夏の夕暮れ

「バイバイ!!」
なんども繰り返される声が夕暮れの空に響いた。小学生の男の子の声だった。友達のと別れ際のシーンだった。

思い返せば、8月初旬の夕暮れはたびたび私を過去に引き戻す。友達と目一杯遊んだ1日にもかかわらず、無性に別れが悲しくて、「バイバイ」と呟きながら心の中で精一杯の地団駄を踏んだ。明日も明後日も会えるというのに、夕暮れ毎に感じる「今日みたいな日はもうないかもしれない」という確信は、一体どこからきていたのだろうか。

男の子の「バイバイ」は一度、二度とにとどまらず、離れる距離に比例して増えていった。響く音も、大きくなった。

バイバイ、また明日ね。
8月の夕暮れほど、この言葉が切なく轟く季節はあるのだろうか。

#あの夏

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