔物を召喚したり不思議なチカラが使えるようになったりするんですよ。おかしいだろ! それはガワだぞ!! しかもガワのイチ部分だぞ!!! ガワだけであれだけの性能があるならネジ1本でビルを爆破したり街を消滅させたりできそうじゃん! インフレどころの話じゃねぇよ。ストーリーの間に合わせ感が半端ないの。とりあえず発売しないと利益にならないからね。前作の熱が冷めないうちに前作のキャラを使った続編を作っておこうみたいなやっつけ感が尋常じゃない。せめてもうちょっとまともな話を作ってくれよ。これじゃ逆に興醒めだよ。

 前作はまだ全然よかったよ。シリーズ第一作目でカルバード編の導入として機能しつつ上手にまとまった良作だったと言えるだろう。でも今作はダメだろ。なんつーの? ストーリーがゲネシスに頼りすぎなんだよ。安直すぎる。作中でキャラが漏らしてたけど「なんでもアリ」になっちゃってるんだよ。なんでもアリならゲネシスを集めるっていう大義名分が吹っ飛んじゃうよ。これほんとに前作とおなじスタッフで作ったのか疑いたくなるくらいストーリーがヤバい。

 ストーリーの序盤はエレインからの4spgで始まるんだけど、それだけ。前作は裏解決屋として依頼を受けて行動していくってスタイルだったのに、今作は4spgとメインストーリーが完全に分離してるの。裏解決屋である必要がないの。4spgがただのサブクエストになっちゃってるの。白でもない黒でもない、微妙な機微の人間模様が全然えがかれてないのね。ただスウィンとナーディアを登場させたかっただけ。あるいは次作以降にルーファスを登場させる布石を打ちたかっただけかもしれない。中身スカスカなの。シリーズのストーリーが全く進んでないの。なんなのコレ? ただのファンディスクじゃん。

 あとね、軌跡シリーズは閃4くらいから軽々にひとを操りすぎ。なんかよくわかんない不思議なチカラで意思を歪められておかしなことをしでかしちゃう~みたいな展開が多すぎる。大丈夫か? 軌跡シリーズは登場人物の多さと、ひとりひとりにドラマがあることが売りだったのに、今作はペラペラの妄想ドラマみたいになっちゃってるの。ひとを操ることが習い性になってしまっている嫌いがある。そうじゃねぇだろ。個人として付き合えばいいやつだけど立場が違うがゆえに争わなければならないとか、義に背き道理を外れてでも貫きたい信条があるからこそ戦う道を選んだりとか、そういう人間としてのドラマがめっきり影をひそめてしまった。アリオスを思い出せ。イアン先生を思い出せ。紛うことなき善人の彼らが悪と罵られる覚悟で行動した悲壮な決意を思い出せ。

 アリオスとイアン先生で思い出したけど、D∴G教団いまだに引きずってくるのいい加減ヤメろ。あれはもう終わったんだよ。零と碧で終わったの。おなじ話を何度も繰り返すんじゃない。わかりやすい、だれもが悪だと断言し、躊躇なくブッ倒しても心が痛まない敵役を便利に使い倒しすぎ。それしかないのか。ワンパターンと謗られても文句は言えんだろ。そも第3部のラストみたいな形で歴史上の人物を登場させるならせめて劇中で当該人物の足跡を追わせるような描写は必要でしょ。それすら怠っていきなりオーギュストとかいうちらっと聞いたことがあるくらいの人物を唐突にしれっと登場させるのは拙いとしか言いようがない。黎2のお話はカルバードの歴史の物語にしなければならなかった。

 それからね、巻き戻り。リゼロでいう死に戻りってやつだね。あの不可思議な異常事態をだれも憂慮してないの。スウィンが唯一ちょっと気にかけてたくらい。それがなにをトリガーにどんな条件で発生するか、謎なままストーリーが進んでいくの。都合よく死に戻りが発生してくれるからストーリーが進むものの、それがどんな機序でどうして発生するのかまったく解明されてないの。第1部のBパート(スウィン、ナーディア、エレイン組)なんて、ヴァンもアニエスもいないのになんであんな都合よく死に戻りが発生するの? 謎すぎる。ゲネシスがアニエスに紐づいて起動するっていう前作の前提条件はどこ行った?

