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なぜ、どこもかしこも「いいね」ボタン?

 仕事中、会社からのメールで、就業コンディションに関するアンケートが届いた。
 アンケートはたったの3問。画面はこんな感じ。

「Q1.仕事に対する満足度はいかがですか?」
「Q2.あなたの職場の人間関係は良好ですか?」
「Q3.最近、よく眠れていますか?」

それぞれの問いに対して、快晴マークから大雨マークで回答するというものだ。

 これは、「Geppo(ゲッポウ)」という従業員のコンディション変化発見ツール。リクルートとサイバーエージェントのHRテクノロジーが2017年に共同開発したもので、2018年にはグッドデザイン賞を受賞。現在、多くの企業や組織で導入されている。

 特徴は、「とにかく手軽」ということ。回答に要する時間はわずか5秒。毎月このアンケートが届くが、回答にまったく負担感がない。これで会社側は全従業員の体調やコンディションを把握できるのだから、まさにWin-Winのツールである。

 ところで、このユーザーインターフェース、似たようなものをどこかで見たことがあるなぁとふと感じた。よくよく思い出してみたら、これだった。

 株式会社アロハワークスの提供する「Happy or not」。店舗や施設に置くことで顧客満足度を調査するツール。
 これと同じメーカーのものかどうかは分からないが、私は日常生活で2回ほど見たことがある。一つは、羽田空港のトイレで「トイレの清掃状態はいかがでしたか?」という質問とともにこの機械が設置してあった。もう一つは埼玉県飯能市のムーミンパークの施設出口で。

 なんだか、一周まわって、ものすごく簡素…。
 でも、これなら誰もがやるんだと思う。
 そして社会全体が「簡素なアンケート」の方向性になっていると感じる。

 一昔前までは顧客アンケートを取るとなったら、いかに詳細のデータを取るかということが重要なポイントだったように思う。「良い」「悪い」だけのアンケート結果なんて分析のしようもないから。だから色んな質問を入れたり、定性的なコメントを書いてもらったりしていた。

 でもそういったアンケート調査の落とし穴は、データに偏りが出てしまう事である。アンケートを書いてくれるような人は、基本的にそのサービスに対して好意的な印象を抱いている人がほとんどだからだ。あるいは、相当悪い印象を持っている場合はクレームを書き込むかもしれないが、それもほんの一握りだと思う。

 全員の意見を吸い上げるためには、負担なく超簡単に答えられるものでなければならないが、世の中がビッグデータを扱うようになり「良い」「悪い」の簡単なアンケートだけでも、十分な分析をできるようになったという事が一つの要因なのではないだろうか。
 (逆に、定性情報は、解析に時間がかかったり、ある程度、その施設のことを分かっている人が読み解かないと意味がなかったりするものである。)

 従業員の接客レベル、清潔さ、商品の値段、アクセスの便利さなど様々な変数が定量指標化されていれば、あとは「最終的な満足度」さえ分かれば、それぞれの変数がどの程度、最終的な満足度に影響を与えているのかが重回帰分析的手法によって明らかにすることが可能なのである。

 ユーザー視点でも、「簡単に意思表明できる社会」になってきてるなあと感じる。
 むかしmixiには「いいね」ボタンが無く、みんなとにかくコメントを書いていたものだ。それがFacebookの台頭により「いいね」ボタンが主流となって、mixiにも「いいね」ボタンが付くようになった。

同様のボタンはYou Tubeにも・・これはGoodボタンと、Badボタン。

次世代の価値は、お金⇒情報⇒つながり へと移行していくらしい。

「いいね」ボタンの背景にある世の中の考え方は、情報やつながりといった価値をいかに定量化するか?という事につながっていく気がする。

そんな事を思った今日この頃です。

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