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テレビの収録で大失敗した話

前はさ、「壁にぶち当たる」が怖かった。

けど今は「壁にぶち当たらない」の方がもっと怖くなっている。

今年で芸歴13年。様々な種類の緊張を味わってきた。そもそも人前に出て芸を披露する事自体が緊張するのだ。今回のnoteはお笑い芸人になってから1番緊張した出来事と言ってもいいくらいのお話。

我々ピンタンパンは2018年4月に結成。

めちゃくちゃながらも試行錯誤しながらネタを作り舞台に立っていた。

2018年5月

結成2ヶ月で某番組のオーディションを勝ち抜き正式に結成してから初めてのテレビ収録が決まった。

気合い入りまくり。

内容は『元レギュラー芸人、下克上ネタバトル』

約10組の芸人がネタを披露し、その中で一番良かった1組を番組MCが選ぶ。更にその1組が数組いるレギュラー陣の1組を指名してネタで対決し、勝った方がレギュラーになれるというものだった。

そもそもオーディションに呼ばれたのはその番組で元々レギュラーの経験がある芸人限定。うちではたかぴんがピンの時に元レギュラーだったのだ。(たかぴん様々)

なのでネタもたかぴんを推したものを作り挑んだ。

収録が始まり、ネタを披露する芸人達。

僕らの出番はなんと大トリ。

袖で少し落ち着きのないむとパンといつも通りのたんちゃん。(たかぴんは元レギュラーの立ち位置でひな壇に座っている)

現場は少し重い空気。

少し不安になるむとパン、いつも通りのたんちゃん。

一つ前のコンビが終わりいよいよ僕らの出番。

出囃子が鳴り颯爽と飛び出すたんちゃんたかぴん、遅れてむとパン。

ネタを始めてすぐ気付いた。

たんたかの明るさでもう現場の空気が少し変わっている様に思えた。

ネタもたかぴんが急に我を忘れて大声を出すところがハマった(この芸を初めて披露したのはこの収録だった)

これはイケる!!

ネタが終わり舞台上に全員集合。

そこでのMCとの絡みでたかぴんも良かったけど、更に上をいったのがたんちゃんだった。

確実に覚醒していた。

盛りは一切なしで、MCの全てのフリに対してのたんちゃんの返しが全て大爆笑をかっさらっていったのだ。

正直これにはビックリした。

たんちゃんイケイケー!!!の気持ちより

た、たんちゃん、、すげえなぁ。。の気持ち

が、勝っていた。

結果、1組の挑戦権を獲得したのはピンタンパン。

僕らはもう一本ネタをする事に。

ここでまた僕はたんちゃんに驚かされる。

袖で準備をしていた僕らのところにプロデューサーが来て

P「たんちゃんが今ハマってるのでたんちゃんのボケ増やす事出来ますか?」

物凄い注文に一瞬ビックリするむとパン。

次の瞬間、既に出囃子が流れる中でたんちゃんが口を開く

たんちゃん「わっかりましたー!!!」

そう言い放ち、ダッシュで袖から飛び出したたんちゃん。

慌てて僕とたかぴんも舞台へ。

なんとたんちゃんはネタの合間にアドリブをぶち込んで来たのだ。

初テレビの収録でどんな心臓してんだ本当に。。

僕らと僕らが指名したレギュラー1組のネタが終了し、いよいよ結果発表。

僕らは惜しくも負けてレギュラー入りならず。

しかし、MCの厚意で次のスペシャルの回も特別に出演する事が収録中に決定した。

この収録の後のピンタンパンとたもつ君(現プリっとチャンネルのパンダ)と行ったご飯は格別に美味しかったし、テンション上がって普段飲まないビールとかのんじゃったなあ。

2018年6月

僕らは新ネタをひっさげて某番組のスペシャル回の収録に臨んだ。

内容は『レギュラー生き残りネタ総選挙』

番組レギュラー陣が100人のお客さんの前でネタを披露。お客さんは面白いと思ったら手元のボタンを押す。その数が見事80以上でレギュラー存続、79以下でレギュラークビというルール。

