対人関係と自分との関係

幸福の自己責任論では自分で自分を大切にする生き方をご紹介しています。これはつまるところ自分自身と良好な関係を築きませんかというご提案です。何故なら対人関係とは自分との関係の延長であり、自分で自分を愛せない間は周りを愛せないし、周りを愛せない間は周りからも愛されにくいし、周りから愛されない間は自己肯定感も上がりにくいと考えるためです。今回はその辺りを掘り下げてみたいと思います。

幸福の自己責任論では相手は変えられないものと考えます。しかし周りから愛されることが自己肯定感や幸福度を高める近道であることもまた事実でしょう。そうかといって「1日100回愛してると言って!」などと愛を期待してしまうと相手を疲れさちゃうし、自分の幸せが周りの言動に依存するという非常に不安定な人生になってしまいます。このジレンマを解決するために、自分に注いだ愛情を周囲へと溢れさせることにより周りから愛情が返ってきやすくするという戦略をとります。

人は自分に与えるものしか相手に与えることができない、と言われています。幸せな人は自分にたくさん与えているので周りにもたくさん与えることができるし、周りも嬉しくなってお返しするからむしろ最初よりも増えちゃう訳ですね。だから奪い合えば不足し、分け合えば余るんです。でもこれって物だけじゃなく他のことにも言えると思うんです。

例えば愛もそうです。自分を愛する人は周りを愛せるので、周りから愛が返ってきて最初より心が満たされていく訳です。信頼や自由だってそうです。自分を信じて自由を与える人は周りを信じて自由を与えることができるので、周りからも信頼され自由が返ってきてどんどん自信がつき自由になっていくんですね。愛せないものは信頼もできないし、信頼できないものに自由を与えることはできないので愛と信頼と自由はセットで考えていきます。

この愛と信頼と自由を自分に与えないとどうなるでしょうか。自分に与えないものは周りに与えることもできないので、愛も信頼も自由も周りに与えることができなくなりますね。まぁ一時的にできたとしても、ずっとは無理でしょう。そうなると周りから愛されることも信頼されることも自由を与えられることも減り、あたたかい関係性を維持することが困難となります。だってお互いを愛さず、信頼せず、束縛し合ったらどっちも疲れちゃいますからね。

そこで幸福の自己責任論では愛と必要を区別し、信頼と期待を区別して考えます。愛と信頼は相手に自由を与えるのに対して、必要と期待は相手の自由を奪うためです。多くの夫婦が必要を愛と呼び、期待を信頼と呼び、お互いの自由を奪い合っているため疲れ果て、その関係を終わらせてしまうんですね。

そうならないためには必要を愛に代え、期待を信頼に代え、束縛を自由に代えることです。そして相手を愛し、信頼し、自由を与えるためにはまず自分で自分を愛し、信頼し、自由を与えるしかない訳です。ない袖は振れませんからね。イメージとしては「あなたが笑顔ならそれだけで充分」という心境ですね。そういう心境になれるのは基本的に心が満たされている人、言い換えれば自分の幸せを自給自足できる人です。だからいずれにせよ自分で自分を大切にすることが相手のためにも重要なんですね。対人関係も結局は自分次第、自分自身との関係次第という訳です。

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