もう絵は描かないと決めた時
もう絵は描かないと決めた時
先日「もう絵は描かない」つもりだった方が絵を習いに来て下さいました。
「それでも、このへんにちょっとだけ描きたい気持ちがずっと残っていたんですよ」
その男性は両手で胸の上に小さな小さな丸を作りました。
小学校低学年の頃に先生にダメ出しをされてから、もう60年近く「絵は描かない」と決めていたそうです。会社員生活を立派に勤め上げ、第2のお仕事人生も好調。ただそのお話の時は、まだ小さな泣き出しそうな男の子の顔でした。
お話を聞いて、以前「もう歌わない」と子供の頃決めたという方を思い出しました。当時60代、やはり小学生の時に歌で先生にダメ出しをされたとの事。その方はよく通るよい声で、実は音楽は大好きなのに「ぜったい歌わない」と。
国語、算数、理科、社会どれも初めからできる子供はいないです。字を覚えたり、九九を暗記したりして個人差はあれ、だんだんとできるようになっていく。少しずつでも勉強すれば上達するんだ、と思う人が多いと思います。
ところが絵や音楽はいったんダメだ、と思うと自分には生まれつき才能がないからダメだ、と気持ちがゼロになってしまう人が少くないです。しかも絵や音楽を好きな人が。
冒頭のお話の男性は、今度ご友人達との絵画サークルに行ってみるための準備、との事で個人レッスンを受けて下さいました。初めて使う真新しい画材。事前レクチャーで真剣にメモを取り、恐る恐る描き始めました。始めたらよく手が動きます。
大人になると、やってみてうまくいかない時はなぜか?と分析したり、意見を聞いて考察することができます。絵は理屈ではないですが、子供の頃とは違い、ある程度のセオリーを聞くと安心して進められるようです。
「習うって、楽しいですね」と笑顔で帰られました。ああよかった!
ぜひ、ご友人達とのスケッチ会&飲み会、楽しんできて下さい!
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