イトナミミード醸造 ニホンミツバチ編
◎はじめに
2019年、イトナミミードが誕生した。イトナミミードは今までにない新しいスタイルのミードでありながら、とても原始的でピュアな酒として、その美味しさは私たちに衝撃を与えてくれました。
イトナミミードの具体的な醸造法は、酵母無添加生酛などの自然醸造と言われる清酒製造技術を応用し、はちみつの中に含まれる酵母を増殖させて酸とアルコールを蓄積し、さらに瓶内二次発酵させた発泡性の生ミードです。
はちみつ酵母発酵の証拠として、イトナミミードはアルコールは2から3%にとどまっている。従来のミードは清酒酵母の添加や、醸造アルコールとの混和により、アルコール8%以上の物が多いため、その独自性は際立ったものでした。
この製造方法の特徴は、はちみつ本来の香味が活かされること、蜜を採取した場所や花によってはちみつ酵母が変わること、つまりテロワールを尊重することに重点を置いて製造していることにあります。
なぜテロワールを尊重する酒が必要かというと、日本酒の原型のひとつである御神酒と同じように、土地や風土、神や歴史といった抽象的概念を酒という実体に具現化して人と人とが同じ意識を共有するという意図があります。
私たちは風土や情緒を具現化した酒を互いに飲むことで、同じ概念を共有する仲間として認識しあい、ともに営みを継続させてきた歴史があります。
同じように、ミツバチは自然風土を形成している植物から蜜を集め、ハチミツに自然風土という抽象的概念を蓄積させています。
そのハチミツの中に含まれる酵母を利用してハチミツを発酵させてやれば、それはそのまま自然風土の活性を類推させるものとなるのではないだろうか。
もしそのはちみつを美味しいと感じることができれば、自分自身も自然風土の大きな生命環の営みの中にいる存在として自己を認識できるはず。
人間と自然は分けて考えがちだが、人間も自然の一部であり、人間の体の仕組みも自然生命になぞられて作られているから、自然物を体内に取り込んだ時に懐かしさや美味しさを感じられるはずだ。
それを体感できれば、それぞれが生命の営みのために意味ある意志を持って未来を造る冒険ができるのではないだろうかと思う。
話を広くし過ぎなのか、おせっかいなのか、受け取る人次第でしょうが、これまで大真面目に清酒やイトナミミードの醸造に取り組んできました。
その情熱が伝わり、ニホンミツバチのハチミツでミードを造ってほしいというお話をいただきました。
◎米子のハニークロスさん
◎ニホンミツバチのイトナミミード試作開始
ということで2022年4月に試作を開始。ニホンミツバチの蜜は色々な植物の混合である百花蜜だ。
セイヨウミツバチの百花蜜もあるが、なぜだかニホンミツバチの蜜は色が濃くて、なおかつチョコレートやコーヒーのようなコクのある香味があって複雑な味わい。単体でとてつもなくうまい。
野生と家畜の違いがあれど、ハチミツの中には間違いなく酵母がいるため、不安なく酵母誘導し、無事に増殖。
◎2023年ニホンミツバチのイトナミミード醸造
◎テイスティングコメント
甘いはちみつの香り アプリコット 完熟リンゴ ドライフルーツ あたたかくコクのある香り 柔らかくコクのある甘味とガス感 複雑で温かい蜜の甘味、黒糖、凝縮した果実の香り
きめ細やかで弾ける泡とややとろみのある液体にこれらのリッチなフレーバーが満ちており、飲むと香味が鼻と口に広がりとても芳醇 かすかな苦みとコクが酒としての格を上げている。
◎おわり
想像以上に美味かった。
美味しいというか、凄みがあるというか。
マッカランの熟成酒のような深いビターな味わいがあって、やはりどことなく懐かしい温かい味だった。余韻があるし何かがずっと影響してる。おばあちゃんちの匂い。エチオピアの野生種のハチミツもこんな香りがしたな。
懐かしいということは、ニホンミツバチと人間のあいだにも架かる橋があると言うことだ。とても満足した。またやりたいな。
2023年11月 makuakeでクラファン販売開始です。
※販売、クラファン元はハニークロス運営のサンクリーン株式会社です。ハニークロスからの委託製造を受けて、完成後に板倉酒造→ハニークロスへ全量移動済。
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