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スパッラゆかりの地、ヴィラ・コンタリーニの写真 イタリア、ピアッツォーラ・スル・ブレンタのバロック時代の眺望といくつかの図像

この記事は前回に引き続き、D・ガイダーノ氏とA・ヴィシンティーニ氏のウェブサイトで2024年3月30日に公開された内容を、ご本人の了承のもと和訳したものです。

オリジナルの記事はこちら

イタリア北部ヴェネト州の都市ピアッツォーラ・スル・ブレンタにあるヴィラ・コンタリーニは、ヨーロッパ各地から集まる政治家や貴族たちが過ごすために17世紀に建てられたレクリエーション施設です。詳しくは前回の記事をご覧ください。

ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(肩かけチェロ)が弾かれていた様子が絵画で残されている、バロック音楽ゆかりの地でもあります。楽器については前々回の記事で書いています。

それではこれより、上述サイトの翻訳をご紹介していきます。
文を書いたD.ガイダーノ氏は、歴史的なガット弦についても非常に詳しく、フレスコ画の解説もとても興味深いです。なお写真キャプションの( )内は翻訳者による補足です。

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読者の皆様、今週イタリアではイースター休暇で、ダニエラの母親が私たちに会いに来てくれます。さらに、私たちはあと2週間で楽器制作の仕上げをしようとしています。ヴィラ・コンタリーニでのパーティーの記録である「L'orologio del piacere(喜びの時間)」からの約束していた翻訳が遅れています。そこで今週は、次のニュースレターで説明するお祭りの雰囲気を予想して準備できるように、ヴィラの写真をいくつかご紹介します。

以前にもお伝えしましたが、ヴィラは、大きな集会が開かれる中央の四角い部屋と、ゲストが噂話をしたり、ビジネスや政治の会合をしたりできる多くの小部屋がある長い廊下からなる 180 メートル以上の長さの 2 つの翼棟で構成されています。

D.ガイダーノさん、
ヴィラ・コンタリーニ遠景
A.ヴィシンティーニさん、
ヴィラ・コンタリーニ遠景
ここからは、ヴィラに近づくゲストの驚きを想像して写真をご覧ください。

これらの部屋はフレスコ画で満たされていて、ヴェネツィアの壮大さを表現することを目指していました。その主題のほとんどは異国です。ヴェネツィアの力は海、探検、商業から生まれたからです。フレスコ画の内容には芸術的な意味合いはなく、すべてが2か月で制作されました。このヴィラは、ヴェネツィアの町が暑すぎて快適に過ごせない夏の期間だけ使用された、いわゆる避暑地でした。大切なゲストたちが他の場所に行ってしまわないように、マルコ・コンタリーニはこのヴィラを建てることを決め、しかも、非常に短期間で建てました。ここのフレスコ画はゲストを楽しませることを目的としており、異国風の素晴らしいものや動物等を描き、敷地内で楽しめる娯楽 (狩猟パーティーや採集等) を描写していました。また、別の部屋では外枠部分のみが額縁のようにフレスコ画で飾られていて、レースやタペストリー、シルク、その他の商品のショールームとして機能していました。

ヴィラから眺める広場の素晴らしい景色
そして、長い回廊
(壁は外枠だけがフレスコ画で
飾られているのが見えます。)
(隅々まで描かれた壮麗なフレスコ画)
このフレスコ画には素晴らしい5弦のチェロが描かれています。
ペグボックスから飛び出している弦の
柔軟な様子をご覧ください。
(ペグボックス部分、
翻訳者によるディテール拡大)
弦が低い方へ太くなっている様子は、
まさにガット弦の特徴です。
他の音楽的な図像を紹介します。
(天井画に角笛を吹く2人の男性)
(建物の彫刻装飾を模したフレスコ画)
(上図中央の女性の像は、ヴァイオリンと古風な弓を持っています。)
(楽譜が保管されている部屋)
(外側に少しだけ見える楽譜。赤い横線にひし形の四角譜が見えます。)
(もうひとつ見えた楽譜は、現代譜に近いバロック以降の符頭が丸い音符です。)
そこで私たちが見ることのできた楽譜は、19世紀に製本された中の、この2つの羊皮紙だけでした。
ヴィラの前のバーでは美味しいトラメッツィーニ(ヴェネツィア式のサンドイッチ)が食べられます!

次回はいよいよ、1685年8月にここに到着した重要なゲストたちをもてなすために行われた、数日間にわたる催しの記録であるパンフレット「L'orologio del piacere(喜びの時間)」の一部の翻訳を紹介します。どうぞお楽しみに!

ダニエラによるスパッラのイラスト。

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