デフォルトにさせてくれなんて

「今の環境をデフォルトにさせてくれ」なんて恋人に言われた。私の恋人は自由人で、とても強くて、どこでも金が稼げて、色んな所を転々として生きていくのが良いと言っていた。そんな私の恋人が「ここに長くいさせて欲しい」とこんな私に言ったのだ。

多分、私は今まで誰か一人と長く暮らして、長く愛された経験がない。両親は別。そこには「自分たちが産んだ子供である」と言う揺るぎない事実がある。正直、愛して然るべき義務があると思っている。もちろん、高校卒業まで捨てなかったのは感謝しているが。

本当に私で良いのか。恋人は「君がいい。君だけだ。」と言う。頭では分かる。でも本当に私で良いのか腹落ちしない。今まで共同生活を続けてきて私が頑張れたのは「いつかこれも終わる」と信じていたからだ。どうせ年内、遅くても1年以内で解散する。ならばこの短期間くらい身を削って尽くすべき。恋人が「はしこーに会えて良かった」と、記憶の中で恋人の糧になれればそれがベストと信じていたからだ。

その終わりが永遠に遠く感じた。100m走のゴール直前で「やっぱりゴールは42.195km先です!!!」と言われたような気分。不安が頭をよぎる。私がやって行けるのだろうか。

今朝方、ふとB’zの「Pleasure〜人生の快楽〜」を聴きたくなった。「止まれないこの世界で、胸を張って生きるしかない」
胸を張って生きるしかない。むぅ。なんとタイムリーな。

誰にも期待しないと言っていた私だが、期待していた。「いつか終わらせてくれる」と期待していた。そんな私に気付いた。

であれば、期待の形を変えるべきではないか。私の恋人に対する期待を「さっさと終わらせてくれ」ではなく「長くここに居てくれ」にすべきではないか。本当は期待したかった。であればその期待を傷つくのを覚悟で相手に投げつけるべきではないか。

私は恋人に期待してみようと思う。「私の価値観を大きく修正してくれる」と。

そして、私も恋人に「こいつを選んだ私の目に狂いはなかった」と言わせられるように長距離マラソンを頑張ってみようと思う。

「止まれないこの世界で、胸を張って生きるしかない」
胸を張って生きるしかないのだ。考え込むのは全部終わってからにしようではないか。

To:私の恋人

人生で初めて血の繋がりのない人に、した事の無い期待するやもしれません。どうか、どうかご容赦ください。初長距離マラソンになります。至らぬ事ばかりかと思いますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

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