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初めての110番と過去の不審者

ある週末のことだ。

遊びから帰ってきた20:00頃、ウチの隣にワンボックスカーが停まっているのを見かけた。現場系の職人さんが乗っているタイプのハイエースかキャラバンだ。
職人さんが働くにはちょっと遅い時間だったので、仕事を終えて帰るところなのだろうと思った。ちょうどその時、工具を持った職人さんが車に戻ってきた。

それから数時間後、深夜になにやら窓の下で物音がする。工具かなにかのカチャカチャ音と低い機械音、それに人の足音だ。
わたしの住んでいる地域は戸建てがほとんどの住宅街で、この時間はヒール音が響いてしまうくらい静かだ。
こんな時間に作業か、ていうか作業か?と訝しく思っていたが、30分近く経ってもその音は断続的に聞こえている。しかも先ほど見かけたハイエース的な車がさっきよりも家に近づいて停まっている。
なんか気持ち悪い。

カーテンの隙間から外の様子をうかがってみると、ヘッドランプをつけた人が脚立を持って我が家と隣家の間の細い隙間をうろうろしている。カーテンの細い隙間からは見えないが、脚立をどこかにかけようとしているのかカチャカチャ音が聞こえ、ヘッドランプに照らされた脚立の影が隣家の壁に映っている。
なんだこれは。もう夜中だぞ。作業だとしても怪しいだろ。

とはいえ、なんらかの犯罪だとしたら杜撰すぎる。
しかし今は白昼堂々と人通りの多い場所で強盗事件が発生するようなご時世だから油断できない。
そういえば、不安を感じたら110番をするようにと警察OBが言っていたなと思い、緊張しながら110番にかけた。

これは生まれて初めての110番かもしれない。

以前、早朝3時くらいに不審者がピンポンを鳴らして家の前に居座ったことがあったが、その時は近くの警察署に電話をした。
その時は「クスリをやっていて暴れていたり、危険な状態ですか」と訊かれた。
不審者はいたっておとなしく居座っていることと、クスリをやっているかはわからないと告げると、その警察官は「お宅の近くの交番の警察官は今パトロールに出ているので30分くらい待ってください」とのことだった。警察官が来てくれるまでの間、かなり心細かった。30分だよ、30分。実際は40分くらいかかったし。

さて、今回は110番だ。対応してくれた警察官は人を安心させるようなしっかりとした話し方だった。状況を詳しく聞き取り、近くの警察署が対応してくれるとのことで通話は終わった。なんとも心強い。

それから10分も経たないうちにバイクの音がして、話し声と笑い声が聞こえ、バイクの音が遠ざかっていった。警察官が件の脚立男に事情を聴いてくれたのだろう。そして不審者でないということがわかったということなんだろう。
なぜこんな夜中に作業をしていたかの謎は残るが、とりあえず安心した。
そして作業の音も止んだ。
さらに20分後くらいにまたバイクの音がして、家の周りを歩く音がした。確認のためにもう一度来てくれたのだろう。おまわりさん、ありがとう。

我が国の警察は世界一だ。これで安心して眠ることができる。

ところで前回の不審者居座り事件だが、なんとその不審者は大きな犬を連れた若い女性だった。曰く「喉が渇いたので水をください」と。
午前3時に、知らない人の家で。
しかも当時の我が家は道路に面した門から玄関まで数10mはあったので、そこをわざわざ入ってくるという手間をかけなければいけない。
午前3時に?
女性だろうと不審者は不審者だ。
こんな時間に何度もピンポン鳴らされて、出てみたら「水をください」だ。現実でも怖いが、現実じゃなくても怖いし、その時は実家に木刀を置いてきたことを激しく後悔した。

そこで家人を起こし、状況を説明すると「それはかわいそうだ」ということでガラスのコップに水を入れて差し出そうとしていた。
アホなのかこいつは。
若い女性だから危険じゃないとでも思っているのか。
ガラスのコップが割られて凶器にされたらどうするんだ?お前じゃなくても女性が自分自身を傷つけたらどうするんだ?
人道的観点とか言うなら、ドアから10mは離れさせてからドアの前に紙コップを置けよ。500mlの重いペットボトルはダメだぞ、ウチはガラス面が多いんだぞ?
午前3時に寝間着姿でこんなことを言いたくはなかった。

やがて警察官2名がパトカーでやってきて、嫌がる女性と吠える犬をパトカーに乗せて去っていった。
後日家人が聞いたところによると、その女性は未成年で、親が迎えに来てめでたしめでたしだったらしい。
家人曰く「親御さんがお礼を言いたいって言ってるらしいんだけどどうする?」
アホなのかこいつは。
どういう事情があるのか知らないが、関わらなくてもいい相手だ。なぜわざわざ関わろうとするんだ。警察にはウチの場所も名前も教えないでくれと伝えてもらった。

今回も前回も結果的に危険ではなかったが、危険を感じた時はきちんと対処した方がいいと思う。警察官の皆様にはお手数をおかけしてしまうが、一度の油断で取り返しのつかないことになることだってあるのだから。

我が国の警察は世界一なんだよ、ほんと。

でもやっぱり実家から木刀を取り寄せようかな。





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