 いやね、ファンディスクならファンディスクで別にいいんだよ。創の軌跡みたくしっかり作りこんでくれれば充分に楽しめたと思うよ。でも今作はダメだな。前作ではメインコンテンツですらあったLGCアライメントも完全にサブコンテンツと化している。LGCアライメントの選択肢がガチでサブクエストでしか発生しないの。物語になにも影響しない。どうしてこうなった?

 ファンディスクだとしたらもうちょっとキャラの深堀りもできそうなもんだけど中途半端に物語を進行させようとした結果、話も進まずキャラも置物になってしまっている。フェリとカトルとジュディスが完全に空気。前作でもあまり目立つキャラじゃなかったけど、ここまで存在感が薄まることもなかったよね。シズナとルネがぐいぐい前に出てくるタイプのキャラだから物語の中核に携わらないメンバーはただいるだけみたいになっちゃってる。アニエスは物語のど真ん中の存在だしキャラとしても強いよね。アーロンはあのイキった毒舌で前面に出てくるし、リゼットも万能すぎて存在感の強いキャラ。つまり解決事務所のメンバーは主人公のヴァンとアニエスとアーロンとリゼットだけで足りちゃうんだよね。カトルなんてあんな大仰に天使化までしたのに最後まで空気だもん。逆に可哀想。まぁカトルとジュディスはポリコレに染まってるから前に出てこられても困るけど。カトルはネット配信のアイドルでおk。要するにキャラを増やしすぎて収拾がついてない状態に陥っているのね。閃とおなじ轍を踏んでしまっている。パーティーメンバーは前作くらいの規模で抑えるべきなんだよ。空と零を思い出せ。

 途中で挿入される3Dモデルのアニメーションはすごく進化したと思うけど、本当に限られたシーンでしか使われてないのも残念。まぁ予算の問題とかもあるだろうから無理は言えないけどね。とにかくストーリーが無茶苦茶だった。ヴァンタイユ地区のシーンでガーデンマスターの彼が「時は至った!」とか叫んでたけど巻き戻っていくつか条件が消えとるのになんの時が至るんだよって思っちゃった。2回クリアしてもわかんねぇよ。第3部の最後で「あり得ない因果を紡ぐことで時空を不安定にする」とか言ってたけど正直「ハァ?」って感じでしかなかった。あの3日間で起きた事件は「あり得ない因果」じゃないでしょ。「あり得たかもしれない因果」じゃん。なんでそれで時空が不安定になるんだよ。さっぱりわからん。

 あと巻き戻りが起こってるのにゲネシスが手元に残る理由もわからんし、あの破滅現象が発生する理由もわからん。因子ってなんなんだよ。だいたい巻き戻りが起きるならどうやってもデンマスの彼(ガーデンマスター)の目的は叶わないでしょ。語彙が少ないなどと揶揄されてるが、そういうレベルではない。そもそも物語の平仄が合っていないのだ。

 とにかくね、軌跡シリーズは劇中で実験しすぎ。なんで実戦で実験するんだよ。ちゃんと実験してから実戦に臨めよ。試しとか実験とか仕込みとかさ、学校の課外授業かよ。実験を戦う理由に使うな。然るべき理由がないなら戦うな。戦うなら相応の理由を用意しろ。殺しにせよ戦争にせよ必要でしょ、大義名分。なんでこんな薄っぺらい話になっちゃうかってもう答えはわかりきってるんだよね。今作(今作に限らない。閃もそうだった)の物語には「中間がない」ケースがあまりにも多すぎるからだ。

