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フシギドライバー【毎週ショートショートnote】

「次、バビロンの空中庭園」
コックピットを操作しながら、ガイド兼ドライバーが振り向きもせず言った。
運転中に振り向かれても怖いが、もう少し接客的に……。溜息はこぼしつつ、ついに終点だ。期待と緊張が高まる。

世界七不思議を七日間で巡るフシギツアー。まさか本当に七日で走破するとは。この車(とドライバー)こそ一番の不思議だ。
「確か、唯一位置が分からない遺跡ですね。特定できたんですか?」
「t‐GPSありますから。時空飛ぶんで、シートベルトと耐時服よろしく」
淡々と指示してハンドルを引っこ抜き、ねじ回しの要領で交換。合わせて外観や車内の仕様も変化する。この変身過程もツアーの売りらしい。
なるほど、タイムトラベルで建造当時に戻るのか。今までの道中も相当だったので慣れたもの、反転したシートから出た耐時服とやらを装着する。
「いよいよ最後か」
「まだありますよ」
「え、次で七つ目じゃ……?」
「シークレットの八番目。魔界行くんで遺書よろしく」



副題:(異)世界弾丸ツアー