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花冷え全員集合【毎週ショートショートnote】

いわゆるローカルルールだが、花札に『花冷え』という役がある。
配点の高い役に使う光札や種札、短冊を除く、カス札あるいは素札と呼ばれる札で作られる。花冷えの語源については、春の花が咲く頃に気温が下がる従来の語義の他、役立たずの冷や飯食い、素寒貧すかんぴんからの連想など諸説ある。

十二ヶ月からなる札のうち、二月の梅、三月の桜、四月の藤、五月の菖蒲、六月の牡丹、七月の萩、九月の菊、十二月の桐、計八種の花のカス札を一枚ずつ集めて作る。
一月の松、八月の芒、十月の紅葉、十一月の柳は葉に位置付けられるため含まない。また同一月の花が重複したり、他の出来役が手元にある場合成立しない。

花冷えの配点は八足す七で十五点。レートの高い六百間ルールでは八十七点。
成立時は夜八時の某お笑い番組にちなんだタイトルコールを行う事が、ある世代以上で暗黙の了解となっている。なおコール中のものまねの出来に応じて加点も付く。

要は、言いたいだけである。


副題:花冷えだョ!全員集合

※花札の五月の花は、植物の特徴から杜若かきつばた説もありますが、役札『菖蒲に八橋』の通り名がメジャーなので、作中では菖蒲としております。