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《第5話》後編【紡ギ箱 第1節】 生産 ~商品原価との闘い~

(前編からの続き)
Yoshi.さん
からお借りした3Dプリンター用に作られたデータをできるだけ崩さず、デフォルメせずに量産化に落とし込むかを考えることから始まりました。

量産商品は「インジェクション成型」という手法で生産します。金属の型を作って、射出成型機にセットし、その中に熱で柔らかくなった合成樹脂を流し込んで商品の形を作ります。
そこに圧力を掛けて固めて、ベビーカステラのように量産品を出力します。
その際に成型した商品を抜き取る方向が決まっており、引っかからないようにパカッと抜かなければ不良になってしまいます。

これが理由で作りたい形を諦め、原型を丸めたり、デフォルメしなければならない場合があります。

射出成形機に金型がセットされているところ


ガレージキッドから量産化へのこだわりポイント

Yoshi.さんの造型を崩さずにプトゥンの口を開閉させること
可動ジョイントを入れるとどうしてもディティールがデフォルメされてしまいます。
プトゥンの口の開閉は3体の量産化への落とし込みで一番苦労した箇所です。
・ジョイントを見せないように開閉させる
・閉じてるときは可愛く、開けたら怖いように見せる
この2点を意識してああでもないこうでもないと何度もやり直しました。造型を損なわずジョイントを上手く仕込んだ時の喜びは今でも鮮明に覚えています。(河上さん/ソータ 談)

プトゥン


・メインの裁人を細部まで(全16箇所)可動させて、お客様が手に取った時に500円以上のプレイバリューを感じてもらうこと
・18cmのサイズを保ちながら、75mmカプセルに全ての部品を収めること

裁人/サバト


・チビトは足が小さいので立つことは諦めて座りポーズの可動にすることでどれが当たってもハズレ感が無いようにすること
(実際はYoshi.さんが常に立たせることを意識して造型しているので、量産でも予想外に立ってしまい、なんとも嬉しい誤算!)
 

智人/チビト


・造形物としてだけではなくお客様がカプセルトイ購入を通して「紡ギ箱」の物語に触れてもらうこと
3体それぞれに異なったミニ冊子を封入してゲームのような世界観に興味を持って貰うこと

【紡ギ箱】ミニ冊子


「紡ギ箱」は商品原価が高く、何度チャレンジしても500円カプセルトイに落とし込む事ができず難航していました。でも僕たちの「紡ギ箱」に対する思い入れは半端ない。どうやってこの高ディティール造型をカプセルトイに落とし込むか…。色んな方法を模索しましたが、価格調整の最終手段として無彩色版を半分入れるしか方法がありませんでした。苦渋の選択です。
お客様は納得しないですよね…。

販売してみると、ありがたいことにYoshi.さんのファンにガレキユーザーが多かったためリペイントしてくれる人が続出!SNS上に思い思いの彩色をした「紡ギ箱」が大量にアップされました。
「紡ギ箱」ファンの間に、無彩色を受けて入れて貰える土壌があったから、今回の第2節につながったとも言えます。無彩色が受け入れられなかったら、「紡ギ箱」カプセルトイの第2節はなかったかもしれません。

第1節の反省点としてはジョイントの入れにくさ。固くて入れにくく、ドライヤーでも温めて入れてくれているお客様も多く見受けられました。またジョイントの渋みの甘さ。僕はこの時初めてジョイントの可動状況の事を「渋み」と表現するのを知ったのですが、緩い個体がありました。

開発途上メーカーなのでノウハウの蓄積とスキルアップが必須です。毎日のようにチェックしていますが、お客様からSNSを通して多くの意見を頂いて育てて貰っていることに感謝し、開発の参考にしています。

僕が今回の「紡ギ箱 」~第一節~ を通してYoshi.さんをすごいなと思ったこと。造型力は言うまでもないですが、実は同じぐらいすごいのがプロデュース力です。

プラン進行の為にマッチするアプローチ先を選定し、プラン情報を大量に用意。アプローチ先がどの琴線に触れるかを見極めて、的確に情報をぶつけて、お互いにウィンウィンの関係でプロジェクトに巻き込む。

結果、コンテンツの世界観表現が広がる。
損して得取る。分かっててもリスクが伴うので中々出来ません。

僕ら中小経営者が身銭を削って、リスクを張ってやっていることです。

そこに絡む経費まで考えてますからね。どうやって身につけたか全く謎です。


「紡ギ箱」のようにカプセルトイ化を震源地として、メディアミックスコンテンツとなるスキームは非常に少ないです。(コップのフチ子さんはその代表格です)映像になり、歌になり、スピンオフ商品が出たり。
そして最終目標はゲーム化です!

実現すればカプセルトイ業界始まって以来の一大事ですよね。

2020年3月に「紡ギ箱」~第1節~は発売となりました。

受注数が集まりすぎて量産が追いつかず、かなりの減数となってしました。

今までカプセルトイでクリーチャー系と呼ばれる造型を出したメーカーは無かったと思います。

カプセルトイ市場という子供・ライトユーザーターゲットの流通で、ニッチ層をターゲットにした商品であったにもかかわらず、こんなにもカプセルトイ流通の支持を受ける「紡ギ箱」。カプセルトイを活用したコンテンツの新しい見せ方として「紡ギ箱」の今後に大いに期待して頂ければと思います。

ーまたいずれ続報をお伝えできればと思いますー


2021年3月 紡ギ箱 第一節

2021年8月 紡ギ箱 第一節 異存

2021年10月 ツミコバコ

2022年1月 ツミコバコアクリルキホルダー 発売予定

2022年3月 紡ギ箱 ~第2節~ 発売予定 

【 紡ギ箱 第2節 】 ブラインドボックスVer


【 紡ギ箱 第2節 】 カプセルトイVer


2022年4月 紡ギ箱 ~第2節~ 幻壊 発売予定

【 紡ギ箱  ~第2節 ~ 幻壊 】 


カプセルトイ 紡ギ箱 ~第2節~ プロモーションビデオ


2021年12月14日

SO-TA/ソータ   安藤 こうじ(@kojiando01

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