 登場人物を端役で終わらせず敵であれ味方であれ登場させている。そのうえでなにか事件を起こさせて、後から辻褄を合わせている。だから話が薄っぺらくなる。あのね、なにか事件が起きる場合、その事件を起こした人物には背景があるの。歴史があるの。生活の足跡があるの。「軌跡」ってそういう意味なんじゃないの? 事件が起きうる動機や理由だけを用意したって事件は起こらないの。それが発生するまでの過程でトラブルが起きてたいてい頓挫するの。それらの障害を突破できた場合のみ事件になるのね。たくさんのひとを巻き込む必要が出てくるし、当然それだけの行動力と実行力が必要になる。そういったコンテクストをショートカットして事件だけを起こして辻褄を合わせるための動機や原因を悪いアイツに押し付ける。そんなやり方で面白い話ができるわけないだろ。いいか、この話を作ったやつ。俺たちは結果だけを見たいわけじゃないんだ。「中間」を見たいんだよ。ひとがたくさんいればひとの数だけ背景がある、歴史がある、生活があるんだよ。登場人物と事件発生の間にあるものを省略して、事件発生から解決の顛末までしか描いてないからこうなる。

 今作で言うなら記憶の改変がまさにそれ。記憶を改変する → 結果と過程に矛盾が生じる、みたいな話にしてるけど、ひとの記憶ってデータみたいに簡単に書き換えられるものじゃないでしょ。生活のなかでゆっくりと涵養される記憶を都合よく細部に渡って改竄するとか無理がありすぎる。その無理を通したいなら「無理の中身」をユーザーが納得する形で描写しなければならない。ポンっとはい変わりました~みたいな展開じゃあ興が削がれても仕様がないでしょうよ。ユーザーと共有してない前提をベースに話を進めるな。

 総じてストーリーはなんていうかテイルズオブゼスティリアの追加ストーリーみたいな印象だね。小難しい言い回しで煙に巻いてキャラの優秀さを際立たせようとしているのが見え見え。複文を使わないから薄ら寒くて空々しいの。

 いろいろ不平不満を噴出させてしまったけど、ゲームとしては楽しかったよ。前作のシステムを堅実に進化させつつ快適性をあげる努力を惜しみなく投入した成果を見て取ることができたのはよかったと思う。なにより評価したいのはロード時間の短縮。前作(というか過去作)みたいに場面と場面の転換でいちいちロードが入るような要素を可能な限り排除してるのは素直に称賛したい。別のマップでのワンシーンを挿入する場面も無用なロードを避けるために挿絵にしてるのもグッド。回想シーンでキャラが別マップで二言三言しゃべるだけでロードが入ってまたロードが入って元のマップに戻る、みたいなのがなくなってたのは本当にうれしかった。前作の感想文でも書いたこうしてほしいってところが改善されてたのは拍手を送りたいくらい。

 前作のシステムをブラッシュアップしてストレス軽減を図る努力を惜しまなかった点は評価に値する。戦闘もね、フィールドバトルからコマンドバトルに切り替える仕組みはそのままに、単調になりがちなフィールドバトルに追加要素を入れることでいろいろ遊べるようになったし、コマンドバトルのEXチェインも雑魚戦ではめちゃ使えて楽しかった。EXチェインをスキップできないだけなんとかしてほしかったけど。メルヒェンガルテンはいいシステムだよね。クリアしても無理なく遊ばせることができるし、次回作以降でもきっと登場すると思う。もう少し遊べる仕組みにしてほしいけどね。

 今作は前作のデータを引き継いでるのにさも当然のようにオーブメントのスロットが空いてなかったりクオーツがなかったりするのが謎だったけど、ゲームなので仕様がない。しかし序中盤はかなり苦しかった。キャラが増えたのにセピスが全然ないの。クオーツも足りなくてギリギリの状態で四苦八苦しながら戦うのは骨が折れた。中盤で黒耀珠っていうクオーツが手に入る(真面目にフィールドバトルしてればね)んだけど、これが手に入ってからアニエスが化ける。それまでただのヒーラーとしてしか機能しなかったアニエスがようやく活躍できると思って勢い勇んでクオーツをそろえたよ。全然やりこんでないけどステを見る限り今作もアニエスが最強キャラだと思う。

