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「この町に何がありますか?」と聞かれた時の正しい答え方

もうなんだってありますよ。大したものはないけどね。

朝ドラ「半分、青い。」でマンガ家を目指して上京した主人公、鈴愛の祖父仙吉が、鈴愛の師匠である天才漫画家秋風羽織が鈴愛の実家を訪れた際に言った言葉です。

中村雅俊さん演じるダンディズムを優しさでとかしたようなまろやかさを持ったイケ爺の仙吉さん。仙吉さんはなんと作中で引き語りまで披露してくれますが、もうこれは中村雅俊さんそのものですね。

さて、本題に戻ります。

「もうなんだってありますよ。大したものはないけどね。」

なんと愛に溢れた言葉でしょう。この言葉に私は強い衝撃を受けました。

「この町に何がありますか?」
「何もないよ、こんな田舎。」

よくある会話ですね。
こんなに悲しい答えはありません。テレビを見ているとこの回答が多いです。でもね、何もないなんてありえないんですよ。

謙遜なのでしょうか。もしかしたら、自分の大切な町を紹介してバカにされたり非難されたりすることが怖い、という愛情故の言葉なのかもしれません。
でもこの答え、質問した人に対して最も失礼な答えです。

旅人というのは、まだ見ぬ出会いを楽しみにやってきています。
それってちょっとしたことが嬉しいのです。世界遺産だとか、行列のできる店だとか、誰にでもはかれる価値を聞いているわけではないのです。だってそんなの、ググればすぐにわかるでしょう。このご時世、誰でも知っている魅力的なものならインターネットですぐ見つけられます。そこで見つけられない、その地域の人だからこそ知っているちょっとしたものを知りたいのです。

私自身、出身地である茨城についてこの質問を受ける回数がとても多いです。さすが魅力度ワースト県。

「茨城って何があるの?」
「なんもねえよ。」

「偕楽園ってどうですか?」
「あんなところ行ってもしゃあねえよ。」

本当にやめてください。

正直に言うと、私は特別茨城推しなわけではありません。ただ、47都道府県全ての地域。それぞれにそこにしかないものがあるのを知っている。それだけなんです。

何もない。

と言ってしまったらそこで終わりなんです。

絶対行った方がいい!と熱く語ってくれたり、
大したことはないんだけど、と言いつつも行きつけのお店を教えてくれたり、

内容そのものより、あなたが愛を込めて話してくれた、その事実に旅人は心を動かされるのです。
実際それが大したものじゃなかったとしても
愛されているこの町は、きっと良いところだろうと思って帰っていくのです。


あなたの見ている当たり前の風景が、特別な人はいます。どうしても自分の日常に溶け込んで切り離せなくなった当たり前の特別を自力で見つけるのは難しいですよね。

自分の町の魅力がわからない場合は、文化圏の異なる地域出身の人に聞いてみるのがオススメです。

あとは、やはり自分の目で他の地域をまわってくると自分の町がまるで違って見えてきます。

それでもなお、自分の住む町の魅力がわからないという場合。私に連絡してください。今まで47都道府県を見てきて、そんな地域はまずありませんでした。きっとあなたの町に「あるもの」たくさん見つけられますよ。

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