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ペダルを踏むと鳴る異音、いったいどこから? タンゲBB「LN-7922」113mmと加茂屋「ジェニーサス」装着

ギシギシ。

筑波山ヒルクライムに挑戦したころから、ペダルを踏み込むと、そんな異音が鳴るようになってしまいました。ペダルにトルクをかける(力をこめる)と異音が発生し、ブレーキでタイヤが動かない状態にしていても、この部分に負荷がかかると音が鳴ります。

最初にこの音を聞いたときは、クランクの根元付近から音が鳴っているように聞こえました。つい最近、ペダルを三ヶ島製作所のものに交換したばかりだったこともあり、「これはクランク周りの不具合だろうな」と考えました。

いろいろ調べてみたところ、クランクを回す軸となるBB(ボトムブラケット)の摩耗がこの異音を生んでいるのではないか、という推論が立ちました。ブロンプトンに標準搭載されているBBは回転があまりよくない、という評判も聞きますので、思い切ってメイド・イン・ジャパンのBB、 丹下精機工業株式会社の「LN-7922」軸長113mmを装着することにします。

クランクを外し、専用工具で標準搭載のBBを引き抜き、綺麗に掃除したあと、タンゲのBBを挿入します。足回りがシルバーになりました。

ちょっと気になったのは、BB交換後、標準よりも左側のクランクとBBの隙間が広がったこと。通常走行には問題ないレベルではありますが、左右のクランクの隙間(いわゆるQファクター)の差は少し気になります。
2012年以前のブロンプトンのクランクはISO規格(欧米の工業規格)、タンゲのBBはJIS規格(日本の工業規格)のため、同じ四角テーパーの軸でも数mm単位でズレが出てしまうようです。2013年後期以降のモデルのブロンプトンに搭載されているクランクはJIS規格に変わっているらしいので、新型クランクが一般販売されるようになったら、交換するとこのズレも直るかもしれません。そのうち試してみます。
※専門店に問合わせたところ、2014年7月現在、新型クランクは完成車に搭載する分だけで生産量がいっぱいいっぱいらしく、クランク単品での販売開始にはまだ時間がかかるとのことです。

BBを交換したことで、クランクの回転は恐ろしくスムーズになりました。標準搭載のBBとの差は、特にトップギアや上り坂など、ペダルが重い時に顕著で、踏み込んだ分だけその力がしっかり推進力に変わっている感じを受けます。
今まで「ふんぎぎぎ」と踏み込んで登っていた坂が、「ふんぬ」ぐらいの踏み込みでも登っていくことが可能になった、と思います。
BB本体は3000円ほどなので、このお値段でここまで乗り心地が変わるとは、コストパフォーマンスの良いカスタマイズだと思います。個人的にブロンプトンの「カスタマイズしてよかったランキング」では2位に入ります。
(※1位ハンドルグリップ、2位BB、3位ペダル)

で、まあ、乗り心地は大変向上したのですが、BBを交換したにも関わらず、

ギシギシ。

という異音は続いていました。やっぱりクランクの根元、BBあたりから聞こえる気はするのですが、原因はBBの摩耗ではなかったようです。この部品の周囲はフレームで音が反響するため、経験者の方でも異音の発生源をすぐに突き止めるのは難しいとのこと。ペダルから鳴っているように聞こえても、実際の音源はそこではないことも日常茶飯事のようです。難しいですね。

さらにGoogle先生に聞いてみたところ、「ペダルを踏み込んだ時に異音がする」+「立ちこぎをする時に異音が減少する」ようであれば、リアサスペンションの摩耗を疑うべきだということが分かりました。

確かに、サドルに体重をかけないときには、ペダルを踏み込んだ時の異音が小さくなっていました。また、サドルに座っているときは、9時方向を進行方向とすると、ペダルが10時から11時の方向ぐらいの位置で負荷がかかった時に「ギシギシ」と音がするのですが、立ちこぎの時は6時~7時方向で「ギシギシ」と音が鳴っていました。下方向に力がかかった時に、音が鳴っているようです。

