小日向由衣物語⑤

新しい生活様式で、新しい生活スタイルが始まりました。リモートワークも増え、通勤ラッシュから解放された人達の声をTwitterで見かけていたのにも慣れ、在宅は特別な事ではなくなってきたようです。マスクや手の消毒も、お店に入る時に体温を測られる事も習慣になりました。

私は有難いことに、自主企画で安定したライブ本数を開催する事が出来ています。お客さんも着席にマスク声を出さない事に協力してくれています。注意喚起を徹底しなくても、コールをする人は1人もいません。

新しい生活スタイルになり、特に変わった所は、コールや笑い声の変わりに木魚の音が鳴り響く事です。私はマスクでわかりづらくなったみんなの表情を、木魚の音色で汲み取っています。会場内の人数制限も着席のライブにも慣れてきました。配信が充実し、遠くに住んでいる人達にも、手軽にライブを見てもらえるようになりました。

私は会場と配信、両方に上手いこと立ち回る事が出来きず、中途半端になってしまうので、会場に集中してライブをやるようになりました。配信で見てくれる人も私のライブの生感を感じた方が、現場を見てるような気持ちで楽しんでもらえるんじゃないか。と思っています。配信は後日、アーカイブでみんながくれたコメントを読んで見直しながら楽しいでいます。本当は、もっと上手いことやれればいいんだけど、配信と現場を両方楽しませる事は、音楽業界の課題だ。とか、専門家の誰かも言っていたように難しいです。

近さが売りだった地下アイドル達が、近さを売りに出来なくなりました。握手が出来ないのが当たり前になり、距離が保たれるようになりした。私はみんなの声が聞けない事にも、みんなの笑い声が聞けない事にも、変わりに木魚の音が鳴り響く事にも慣れてこれが普通だと錯覚しはじめています。

一時期ハマって、出演している作品をまとめて全話みるくらい好きだった女優さんの死にショックを受け、同時期に入ってきた当時も話した事はあるけど親しいとまでは言わず疎遠になっていたクラスメイトの死の悲報に重ね合わせました。死んでしまう事を想像し、身近に感じました。人と人との距離を保つのが当たり前になった新しい生活スタイルの中、心と心まで距離をとり孤独になってしまっているのかもしれません。

隣に住むおばあちゃんが、コロナが流行ってから娘達が遊びに来なくなった。と言っていました。最初の頃は電話が来ていたけどそれもなくなり、近所の人との交流も減り、感染しないように気をつけてても、何の為に生きているのかわからないね。と言っていました。声を掛け合い、支え合う事は尊い事だったはずなのに、放っておく事の理由に、距離を保つ事を言い訳にしていないでしょうか?

私は時折、昔のライブ映像を見返しては、みんなの声や笑い声を聞きます。みんなが声を出さずにいてくれているから来場ライブが成り立っている事を忘れたくないです。声を出せないのも声を聞けないのも、辛いし寂しいと思います。ライブは声援があった方が盛り上がります。中には声を出さなきゃいけないと言う使命感から解放されている人もいるかもしれませんが、自由だった楽しみ方の1つが、消えてしまうかもしれません。その声を今は音として聞けなくても、いつかみんなの声援を聞ける日常を取り戻せるように、私は今に慣れたくありません。

過去に、私にお客さんが居なくて、他の子には物販に列ができて、楽しそうにチェキをとっているのに、私の所には誰も居なくて、可愛らしさや魅力がないと言われているようで、自信をどんどん失っていました。そんな私を見て知らないお客さんが、引退した方がいいんじゃない?と言いました。あの時、私だってアイドルがやりたい訳じゃない。場違いなのはわかっている。と、傷つきました。
もし、そのまま辞めていたら、小日向由衣の物語はそこで終わっていたと思います。それでも、お客さんが居なかった私に応援してるよ。と声をかけに来てくれた人のおかげで、ギリギリ前を向いてここまで続けて来れました。アイドル現場で沢山の人に出会い、オタクと一緒に物語を作ってきました。自分の物販に列が出来るようになった事も、CDやチェキを買ってもらえるようになった事も、需要がない。って言われ続けているようだったあの日々があったから、嬉しさも倍増するのだと思います。
アイドルを自称する事は、自分を肯定する力がないと出来ません。だから私には向かなくて嫌になります。それでも、私はここで頑張ってきました。だから私は、日本のアイドルであり、シンガーソングライターです。

私は小日向由衣を通して、小日向由衣と言う人生を感じてもらえたらと思います。人はそれぞれ、どんな人でも自分の物語を持っています。幸せを感じたり、悲しんだりして生きています。いつか必ず人は死にます。その物語にも終わりが来ます。傷つけていい人なんていません。

ライブハウスで体感して音楽を楽しむ事は、生きる為に必要だと私は思います。
私はライブハウスの未来も、音楽には人を救う力があるって信じます。
そして、想像します。木魚を持って家を出る時の気持ちや、会場で木魚を鳴らしてくれたり、拍手で応えてくれるみんなの声を、本当は大爆笑のはずです。本当は会場に来たいけど、配信を見ながら応援してくれている人の顔と声を。届いているのかわからないのに、どんな気持ちでコメントを書いてくれているのだろう。そしたら、見えてくる事もあります。想像してください。一人一人に人生の物語がある事をみんなで想像出来たら、優しい世界に近づけるんじゃないか?って思います。


小日向由衣10年物語はどうでしたか?

そして、私の10年物語の結末は、私には大きすぎる夢の舞台、WWWへと続いて行きます。2020年の大変だった事も、悔しかった事も全部置いて2021年を笑って迎える、新しい物語の始まりにしようと思います。この物語の結末はWWWで見届けてください。



れじぇらーゆいちゃんこへ
今まで本当にありがとう。満遍なく何も出来ない私と一緒に遊んでくれて、とーーーっても幸せです!私達の物語はいつだってここからだよ!まさかあのレジェンドが?!ってびっくりさせてやろうよ!!!これからもまた10年宜しくね!もっともっと幸せにしてね!私はこれからもずっと一緒にいるよ!2020年12月28日19時にWWWに集合ね!!!思いっきり楽しもうね!!!ぜわか!!!


続く

#小日向由衣物語
12月28日月曜日
周年記念年忘れ単独公演
劇場版 小日向由衣の野望〜凸凹風雲録〜

開場18:30 開演19:30

前売¥4500 当日¥5000 別途drink

会場:渋谷WWW

出演
小日向由衣
with組織

発売日
11月7日 10:00〜 eプラス

https://eplus.jp/sf/detail/3340760001-P0030001

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