すれ違いコント

たかお:いやー寒いね今日

けんじ:ほんとにね

たかお:駅のホームで電車待ってるとき、体凍っちゃうかと思ったよ

けんじ:なんだ、電車ならまだいいじゃない。僕なんか今日徒歩で来たんだから

たかお:え?

けんじ:ん?

たかお(杜甫だと思っている):どういうこと?

けんじ(徒歩のつもりで言っている):なにがなにが?

たかお(中国盛唐の詩人・杜甫の話だと思っている):いや、今杜甫関係なくない?

けんじ(乗り物を使わず歩くことを指す語・徒歩のつもりで言っている):関係ないわけないだろ

たかお(李白が「詩仙」と呼ばれるのに対して「詩聖」と呼ばれている杜甫の話だと思って困惑している):杜甫"で"来るっていう意味が全く分からないのよ

けんじ(走っての移動が「走行」と言われることに対して「徒歩」と言われるものを想定して発言している):は?

たかお(社会の現状を直視したリアリズム的な視点からの詩が特徴である杜甫の話を唐突にしだしたと思い憤慨している):外が寒いって話と、杜甫にどういう関係があるんだって言ってんだよ

けんじ(いや関係あるだろ、と思っている):いや関係あるだろ

たかお(杜甫が?と思っている):杜甫が?

けんじ(話のわからないやつだなと軽蔑している):だからあ、家が近いから、徒歩なんだよ俺は

たかお(国語の教科書で読んだ杜甫のページを思い返している):近いって、中国だろ?多分

けんじ(なにかに気づいている):お前…

たかお(何にも気づいていない):なんだよ

けんじ(こいつ俺の言う徒歩を杜甫のことだと思ってるんじゃないかという選択肢が頭に浮かんでいる):まさか…

たかお(未だに杜甫の話を急にしてきたと思いケンカ腰でいる):思ってる事あるなら言えよ

けんじ(流石に徒歩と杜甫を間違えるはずはないと思い直している):いや、なんでもない

たかお(馬鹿にされてると思っている):言ってみろよバカが

けんじ(こっちは色々考えてやってるのに何なんだその態度は、と思っている):それが人にものを聞く姿勢かよ

たかお(「姿勢」を「詩聖」だと思っている):てめえ、また杜甫の話しやがったなコラ

けんじ(相手の信じられない勘違いを確信し呆れている):はぁ…

たかお(「詩聖」だと思っている):なんだよ

けんじ(答え合わせタイムに入っている):お前、杜甫の話だと思ってるだろ

たかお(何も理解していない):は?

けんじ(決めに行っている):俺が言ってるのは、徒歩。歩くという意味の徒歩だよ

たかお(一瞬、理解できていない):何言ってんだお前

けんじ(そのうち理解するだろうと思っている):よく考えな

たかお(すべてを理解した):ああ…

けんじ(バカがよ、と思っている):なんかまあ、俺も悪かったわ

たかお(勘違いを反省している):俺も、悪かったわ

けんじ(「も」ってなんだよ、と思っている):お互い様、だな

たかお(恥ずかしいし疲れている):だな

けんじ(しかしなんて不毛なやりとりだっんだと思っている):トホホ…

たかお(「杜甫ホ」と変換してしまった自分に呆れている):あはは

おしりんまるwwwww