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歩くということ 2021.4.7 中編/蒲原宿~吉原宿


西木戸跡、志田邸、旧五十嵐歯科医院などの歴史的な建造物を越えると、古民家に可愛らしいさくらの花をモチーフにした「駿河裂織俱楽部」と書かれた暖簾がかかっている。

暖簾をくぐると、かわいらしいおばあちゃんが、にこにこしながら迎えてくれた。間口は狭いその家は、中に入るとびっくりするほどの奥行がある。長い土間の壁一面に、五十三次の宿を藍染めで描いた絵が飾られている。雰囲気からして宿として使われていたのが分かる。

おばあちゃんが、ここはね、昔旅籠だったのよ。私がいるかぎりこの場所を守りたくてやってるんです。よかったら上がってってくださいね~と優しく声をかけてくれた。

土間を上がると古い家具が並び、階段をあがった真っ直ぐ先に見える木枠の窓から、暖かな光が畳を照らしていた。少し緊張しながら畳に正座し、窓から顔を出して外を望むと、まるで江戸時代にいるかのような錯覚に。なぜなら、ちょうど正面に、蒲原宿の本陣がどっしりと昔の姿のまま佇んでいるのだ。現代の電信柱とアスファルトがここには似合わない。

本陣は、簡単に言えば、公家とか、大名などの偉いひとたちしか泊まれない宿で、旅籠は一般のひとが泊まる宿。本陣を望む旅籠は、大名の側近たちがこちらの旅籠に宿泊して大事のときにすぐに行動できるようにしていたそうですよ。と、おばあちゃんがゆっくりとお話ししてくれた。おばあちゃんの蒲原のお話は書ききれないほどたくさんありました。ぜひぜひ「駿河裂織俱楽部」訪ねてみてください!

ちょうど、お昼時だ。おばあちゃんにお願いして、旅籠の前のベンチに座り、女将さんに握ってもらったおにぎりをほほばった。かもめ屋さんのかつおふりかけをかけて食べた梅干しおにぎり最高に美味しかったな~!江戸時代の旅人気分を存分に味わっちゃいました。腹ごしらえして、さあ、ここから富士までもうあと8kmくらい。いい調子いい調子!


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