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2021年度相続人のいない財産が641億円に達したそうです

今朝、ネットでニュースを読んでいたら、2021年度に相続人のいない財産が647億円に達した、という記事が目に入りました。
ここのところ急激に伸びているようです。
このお金は国庫に入ってしまいます。
つまり国のお金になってしまうということですね。
お一人様が汗水たらして蓄えた老後の資金だったのかもしれません。
使う機会がないままに、お亡くなりになってしまったのかも知れません。
身寄りのない方が亡くなると、国は管財人を選出します。具体的には家庭裁判所が指名するのですが、たいてい弁護士が指名されるようです。
指定された管財人は、期日を決めて、相続人がいないかどうか、債権者や特別縁故者がいないか調査をします。
調査と言っても、広告という方法による調査を行うのです。
広告と言ってももちろんテレビするのではなくて、官報に小さな記事が載るだけで大抵は気が付かないです。

ここで、国が考える相続人の範囲を確認しておきましょう。



法定相続人の範囲

上記は法定相続人の範囲の図です。
基本3つのパターンがあります。
一つ目は、残された配偶者と子供のパターン
二つ目は、配偶者と亡くなった本人の尊属のパターン
最後が、配偶者と亡くなった本人の兄弟のパターンです。
これに、対象者が既に亡くなっていた場合に、その子供に代襲相続される場合は、ありますが、この範囲を超えて、相続が行われることはありません。

また、亡くなったお一人様を最後に看取った方がいた場合、その方も相続人として取り扱われることはありません。
この場合、先ほどの管財人の広告に応じて申し出て、使った費用であるとか、応分の金銭をいただくことはできますが、官報に出た広告に応じるなんて、なかなか面倒で慣れない方には難しいと思います。

外国の推理小説には、遠縁のおばさんが亡くなってその相続で大金が転がりこんできた、なんてことが物語の始まりだったりしますが、国によっては、どこまでも、血縁者を探し出して相続するという制度の国もあるようです。
日本では、こういう推理小説は成立しないのですね。

民間のお金を簡単には国が手を出さない。という制度はおそらく、ヨーロッパの長い歴史の中で、公権力がどこまで民間の分野に手を出すべきなのか、というような議論の中で、決められてきたのでしょう。
それに対して、そのような歴史的背景に乏しい日本では、割と簡単に民間の財産が国に帰属するような制度が作れたのだろうと思います。

さて、先ほどの最後を看取ってくれる方のケース等、自分が生きている間にきちんと財産が渡るようにしておきたいと考える方が多いのではないでしょうか。
また、そういう方がいらっしゃらない場合でも、最後を過ごさせてくれた施設に何か気持ちを伝えたいとか、自分の関心のある分野の団体に寄贈をしたい、とかいろいろお考えが出て来ると思います。
ご自分の財産ですから、ご自分が有効だと思うことに使っていただくようにすることは重要なことだと思います。
そういう場合、一番手っ取り早い方法は遺言を書かれることです。
遺言には何種類かありますが、公正証書遺言というものに整理されるのがいいかと思います。
遺言についても何かの機会に書いてみますね。


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