 中盤以降EXチェインを覚えてヘイズルーンもゲットできるとアーロンがかなり化ける。遅延効果のある低燃費クラフトの烈火斬が猛威を振るうんだけど、そのころにはアニエスがデュアルアーツなる2属性混成アーツを使えるようになってて、さらにクインテットというアーツドライバも入手すると物理キャラはほぼ無用の長物と化す。物理キャラだとSクラフトを使って全体でようやく数万くらいのダメージなのに、リンドバウム、ヴォルグリフ、ローレライをつけてATSをガン盛りしたアニエスにアーツを使わせるだけで数十万くらいダメ出せるのマジで楽しかった。終盤は物理キャラももう少しダメ出せるけどね。CPと違ってEPはカタラクトゲインで全回収できるから最強アーツ使い放題で楽しかった。余談ではあるが、金耀珠+省EP3+省EP2を組み合わせるとすべてのアーツの消費EPがゼロになるのね。メニューからの回復も消費ゼロで行えるのでめちゃくちゃ楽になる(クイックアーツだけはなぜかデフォの消費量だが)。さらにロレイでブーストして消費EP150%状態にしてもゼロのまま。ゼロ×1.5=ゼロなのでロレイで無双状態になる。楽しい。カタラクトゲイン要らず。駆動時間はどう組み合わせてもゼロにはならないらしい。残念。

 今作はCPの取り回しがすごくキツいのね。ヴァンもアニエスも使えない第一部Bパートが本当に苦しくて、特にこのパートのボス戦(狼男みたいなのの群れ)は都合3回も戦わなといけないうえにその都度増援を呼ばれるのでSクラフトで一掃するみたいな安易な戦い方ができないのマジでキツかった。このボス本当にエグくて、最初の4体を倒すと5体が増援として現れるんだけど、最初の4体もクッソ強くて、自己バフ+クイックを多用しながらHP吸収技も多用してくるので全然倒せないの。Sクラフトを使わずに最初の4体を倒し切るのはかなり運が絡んでくるのすごい厳しかった。エレインのローエングリンの遅延が入らないとで普通に負けるので何回もやり直すハメになったよ。

 ともあれ、今作は前作みたいにバーストゲインでCP管理をするみたいな戦い方が封殺されてて、おまけにCP自動回復装備もゲーム内ではひとつしか手に入らない(前作のデータを引き継ぎすると強力なアイテムが手に入るが)のでクラフトメインで戦うのはとっても厳しかった。閃とか創はCPの回収手段が豊富にあったのに黎は全然ないのね。アーツで戦えって言われているようなもん。セキトバを装備したヴァンだけはCPに困らないけど、1回のブーストで1回しかSクラフトが使えない仕様はよくねぇよなぁと思う。Sクラフトほとんど使わずゲームをクリアしてしまった。

 あとホロウコアね。これも改善してほしい。ブーストしないと無意味なのにブーストゲージが3つしかなくて、Sクラフトを使わないと増えないのにSクラフトを自由に使えない所為で、ほとんどのホロウコアが死んでしまっている。前シリーズのマスタークオーツみたいにセットするだけで機能する仕組みを避けたかったのかもしれないけど、せめてさ、非ブースト状態で50%、ブースト状態で100%、フルブーストで150%みたいな性能にしてくれないとホロウコアが完全な死にコンテンツになっちゃってるんだよね。ブーストするのタンクのヴァン(メア)とアーツアタッカーのアニエス(ロレイ)だけだもん。

 ラスボス戦は面白かったね。途中でいきなり展開していたシャードを解除されるとは予想できなくて普通にびっくりしちゃった。「え? え? うぇ?」みたいな感じでおろおろしているうちにボコボコにされて結構ヤバかった。最終戦だからと回避用のサブウェポンを装備してなくてぜんぜん回避できないの。おまけに途中でOptionボタンを押してもメニューを開けなくて回復もできず「死ぬ! 死ぬ!」ってやりながら戦ってたの楽しかった。ああいう趣向はいいよね。次作以降でもぜひ工夫を凝らしてほしい。フィールドバトル中でも回復できる要素がなにか欲しかったかな。ラスボスを倒し切る際の演出も面白かった。こういうのはどんどんやってほしい。

