前編
2019年11月のある日、
それは突然やってきた。
なんの前触れもなく。
ポストのこれを目にした時、まず思ったこと。
「お、俺、なんかやらかしたのか・・(汗)」
差出人が「最高裁判所」って・・
それはダメでしょ、この感じ、この雰囲気の封書は。
しかもちょっと分厚かったりするし。
「陰と陽」で言ったら、完全に陰だし・・
決してHAPPYなお届けものではないし、そうであるわけがない。
「良からぬもの」が届いてしまったのだろうという予想はしたと思う。
これ、何かと言うといわゆる
「裁判員裁判の裁判員候補者名簿に来年1年間登録されました!」
というお知らせのお手紙。
裁判員裁判制度は詳しくはこちらを↓
少し冷静になろう。
なんとなくだけど、
「あんまり人には言わない方が良さそうだなぁ・・」
とはやはり思った。
#実際に候補者になったり 、裁判員に選ばれたことを公にしては
いけないことになっています。(法律上禁止です)
ただし、会社の上司や家族にはOKです
とりあえず奥様には報告をしてみる。
「ヘぇ〜」
そりゃそうだよね、俺もそう思ったもん「へぇ〜」って。
それから封書の中身を確認したり、ネットで調べると、
今回のこの名簿のお知らせというのは、
▼来年1年間、裁判員に選ばれるかもしれない「ただの候補者」の
一人に過ぎないこと
▼制度が始まって10年間で延べ約300万人候補者になっていること
▼もちろん任意なので強制力はなく、辞退することもできる
ということらしい。
ん〜、なるほどと。
そんなにバタバタするものでもなさそうだし、
そんな事は多々あるだろうと・・
僕はその封書をそっと引き出しの中にしまい、
いつもの日常に戻る。
__________________________
そして多忙の中2019年も暮れ、2020年を迎える。
その後世間には「新型コロナウィルスcovid-19」が広がり
時代を大きく揺さぶることになっていく。
僕らは大きく変革を求められ、
何が正解かもわからぬまま取捨選択を迫られる。
憤り、悩み、苦しみ、涙して
それでも歩みを止めるわけにもいかず・・
毎日をただただ必死に生きていた。
もちろん引き出しにしまったその封書のことなんて
1mmも覚えているわけもなく。
やがて夏が来ても
コロナ禍のため、旅行とかにも行けず
日々のお店の営業と週1の定休日を繰り返していた。
そしてまだ残暑が厳しく残る8月終わり、
忘れていたその事態が急に動き出す。
家のポストにさらに大きな封書が届いたのだ。
も、物々しくて
で、でかいのが来た・・
「ついに来たのか・・?」
頭をよぎる。
自分が色々な意味で「引きの強い男」という自負はある。
人生振り返ると紛れもなく引きは強い。
ここでも、やはり。
しかしかなりの重さと厚さだ。
慎重に開けてみる。
中には書類が数点と冊子が1冊。
そこにはこう書かれていた。
『裁判員選任手続期日のお知らせ』
はい、ビンゴ。予想通り選ばれてしまったようだ・・
同封の書類をしっかりと読み込んでみる。
そこに書かれている事はざっというとこうだ。
▼あなたは今回、◯月□日から行われる刑事事件の裁判の
裁判員の候補者に選ばれた
▼あなたを含めたその候補者の方から
正式に裁判員に選任する手続が今後執り行われる
▼記載されている裁判日程や仕事ややむを得ない事情がある場合には
この時点で辞退をすることも出来る
→質問書の回答として提出する
▼裁判員の選任に参加する方は×月×日に裁判所に来てください
そうか、まだ決定ではなくて、
「一次通過して最終審査へ」
といったところなのだ。
なるほど・・。さぁ、どうする・・。
先ほど言ったように、この引きの強さ、これも何かのご縁、導かれしもの、
「抗う理由なし」
▼まだ見ぬ世界を知る事はプラスでしかない
▼ドラマHIRO世代・・興味ある
▼法の下の平等がどのように示されるのかを見てみたい
▼子供達に見て感じたことをいつか伝えることができる(←これが大きい)
▼しかも最終的に抽選によって該当者が決まるので
まだわからないということ
ということで、
選任手続きに参加する旨を書面で作成して
返信用封筒にてお送りすることにした。
裁判員選任手続期日は10月2日(金)・・約1カ月半後だ。
そこではオリエンテーションや事前の打ち合わせ、
そして当該事件の概要の説明、
(ここで今回の裁判で取り扱う事件が初めて説明される)
必要な方は個人面接の実施・・などが行われ、
最終的には「抽選」で決まる・・となっている。
もしそこで裁判員に選ばれた場合は
その数日後から裁判が始まり5日間参加することになるそうだ。
ということでこの後にした事は
お店のスケジュールの調整をして、
参加の場合1週間レストランはお休みへ、
また子供達の送迎等の段取りを相談などした。
そして月日は経ち、
最終審査の10月2日を迎えた。
集合時間は午後。
場所は・・
横浜地方裁判所。
僕は人生で初めて、その建物へと入って行った・・
<中編へ続く>
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