見出し画像

BIMと2D設計の違い

画像1

”BIMと2D設計の違い”マインドマップ

■2D設計の課題=整合性と作業量

 従来の2D-CADを使った設計では、平面図や立面図、断面図などの図面をベースに設計を進め、模型などで立体検討をしていました。

 各図面データは、一つのフォルダ内に保存され、複数の図面ファイルを開いてファイル間を行ったり来たりしながら図面作業をしていました。

 Vectorworksは8枚以上のファイルが開けなかったので、9枚目のファイルを開くためには不要なファイルを閉じなければいけません。その際、閉じるファイルを保存し損ねてバックアップ出来ていない分の作業データを失うなど、ケアレスミスの事故を何度も経験しました。
 また、図面整合が取れていない部分が次々と現れ、それらを一つ一つ修正する作業に多くの時間を割いていました。

画像2

■BIMでの設計 

 一方、BIMでの設計は3Dモデルで空間の検討を進めていき、最終的に図面にアウトプットするという真逆のワークフローになります。
 ボリューム検討、ゾーニング、プランニング、簡易モデル、詳細モデル、図面の切り出しというように全て一貫性のあるワークフローで進めていくことが出来ます。

 また図面の修正は、ほぼ自動更新です。例えばモデル上で窓の大きさを一つ変えると、平面図、立面図、展開図、建具表などの図面が更新され、注釈やガラス・開口部表示などの図面表現を調整する程度で作業が完了します。

画像3

■データ管理には要注意

注意しないといけないことは、PCスペックが低いとモデリングやレンダリングの際にアプリケーションが落ちてしまいます。そのため、バックアップは頻繁に取っておきたいところです。

 私は環境設定で25回操作毎に一度バックアップ設定にしています。

私の場合、メモリを64GBまで上げてからは落ちなくなりました。PCスペックは重要です。

画像4

また、BIMモデルはデータ容量がかなり大きいです。36坪の歯科医院の設計で最終データはVectorworks2019で677MBでした。2020から自動でデータ圧縮がされるようになったようですが、それでも440MBになっています。

■模型つくる。つくらない。

 模型の有用性はBIMを導入した後も変わらず感じています。手で触れることの重要性は変わらないので出来れば作った方が良いですね。ただ、BIMを導入することで模型を作る種類を減らすことは出来るだろうと思っています。

 それはVectorworksのモバイルアプリNOMADを使ったARの活用です。私のiPhone8だと重いデータはアプリが落ちてしまうのですが、簡易なモデリングであれば、ARを使ってモデルを机の上に投影させます。スマホで様々な角度から建物のモデルをチェックすることが出来ます。

スタディ途中の白模型であれば代用できるのではないでしょうか。

画像5


■静的から動的打ち合わせへ

 2D-CADの設計では、図面やプレゼン用に制作したCG(静止画)を印刷して図面の束をクライアントと確認しながら打ち合わせをしていました。

 BIMの設計では、メモ用に必要な図面だけクライアントに渡します。打ち合わせは持参したノートPCでVectorworksを起動し、モデル空間をウォークスルーやフライオーバーを使って動かしながら説明をしていきます。

画像6

その際、このような3Dマウスを使うとモデル空間をドローンのように移動できて便利です。

■3Dconnexion SpaceMouse Wireless: https://amzn.to/3dzVSR8

最初操作になれるまでしばらく画面酔いしますが。。。僕は慣れるまで2週間かかりました。

■打ち合わせでリアルタイム設計変更

イメージを見た状態で、施主から「こんなふうにできませんか?」と要望がでたとします。簡単なものであれば世間話をしながらモデルを修正しその場で設計変更したモデルで確認してもらいます。

画像7

このクリニックでは目の前のドアのデザインに対する変更の要望がありました。

画像8

Vectorworksのプラグイン木造建具ツールを使って要望に近いデザインを見つけて、その場で修正しました。ここで修正ができれば、図面の変更は事務所に戻り、図面更新と図面表現を整えるだけで修正作業は完了です。


■次回:BIMモデリングで押さえておくポイント

 設計プロセスは私が一番苦戦したことは”3Dのモデルをどう図面に落とすか?”というでした。今思いつく限りですが、次回からは下記のような内容について少しずつ書いていこうと思います。

1)実際に建物を作るようにモデリングする。

2)クラス分けの徹底

2)線の太さやハッチングをコントロールする。

3)BIMで作る図面と2D作図する部分の線引き明確にする。(割り切る)

4)シンボル化

5)テンプレート化していく

など


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?