 というところでキャラの使用感を述べていこう。今作はキャラが多すぎてあんまり使い込んでないからテキトーだぞ。

・ヴァン

 主人公、タンク、アタッカー。HPとATKが高い。黎の戦闘において中核キャラクターといえる。今作ではグレンデル化してもちゃんとヘイトアップクラフトを持っているし、苦労して作ったシャードスキルもしっかり発動するのでグレンデルが純粋に強い。ただ、限定的に使えるグレンデル化クラフトははっきり言ってまったく使えない。3ターンでグレンデル化が解除されてしまうのは仕方がないとして、ヘイトアップ効果まで一緒に解除されてしまうのでヘイト管理ができない。よってずっとグレンデルかずっとヴァンかの2択になってしまう。

 今作のコインバレットは単体ではそれほど鬼性能ではなく、ヘイトアップ効果も高くないのでクオーツ"美臭"と併用することで真価を発揮する。ヴァンがすべての攻撃を受け持ってくれるので非常に戦いやすいが、今作のボス敵はわりと全体攻撃を多用してくるので過信はできない。あと、今作は敵の攻撃がめっぽう痛い。ヴァンにタンクをやらせてバーストゲインで回復するみたいな戦い方ではやや厳しい。アイギスシールドも一撃で解除されてしまうのであまり役に立たず、補助をするならラ・クレストとイデアルフォースで物魔双方の防御を底上げしてないとタンクであるヴァンが沈んでしまい戦線が崩壊するという事態がままあった。アイギスシールドの上位互換アーツは用意してほしかった。

 攻撃力もそこそこ高くてスロットの配色も役割と合致しているので非常に使いやすい強キャラ。ヴァンがいないパートは戦闘がめちゃキツい。それくらい重要なキャラ。コインバレットはバグなのか仕様なのかは不明だがセキトバを装備した状態で使用すると50くらいCPが回復する。CPを無駄に使いたくないときに通常攻撃をする必要がなく、むしろ通常攻撃の代わりとして使えるので超便利。

 他方、フィールドバトルでは驚きの弱さ。チャージアタックは範囲が狭すぎて使いづらく、通常攻撃の動きも遅い。頼む、主人公……!

・アニエス

 可愛い。前作に引き続き本作でも最強キャラ。序盤はATSを上げる方法がないので回復くらいしか役に立たないが、中盤から終盤にかけて精神系のクオーツとアクセサリがそろってくると比類なき強さを発揮する。セイクリッドスカーフなどのATSを上げる装備をてんこ盛りにして通常攻撃をするだけでも強い。ヘイズルーン必殺特化のアーロンとおなじくらいかそれ以上の通常攻撃性能を持ち、プレアデスレイだけでも充分に戦える性能だが、アニエスの本懐はアーツアタッカー。

 上述のとおり、今作では消費EPをゼロにできるので最強アーツを打ち続けることができる。クラフトアタッカーは硬直時間の問題とSクラフトを連発できない仕様の問題で火力源にするには厳しい。火力と必殺に特化させたアーロンやシズナのほうが一発の威力は大きいかもしれない(試してない)が、アーツの強いところは詠唱時間と硬直時間の短さにある。本作では黒耀珠と駆動3を併用できるので詠唱時間も短いし硬直時間も短い。クラフトキャラが1回行動する間に2回行動できるのがアーツアタッカーの強みである。威力もアークフェザー改を合わせればSクラフト以上のダメージを期待できるのでクラフトアタッカーの出番がない。

 雑魚戦ではCP回復装備を持たせたアーロンに一蹴させるほうが早い場合もあるが、基本的にアニエスがアーツを打つだけでたいていの敵は死ぬのでこっちのほうが早い場合が多い。詠唱時間が短く初手詠唱 → 発動までノータイムで行ける(零駆動ではない)のでアーツのほうがお手軽。3万ダメージを1回か2万ダメージを2回か、で考えれば後者のほうが強いとわかるだろう。相対的にアーツに特化させたほうが強くなる。軌跡シリーズはだいたいアーツのほうが強い。

 さらにアニエスの攻撃は通常攻撃もフィールドバトルでも魔法攻撃扱いなのでダメージが通りやすい。S.C.L.M攻撃もアニエスを起点にするほうがダメージを出しやすいのでアニエスは編成から外せない。ボス戦でもセラフィムフォースをつけておけば敵のSクラで全滅の危機に瀕してもアニエスの全体回復蘇生クラフトで立て直しが効く(ただしセラフィムフォースで復活した場合アイテムを使ってCPを回復する必要があるが)ので、物語上でも戦闘面でも必須キャラといえるだろう。

