出発

大切な人との別れがあった。

しばしの別れというか、今生の別れではない。

物理的にはとても近いところにいる。

しばらく、お互いに、ラブマイセルフのとき。

毎日、とても充実しているが、

ふとした瞬間に思い出しては、涙を流している。

お互いに仕事も家事も育児もあり、時間がなく、メッセージの交換が主で、物理的に肉体を持って、向かい合って話をすることは限られていた。

毎日のメッセージのなかに、宝石のような煌めきがたくさん散りばめられていた。

どんなに有名な作家の書いたベストセラー小説よりも、

美しく、可笑しく、心が震える、わたしたちの物語。

わたしたちの物語がそこにある。

いつか、こんな日が来ることはわかっていた。　

だから、今を大切に。

今この瞬間を大切に。

生きてきた。

だから、悔いはない。

淋しいだけ。

淋しいときは、涙をながそう。

私の肉体とともに。