このことから、つまり、「ブロンプトンの前フレームと後ろフレームを繋ぐ部分に体重がかかった時に、何かの部品が軋んでいる」ということまで見当をつけることができました。さっそくリアサスペンションの補修にとりかかります。

補修といいつつ、「せっかく修理するならパーツをグレードアップしようか」という安易な考えのもと、ブロンプトン用のオリジナルパーツの製作・販売を行っている加茂屋の「ジェニーサス」を購入することにしました。

金属製のスプリングと樹脂製のエラストマーを組み合わせてサスペンションにしている高機能なパーツで、お値段も5000円と少々お高め。しかし、体重も身長も世の人の平均より高めな私にとっては、ブロンプトンの通常サスペションハードタイプよりも更にしっかりと硬いサスペンションを探していたところでもあったので、いい買い物だったと思います。

シャフトとエラストマーをグリスアップし、しっかりと締めつけて装着します。見た目がメタリックでカッコイイですね。
私がスーパーハードタイプの硬いサスペンションを選択したこともあってか、通常のサスペンションと比べて「ものすごく衝撃を吸収する」というほどの効果は実感できていません。しかし、ちょっと路面状態の悪い道、例えば路側帯を走る時などでは、路面の小さな凹凸を乗り越える衝撃をしっかりと吸収してくれて、腰にかかる負担を削減してくれます。標準サスペンションのお値段2倍のこちらのサスペンション、見た目と合わせて「なかなか良い」というのが私の印象でした。

で、また乗り心地が上昇したものの、

ギシギシ。

相変わらずペダルを踏み込むと異音が鳴り続けます。
思わず頭を抱えてしまいましたが、「ブロンプトンの前フレームと後ろフレームを繋ぐ部品」の軋みであるという見当は間違っていないはずです。そうなると、残された該当部分は・・・

ここしかないですね。ブロンプトンの前フレームと、後ろの三角フレームを繋いでいるリアヒンジです。ふだんは右クランクに隠れていて見えない部分なので、クランクを取り外し、4mmアーレンキーで両側からギュギュっと締めつけ、可動部にドライタイプのテフロンオイルを塗り込んでおきます。

結果・・・やっとペダルを踏み込んだ時の異音が消えました!

確かに2年間ブロンプトンに乗っていて、このヒンジ部分は普段見えない部分であることも手伝って、ネジの増し締めや注油を怠っていました。そのせいでここに負荷がかかった時、軋む音が発生していたようです。

今回は異音の発生をきっかけに色々な部品を交換し、交換した部品は異音と関係がなかったという大ポカをやらかしましたが、整備に関する私の経験値が大幅に上昇したので、無駄ではなかったと喜んでいます。乗り心地も向上しましたしね。特にBBの交換は本当に気持ちがいいです。

自転車は人間の言葉が喋れないため、ひとつひとつ原因を考えて対応していく作業が大変ですが、まるで人間を相手にしているようで、一種変わった楽しさがあります。

ペダル・BB・サスペンションが日本製の部品に置き換えられ、これ以前にチェーンをシマノのものに交換しているため、私のブロンプトンは日英ハーフっ娘状態に近づいてきました。これでクランクをスギノのものに交換すれば、「イギリスで建造され日本で大規模な改装が行われた戦艦」のごとき存在になりますね。「HEY! 提督ゥー!」のあの娘です。自転車を擬人化した「銀輪これくしょん」略して「輪これ」、流行んないですかね?

あ、ハンドルグリップは「ERGON」のコンフォートグリップ、タイヤは「SCHWALBE」の「マラソン」を使用しているので、私のブロンプトンは日英ハーフというか、日独英三国同盟モデルでした。

余談はさておき、乗り心地の上昇したブロンプトン。さっそく夏のロングライドで試してみたいところです。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。


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