 新クラフトのホーリーブルームはアニエスをサポーターとして運用するなら素晴らしい性能だが、今作はSクラフトを連発できないのでアニエスはアタッカーとして運用したほうが強い。

 ちなみにフィールドバトルではおそらく最弱レベルの扱いづらさ。見た目は遠距離攻撃っぽいがリーチが非常に短く動きも遅い。回避性能も乏しく回避行動時の飛距離も短い。前作もおなじ感じだったが、今作ではジャスト回避 → クロスチャージで一気にスタンまで持っていくのがセオリーなので先頭を走らせるのはなかなか厳しかった。けどやりきったよ!

・フェリ

 改良された補助クラフトの焔の謡が非常に優秀だがあまり出番はない。

・アーロン

 ゴリゴリの物理アタッカー。まずフィールドバトルが強い。動きが速いし近接攻撃タイプなのにグイグイ前に出ながら攻撃するので距離があまり気にならない。スタンさせたらシャードを展開させなくてもそのままゴリ押しで倒せてしまう強キャラ。

 クラフトも優秀なものが多いが、逆境バフは使いどころが難しくてほとんど使わなかった。多数の敵に囲まれたときに緋天の舞という新クラフトが役に立ったが、それは序盤だけ。アーロンは遅延クラフトの烈火斬だけで戦う感じだった。範囲も広くて低コストで高威力と申し分のない性能で、物理で使うならアーロンという感じのキャラ。

 Sクラフトも強くてヘイズルーン必殺構成で破格の威力を発揮する。が、先述のとおりSクラフトは連発できないので使い勝手が悪い。雑魚戦では猛威を振るうアーロンだが、ボス戦ではあまり役に立たなかった。

・リゼット

 可愛い。フィールドバトルでは鬼のような性能で、リゼットに任せておけば雑魚の囲まれてもなんとかなる。アーロンに近い性能。反面、コマンドバトルでは火力が乏しく、クラフトでもアーツでもダメージを出すのが難しいキャラ。

 コバルトカーテンが超性能で、低コストでバリアを張りながら物防魔防を底上げできるという役割に完璧に準拠した性能を持っている。アイギスシールドが使えるようになるまではとても役に立つし、なんならアイギスシールドより優先順位は高かったりする。アーツ戦略だと、アイギスシールドでバリア → ラ・クレストで物防UP → イデアルフォースで魔防UPと3段階踏む必要があるが、コバルトカーテンなら一発である。非常に優秀なクラフト。

 とはいっても魔攻をあげるためにどのみちイデアルフォースは打たなければならないので長期的にはアーツと大差はなくなるが、終盤の猛毒オジサン戦だと初手でSクラフトをブッパされるので対策として駆動なしで発動できるコバルトカーテンは極めて優れているといえる。雑魚戦では役に立たないキャラ。

・カトル

 使ってないのでわからん。CP供給とか役割はありそうだが枠がない。ネット配信のアイドルに転身してほしい。

・ジュディス

 序盤はトワイライトキスの幻惑が鬼性能で、ボス戦でも使えるという破格の使いやすさだが、低コストで運用できるクラフトがこれしかないのでなかなか厳しい。グリムキャッツがけっこう優秀で永続バフというなかなかの壊れっぷり。ただクオーツがそろってくると追撃はシャードスキルで代用できてしまうので出番はなくなってしまう。Sクラフトでディスペルができるのは強いが、アニエスがゲートゥスファンタズマを連発していればディスペルは要らないのでやはり出番はない。

・スウィン

 本作のサブ主人公枠。弱い。特記すべき点がなにもない。空気。いいキャラをしているが使い道はない。

・ナーディア

 弱い。創では広範囲にウィークをバラ撒けるクラフトが猛威を振るったが、今作ではウィークという状態異常がないので使い道がない。フィールドバトルがクッソ強いが、アーロンとリゼットほどではない。魔法攻撃のクラフトは低コストで強いのだが、アーツに特化させるには火属性のスロットが邪魔をする。使いづらいキャラ。

