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カミングアウトコンビニ【毎週ショートショートnote】

カミングアウトはコンビニで済ます時代になったと聞いて、利便性の追求もここまで来たかと嘆く人は多いかも知れない。

発端は、バーコード遊びで有名な某スナックが『考えに考え抜いた味です』と、新商品の例の部分に開発部チーフの後頭部(実写)を使用した自虐ネタである。
これが当たりに当たり抜いた結果、コンビニの棚は開発秘話やら営業マル秘事件やらトップシークレット特集やら、各社選りすぐりのカミングアウト商品で埋まった。
新公開を求めて人はコンビニに通い、企業努力の裏側にほくそ笑みつつ商品を買う。新聞コーナーには大手五紙に並んで『カミングアウト新聞』が置かれ、号外感覚で手に取られる様になった。

業界に活気を与えたブームの過熱は新たな問題を生んだ。
アウティングソーシング(暴露委託)による他社のすっぱ抜きである。
企業間の漏洩戦の果て、コンビニの棚は虚実不明のゴシップ商品で埋まり、肝心の品質をおろそかにした秘密バブルも崩壊寸前という噂だ。