大きな組織のトップマネジメントの仕事の仕方

昨日話した事。

大きな組織のトップとして最後まで残る仕事、かつ組織運営のコントロールレバーは何かを特定するためには、アメリカ大統領の仕事をの仕方を観察する事が役に立つのではないかという仮説。

アメリカ合衆国って世界最大の組織といってもいいでしょうからその組織のトップ以上に大きな責任を担っている個人はいないと思うので。

アメリカの大統領が国家運営をするために持っている単独で行使できる権限は基本的に3つだと思う。

1)教書を議会におくる
⇒議会へビジョンを示しアドバイスをする

2)行政官のトップマネジメントの任命権
⇒各長官の任命権など

3)拒否権
⇒議会が可決した法案を拒否し再審議を求める権利

これを経営者の仕事に置き換えると

1)ビジョンを示し

2)人事権を行使して幹部を適材適所に配置し

3)幹部が持ってくる提案や実行計画に対してダメ出しをする事でディレクションする

という事になると思う。

最近思うのは、トップが同時に沢山の案件に対して関与し、かつ自らのビジョンからブレずに経営を行なうには、「戦略」や「戦術」の立案そのものに関与しないという方法があるなという事。

あくまでもビジョンのみを示し、幹部からの提案、計画にダメ出しをする事でディレクションする方が全体の観点からすると生産性が高いのではないかと。

個別の担当からすれば、「はじめから細かく方向性を説明してくれてれば、て戻りが少なくて済んだのに。。。」と思うかもしれないが、「細かく方向性を説明する」には一定の準備が必要で、一人しかいないトップにその時間を取らせると、実は同時に進行させられるプロジェクトを一定以上増やす事が出来ず、トップがボトルネックとなってアウトプットが増やせない(=機会損失)という事が起こりえる。

しかしもし提案を叩くというコントロールレバーのみを使ってディレクションすれば、問題ないプロジェクトは勝手に進み、問題のあるものはゲートキーパーとなって出させないという事で、結果アウトプットは増えるように思う。

またこの拒否権というコントロールレバーのみで仕事をするためには、「人事」をいかに適切にできるか、「ビジョン(教書)」をいかに実効性があり共感でき明確なものとして提示できるかもとても重要。

そして人事成功の秘訣は行使する以前にいかに「カード」を沢山ストックしているかに尽きる。どのくらい組織内外の有能かつ自らに一定以上のロイヤリティを持つものをストック出来ているか。

政治家や大会社が派閥を形成するのもこういう「人事権」というコントロールレバーを適切に行使するための準備という側面があり、実は合理的な行動なのだと思う。

ダラダラ書いたが、小さい会社を運営しているうちから、最後にどの仕事が残りその為にどんな準備をしておくべきかは意識しておきたいなと。

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