・セリス

 通常攻撃が範囲攻撃という唯一無二の性能だが、弱いので使い道はない。

・リオン

 弱い。

・シズナ

 物理キャラとしてはとても優秀。最終的にはオーブメントのスロット数と持ち前のHPの高さを活かしてサポーターになってもらった。フィールドバトルが超性能。たぶん全キャラ最強のフィールドバトル性能。Sクラフトも優秀だが今作ではSクラフトはあまり多用できないので宝の持ち腐れ感が強い。

・エレイン

 序盤は非常に役に立つ(というよりはスウィンとナーディアが弱すぎる)。ローエングリンが低コストの遅延攻撃でめちゃ強い。シルバリークロスは直線攻撃で封技+封魔という鬼性能で、これ一発で敵を行動不能にできるのも強い。ソードオルタスは広範囲に攻撃しながら味方の回復もできるという優れ技で、コストが重いので乱用はできないがお役立ちクラフト。クオーツがそろってくるとローエングリンしか使わなくなる。解決事務所のメンバーではないのでパーティから抜けることが多く、クオーツの付け替えが面倒なので使うのはアーロンになってしまう。

・ルネ

 サポーターとしてはリゼットに次ぐ高性能キャラ。唯一無二の加速クラフトを持っているので極めるならこやつが編成に入る。オーブメントが残念だがサポーターとして運用するなら然して問題にはならない。フィールドアタックが鬼性能で、近接ならシズナに軍配が上がるものの、遠くからチクチクやってるだけで敵を倒せる最強格のキャラ。物語上ほとんど編成できないので使う機会は乏しい。

・レン

 オーブメントの配色も優秀でアーツ攻撃に特化したキャラだが、カトル並みかそれ以上に打たれ弱いので結局アニエスでいいという話になってしまう不遇のキャラ。

 こんな感じかなぁ。ゲームとしてはとても楽しめた。アップデートで庭城に新しいステージが追加されたらちょっと遊んでみてもいいかなぁ。今作は前作で姿を消していたミニゲームが復活してて、ちょっとした物足りなさみたいなのはなくなってたけど、ミニゲームの報酬に強力なクオーツは勘弁してほしいかなぁ。ちなバスケのミニゲームは敵が普通にダブルドリブルしてて笑っちゃった。ともかくストーリーがねぇ、アトリエみたいにストーリー性をおまけにしてるゲームじゃないんだからもうちょっと頑張ってほしいかなぁ。ゼノブレイド3よりはマシだったけど、演出面ではゼノブレ3には劣るかな。2回クリアしてやっとこさトロコンできるというバランス面は神懸ってるよね。ファルコムはこういうのは上手なんだよな。

 あとこれは個人的な事情だけど、ノートを開く手段がタッチボタンの右側しかないのなんとかしてほしい。私のコントローラーはタッチボタンの左右を判別する機能がなくてノートも開けないしハイスピードモードにも切り替えられないんだよね(安物だから)。ワンタッチにこだわりがあるっぽいけど代替手段も用意してほしいかなぁ。コントローラーを買い替えればいいんだけど純正コントローラーとか普通に売ってないんだよね。Amazonでレビュー見てみるとパチモンが出回っているらしいので迂闊に買えない。いちいちコントローラー切り替えるのめんどい。

 総合して楽しめたけどがっかり感が強い。まぁ期待していたものじゃなかったってだけで感想文で1万字も書いてる時点で楽しめてるのは間違いない。黎はグレーが売りだったのにエレインとルネという光属性のキャラが仲間になっちゃってるので、前作みたいなグレーな感じが希釈してしまっている。光属性のキャラを仲間に加えるなら闇属性も加えないとグレーにならないでしょ。シズナは闇属性というには陽キャすぎるしね。次回作では話を進めようという意思を感じさせてほしい。

追記

 改めて黎1をプレイしなおしたけど、ゲームのバランスとかそういうのはともかく、サブイベントの4spgひとつとっても黎2とは中身の濃さが違うなって思っているところ。なんつーか、作りがテキトーじゃない。ひとつひとつのイベントのなかに人間が生きている。小さなイベントのひとつひとつが丁寧に作られている。製作期間の問題か、あるいは作り手の問題かはわからないけど、おなじスタッフが作ったとは思えない。別の会社に委託したとか、そういう事情を疑いたくなるレベルの違いだ。

