経営メンバーに最も大切な素養「好奇心」
⚫︎経営メンバーに求められる最も大切な素養 「好奇心」
世界トップクラスのエグゼクティブサーチであるエゴンゼンダーが経営メンバーのポテンシャルとして最も重要だと考えているのは「好奇心」だと聞きました。
長年人材採用や採用面接をしてきましたが、お恥ずかしながら「好奇心」というのはほとんど意識したことがない観点でした。
確かに、マネジャーの育成に取り組んでいる際も、地頭や素直さがあればマネジャーにはなれますが、そこから先に事業のリーダーになるには「自ら世の中を知り、学ぶ姿勢」がもっと必要だとは感じていました。
「本を読もう」「人に会おう」「自分で情報を収集しよう」と幾ら言ってもなかなか動かないマネジャーもいます。
一方で世の中で活躍しているアントレプレナーや経営リーダーたちは誰から何を言われるでもなく、そうしたことを自然とやっているように見えます。
その差が「好奇心」である、と捉えると合点がいくように思えます。
調べてみたら、HBRの2018年の12月号のテーマが「好奇心」で、エゴンゼンダーの方の寄稿を含めて、なかなか面白かったです。
冒頭の記事ではファーストリテイリング柳井さんが述べられています。
「世界中にいる消費者のニーズがどこにあるのか、どんなものが求められているのかを探り出さなければならない。それには世界中の人たちが、いま、何を考えているかを知ることが必要であり、そのためには好奇心が不可欠です。」
ダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。」と言いました。
VUCAの時代に企業を変化に適応させ、変化を生み出す存在にさせるために、経営メンバーには「好奇心」というポテンシャルが求められるのかもしれません。
⚫︎「好奇心」の5類型
ジョージ・メイソン大学の研究では、「好奇心」には5つの類型があるとされているようです。
欠落感 : 「自分には足りない知識があり、その知識を身につければ安心する」という感覚
心躍る探求: 「世の中の素晴らしい事物に驚嘆し、魅力されたい」という感覚
社会的好奇心: 「話す、聞く、あるいは観察することによって他者の思考や行動を知ろうとする」感覚
ストレス耐性: 「新しいものや珍しいものへの不安を受け入れ、活かそうとする」感覚
高揚感の追求: 「複雑で変化に富む強烈な体験をするためなら、物理的・社会的・金銭的リスクをいとわない」感覚
「分かる」ことは「分ける」ことと言いますが、こうして5つに要素を分けると「好奇心」というもののイメージがより具体的に湧いてきます。
⚫︎「好奇心」を見極める質問
Googleでは下記のような質問を面接でするらしいです。
「未知の何かを学ぼうとして寝食も忘れるほど没頭したことはありますか?それはなぜですか?」
この質問の回答が、こうした行動が具体的な目的から来るものなのか、純粋な好奇心から生まれるものなのか、で好奇心の高低を見るようです。
サザンメソジスト大学の研究では、「売上目標を達成して、同僚から一目置かれる」という成果目標を重視しがちな人は、「営業担当として成長する方法を探す」という学習目標に重点を置く人よりも実績が劣っていたことが分かったようです。
こういったことも面接時の質問で見極められるかもしれません。
⚫︎「好奇心」を失った時
柳井さんは同記事の中でこのようにも述べられています。
「企業も産業も瞬時に消え去ってしまう。私はそれを実体験として知っています。いまや同じことが全産業で起きる可能性がある時代になっていることを、現代の企業人は知っておかなければなりません。世界全体がフラット化、ネットワーク化していく巨大な変化の中で、従来の延長線上では商売ができない時代であることは明らかなのです。過去の成功体験は貴重ですが、いつまでも過去の成功にしがみ付いてはいけない。それには好奇心を持って、新しいことに挑戦することが欠かせません。」
逆に言うと、企業の経営メンバーから「好奇心」がなくなった時、その企業はゆっくりと社会における役割を終えていくのかもしれません。
私も4月からの創業に向けて、メンバー探しが佳境ですが、「好奇心」溢れる経営チームを作れれば良いな、と思っています!
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