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入れ歯噴射おじいちゃん

(写真は全く無関係のきれいな菜の花畑)

私の祖父は大爆笑すると
入れ歯がスポーンと口から飛び出す
お茶目な人でした。
ポリグリップを使ってなかったのかな?

いつもニコニコと優しく
私が小さい頃に即興で踊った意味の分からないダンスのビデオテープを
「本当に上手に踊ってるねえ…」と
繰り返しみるような孫に激甘なおじいちゃんです。

祖父母の家に遊びに行くと、
姉は祖母と恋愛の話を、私は祖父と水戸黄門と相撲を観るのがお決まりでした。

私の家系は所謂陽キャが多く、
親戚は私達姉妹のような若者の恋愛話が大好物でした。
もちろんコミュ障の私にはそんな浮いた話はありません…
そんな陰キャな私の相手をしてくれるのが、祖父でした。

祖父と観る水戸黄門は面白かったですし、
相撲も「円の外に出ちゃダメ」ぐらいにしか理解してませんでしたがハマっていました。
相撲に関しては、試合よりも、試合前に出てくる懸賞幕を楽しみにしていました。(永谷園とか書いてあるやつです)
懸賞幕が出てくるタイミングで
バスタオルを同じように持ち
祖父の周りをぐるぐると回るのが私流の相撲の楽しみ方でした。

また、ある日私は当時流行っていたドラマ
ごくせんの構成が水戸黄門と似ていることに気づきました。(問題発生→主人公登場→一件落着)
祖父にすすめると、案の定どハマりしました。
ごくせんの最終回を2人でボロボロ泣きながら観たのを覚えています。

そんな趣味もバッチリ合うマブダチな祖父と
日光へ旅行に行った際、衝撃的な事がありました。

祖父と庭園をブラブラとしていると、
急にご婦人が「〇〇村のカツジさんですか?」
と祖父に声をかけてきました。
「そうですよ〜〜」と祖父は答え、
私はお友達かな?と思って見ていたら
「ファンだったんです!握手して下さい!」と。

私「?????」

「あ〜〜そんなですね!いいですよ」と
握手する祖父。
家で入れ歯を噴射している祖父にファン?
意味がわかりませんでした。

ご婦人が去った後に祖父に聞くと、
祖父は昔ご当地アイドル(?)をしていたそうで、
その時のファンの方だったということでした。
祖父がアイドルだったなんて信じられない…と思い、祖母に聞くと、「そうだよ。」と一言。


祖父はバリバリの陽キャでした。


勝手に祖父の事を同じ陰キャ仲間だと思っていた私は、落ち込みました。

そんな隠れ陽キャの祖父が亡くなって
10年程経ちますが
最近、私は祖父との共通点を新たに見つけました。 
それは「嬉し泣き」をするところです。

祖父は私や姉が祖父のために何かをすると
最初は「嬉しいな〜〜」とニコニコ笑っているのですが、
途中から嬉しすぎて必ず泣いていました。
そして、私には嬉しすぎて泣く祖父が理解出来ず引いてました。(ごめんね)

しかし、社会人となって色々な苦い経験をした今
人に何かしてもらう事や、優しくしてもらう事が当たり前ではなく、とても有り難く幸せなことなのだと身に染みるようになりました。

なので、嬉しい事があると
私は祖父が乗り移ったかのように、ボロボロと泣いてしまいます。
そして、周りは引いています。

泣きすぎは周りに迷惑なので
なるたけ我慢するようにしていますが、
嬉し泣きをする度に
祖父もあの時同じ気持ちだったのだなあと思うと、優しい気持ちになります。

周りの方の優しさによって
嬉し泣きをしている私ですが
色んな人を嬉し泣きさせるような
優しさに溢れた人になるように
頑張っていきたいです!
(本当は笑顔になって貰うのが理想ですが〜) 

#入れ歯噴射



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