Aさん

私の恋人Aさんは面白く、そして少し寂しい人の様に思う。自責感が強くて、誰も傷つけないようにと立ち回り、なのに自分は傷ついて、ひたむきに真っ直ぐで、行動力がカンストしてて、自由人で、向上心が強くて、強迫観念に突き動かされがちで、少し自罰的で、たった1人で生きていけてしまうような。そんな人。
僕は恋人が「私は一人で生きていく」なんて事を言う前に誰か手を差し伸べ無かったのか、もしくは差し伸べられた手が悪意に満ちたものなのかは分からない。が、きっと誰も助けてくれなかったのだろう。でなければ、ここまで孤独に1人で立ち上がってしまう様な人にはならなかったような気がする。長所でもあり、短所でもある。

恋人には「君は異星人だ」的な事を良く言われる。ちなみに自覚はある。どうしようもないほどに。歪みに歪んだ私が、異星人と言われるのは至極真っ当だろう。

私の恋人は人を愛する。が、自分に対しては少し謙虚すぎるきらいがある。だからこそ、私は真っ直ぐに言葉をぶつける。容赦なく。それが、私にできる「Aさん自身でAさんを愛せるようになる為の」唯一の事だからだ。

私の恋人は、諦めずに真っ直ぐ進む人である。邪魔をする人達は全て優しく遠ざける。全てを諦め、全てを捨てて私しか見なくなった私には、あまりにも眩しすぎる存在である。

私の恋人は「君から学ぶために来た」と言った。その真意がなんなのか、私には知る由もないが私の事など超マイナー小説と、F氏の本と、AVで構成されているから全てを見て読めば分かってしまう。そのくらい薄い人間である。AVで構成されているから、セックスの仕方ですら学べないだろう。

私の恋人は私に「長生きして欲しい」と言う。いよいよピンチの私。タバコで少しづつ呼吸器官と血管その他臓器を殺し、不健康な食生活で体を殺し、不摂生な生活で精神を殺してきた私がこの先何年、何十年生きれるか。少しでも長生きしてやろうじゃねえかと思わせられた。

私の恋人は気にしいである。「誰にも関わらなければ」なんてことを普通に言う。紆余曲折を経て今こうして話ができるのだから、良い物じゃないかと思う私だが、私の幸せ基準で恋人を測るなんてことはしたくない。きっと、私の想像を超える何かがあったのだろう。

優しすぎて眩しすぎて自由人で少し寂しい。私もそんな人になれるだろうか。と、ふと思ったが
また私は社員証を無くしたらしい。きっと私は私のままで良いのだろう。

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