 黎1をプレイし終わってからちょっと黎2を触ってみると、動きが格段に滑らかになっているのがわかる。企業努力の結晶のようなものを感じた。すげーな、こんなに違うんだ。あと黎1はアガるBGMがなかったんだけど、黎2はボス戦のBGMがすごくいいよね。軌跡はヴァイオリンを使ったアップテンポのBGMが好き。

 おさらいがてら黎2をプロローグまでクリアしてみたけど、もう序盤の段階で前作の前提条件が破綻してるんだな。メア出現時の停止した空間でおしゃべりできるのってヴァンと起動条件となった仲間だけって設定だったのに、なぜか敵側の赤い妖精もおしゃべりに参加しとる。続編というより二次創作だね、これ。よくこのストーリーでゴーサイン出したな。シリーズとして整合性を保つつもりが毛頭ないようにすら見受けられる。

 アップデート後の庭城もクリアしたけど、創の軌跡の焼き直しみたいな感じだったなぁ。焼き直しなのに劣化してるので逆にシラけちゃった。難易度Abyssと敵レベル+の機能を実装してほしい。

追記2

 アニエスは最強か否か? 詰めは甘いけど検証してみた。

 下図の装備とクオーツでおなじ大型魔獣に対して攻撃して与ダメージを計るというとても簡単な方法。2~3回しか試してない。レベルは74~75(途中で上がってしまった)



 アニエスはアーツ特化。玲月のランプなどのATSガン盛り装備にヴォルグリフ、リンドバウムなどの強クオーツも完備したダメージ特化の構成。いつもは精神3とかを外してHP系のクオーツをつけている。ホロウはロレイ一択。それ以外はあり得ない。



 シズナは物理攻撃特化。Sクラフトの威力も高く範囲も全体。装備は必殺率を100%にするために格言集《真言》をつけている。CPを回収できないので士魂ベルトも必須。クオーツもアグナガルンなどの強クオーツを完備。ホロウはヤクモでSクラを強化している。

 結果としては↓こんな感じ。


 ↑こっちはアニエスのゲートゥスファンタズマ(+アークフェザー改)。


 ↑こっちはシズナのオートフォルテ込みSクラフト。

 ダメージだけを見るとアニエスのほうが強そうだが、チェインボーナスや武器の関係でシズナのほうがハンデを負った状態で試している。大型魔獣を1体だけ残して計測しているのでチェインヒットまでおなじにするのは無理だった。あと、シズナは武器が最強じゃないので、それらを加味して同一の条件で比較すれば、たぶんだけどシズナのSクラのほうがちょっとだけ強い気がする。クラフトの強化も行っていないしね。

 極めると単発性能はシズナのほうが強いと思われる。たぶんね、たぶん。

 しかしキャラの使用感でも書いた通り、アーツの強みは連発できるところにある。逆にクラフトの弱み、特にSクラフトに関しては連発できないところである。Sクラフトは3回の行動につき一発しか打てない。ホロウコアをガープにしてクオーツのルサルカを併用すれば硬直時間の問題は解決できる。が、そもそもの仕様上の問題として、1回のブーストにつき1度しかSクラフトを打てないという制限があるので、硬直時間を削って連続でもう一発……みたいなムーブはできないのだ。

 さらに付言するなら、クラフトアタッカーはCPを装備だけでは回収しきれないところもデメリットとして存在する。アーツはそもそもの消費EPをゼロにできたりシャードスキルのカタラクトゲインで全回収できるので気兼ねなく連発することができる。他方、クラフトはCP回復装備を重ねてもSクラフトで使用した分を回収しきれない。敵を複数同時に攻撃したり撃破時のボーナスCPを入れてようやくスムーズに戦えるようになる。ボス戦だとCP回収が厳しくなり、結果的に通常攻撃を挟まないと継戦できなくなってしまう。

 したがって、単発性能は極めていくとクラフトのほうが強いかもしれないが、総合的にはアーツを使ったアニエスのほうが強い、という結論になる。

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