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日本ダイエット【毎週ショートショートnote】

運動や食餌しょくじ療法では改善の難しい、高度肥満患者向けの減量手術として新たに提唱されたのが、日本でお馴染みの『腹巻き』だ。
日本式腹腔鏡下胃バンディング術、略して胃腹巻き術。切除を伴わないラップバンド術の進化型で、特殊シリコンゴムで編んだ腹巻きを胃全体にかぶせ、保温効果による血行促進と冷え防止、免疫力上昇、新陳代謝の活発化で筋肉増強と脂肪燃焼も促進しつつ、適度な締め付けが腹八分目の食習慣に導いてくれる――という効能の盛り込みぶりが、これまた実に日本人らしい。

この術式の一番の肝として、施術に使用する腹巻きは、患者の家族が手ずから編むと決められている。
案じてくれる家族の想いを身に着ける事で、心理的抑制と連帯感が働き、積極的に治療に取り組めるそうだ。

適性体重に減量後も、患者の多くは胃腹巻きの取り外しを希望しないという。
健康な食生活を送るには、やはり学術的な医式や胃識以上に、本人や周囲の意識が肝要なのだろう。



副題:胃療改革