そこに特別枠でピンタンパンも参戦。

完全に勝負所であった。

結成3ヶ月でテレビのレギュラーになれるチャンスがまた来た。

今度は確実にモノにしなければ。

そんな思いが僕の緊張を大きく大きくしていった。

リハーサルの時点ではまだ大丈夫だったのに本番が近づくにつれ心臓のバクバクが止まらない。

これは完全に覚えていないのだが、たかぴんいわく、僕は1人で誰も居ないセットの裏でDJ OZUMAの『アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士』を全力で踊っていたらしい。

聞いた時、ゾッとした。

たかぴんも見た時、ゾッとしたらしい。

いよいよ本番の収録スタート。

ネタをする順番はMCがクジを引き、ランダムで選ばれる。

次々とネタを披露していくレギュラー陣。

笑いをとり、80点以上、90点以上をバンバン出して合格していく。

中には惜しくも79点以下になってしまった芸人も。

そこはガチガチのガチなのだ。

袖で待機する芸人がネタを披露しにまた1組、また1組といなくなっていく。

気付けばピンタンパンが最後の1組に。

結成2ヶ月、劇場にもあまり出ていない芸人が地上波番組のスペシャルの大トリで初番組レギュラーをかけてネタをする。

この時、僕は心の中で緊張は全くしていないと思っていた。

出囃子が鳴り100人のお客さんとMC、ゲストの前に満を持して登場。

元気よくネタを進める中、僕は今までにないとんでもない失敗をおかす。

たかぴんが考えて来たオリジナルなぞなぞをみんなでやっていくというネタ。

流れはこうだ。

なぞなぞの答えを考えている最中にたんちゃんとたかぴんが違う話で盛り上がってしまう。

あたふたしながらも話を元に戻すべく僕が言うセリフは

「2人とも!ちゃんとなぞなぞしよーよ!」

なのに

僕が放ったセリフは

「2人とも!ちゃんとものまねしよーよ!」

だった。

全く関係ない。ネタの最中に一つも出て来てないワード。「ものまね」。

たかぴん「むとパンさん!ものまねじゃなくてなぞなぞでしょ?」

ネタの最中。あの時のたかぴんの驚愕した顔は今でも覚えている。。

そこから無理矢理ネタをやりきったが、前回の収録とは打って変わって激スベり。

(放送では大失敗した所はカットしていた)

お客さんの審査結果は

なんと。。。

『21点』。。。

完全にやってしまった。。。

僕のせいだ。。。

しかしたんちゃんたかぴんは素晴らしかった。

ネタ終わりのMCとの絡みで元気に
「やったー!21点だー!」とはしゃぎ楽しそうにしていた。

僕はガチ凹みしていて、無理矢理笑顔を作るのがやっとだった。

収録終わり。

一切僕を責める事をせず、いつも通りに接してくれていた2人。

絶対、悔しいはずなのに。

本当に凄いよあの2人は。

帰りにテレビ局のエレベーターで芸人の永野さんとたまたま一緒になった。

永野さん「お!ピンタンパンじゃん!見てたよさっきの収録!最後の最後で21点なんて最高じゃん!!めちゃくちゃ笑ったよ!!」

この永野さんの一言で僕は本当に救われた。

この日以来、何度かテレビの収録に行く際は例え緊張していても本番が始まる直前にはこの『ものまね事件』を思い出して緊張したら損と自分に言い聞かせて緊張をほぼ無くせるようになった。

適度な緊張は必要かもしれないが、大事な時ほど、楽しむ心を忘れないようにしないとね。

このnoteを読んでいるあなたがもし何かで緊張してしまう場面があったら、手の平に『人』ではなく『ものまね』もしくは『21点』と書いて飲んで下さい。

これでアホくさくなって少しでも緊張が和らいだら幸いです笑

最後までご覧頂き本当にありがとうございます。よかった、スキ、コメント、サポートよろしくお願い致します。

それではまた!

ピンタンパン むとパン


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