#56 「わたし、へたなんです」
今回の記事は、鹿児島県指宿市の池田湖の畔で生まれ育ち「絵を着る」をコンセプトにしてTシャツを土台に絵を描き始めたsumire_store(スミレストア)のすみれさんのインタビューとなります。
月市に毎回参加してくれている、すみれさんの心地よい感触のまま直接描かれる色彩や文字、形たちには、本来は言葉にする必要がありません。ただほんの少しだけ、彼女の中にある世界に対話で触れることに試みてみました。
インタビューの対話を通じて、すみれさんの魅力の色がもっと深く滲んでいくといいなあと望んでいます。
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◯ 登場人物
月市:コーヨー(コ)
sumire_store:すみれ(す)
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1_苦手なのに、絵を描く理由
ー すみれは、絵をなんで描き始めたの?
コ)面白がってくれる人が現れたのは、自分にとって大きいことだよね。すみれの絵には名前がついてるけど、名前から決めるの?
コ)自分自身の波のような中で描くからこそ、全部タッチは似てるけど違うものが生まれてるよねー
コ)全然違う。笑 シリーズ物はやり続けられているよね。
コ)一晩置くの?!
コ)「料理はできない」ってよく言ってるけど、なんかめちゃくちゃ料理みたいにつくってない?笑
コ)下拵え先にしておいて、それを味見して〝あーこれは酸味強いから今日はこっち料理に合うかもなー〟って感じに作ってるね!笑
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2_本当のわたしを認める行為
ー 色とベタって塗った立体感や形に反応して、描いてるってことだよね?
コ)〝どうみえてくるか〟が重要で、すみれの状態次第ってことは、例えばすみれ自身が動物に詳しくなったら、みえてくる動物も増えるってことだとしたら、すみれが成長したら絵も成長するってことだよね!
コ)もしかしたら、自分が好きになりたいのかも。
コ)当然自分を好きでいて欲しいって思うから、学生の頃に先生や大人に否定されるって相当絶望じゃん?
コ)「自分の満足感と社会の求められているものが違う」ってことだよなあ
コ)そうだよね。それを肯定する活動でもあるよね。絵を描くってことは。
コ)それが、すみれの為でもあるし、社会に求められてないと感じる人のためにもなるから、是非続けて欲しいですね。
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3_色に命が宿るとき
コ)みんな、得意だからやってるって思っちゃうよね。すみれは反対で「(肯定的な意味として)へたで、おもしろいからやってる」んだもんね!
コ)なるほど、わかるかも。笑
宇宙というか、底が見えないくらい深い海でさ。目でみえないくらいの微生物がさ、ミジンコみたいな形に成る瞬間みたいな!なんか、命得た!命は得たもののエネルギーを何処かで吸収して生きてるけど、全く分かってない!やっと生き物になった!みたいな絵だもんね、すみれのやってること。笑
コ)ひとつひとつ説明求められたら、すみれもほんとは困るよね。
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実は、このインタビューは本人に内緒で行いました。(掲載の許可は取ってあります。悪しからず。)僕は〝これは大事な話だな〟と感じるとボイスメモを起動するんですが、いい対話が残せて良かった。何より、すみれさんの真ん中のところに触れることができて良かった。
すみれさんの絵に在る〝心を解してくれる力〟は、「社会」と云う枠には収まろうとするときに離れようとする磁力みたいなものであって、プリミティブ(原始的)な力が宿ってるんだなあと感じました。
誰もが感じるであろう、赤ちゃんが誕生したときの柔らかくて、脆くて、儚くて、尊くて。その感覚をずっと持ち続けたまま、色に生み出して、形を生み出して、命を生み出す、すみれさんの話をお聞きすることができました。
ありがとうござました。
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◯ sumire_store / Instagram
◯ sumire_stores
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