ゆめ
「自分の人生で、こうしておけばよかったなあ、ああしておけばよかったなあ、みたいな後悔ってみんな少なからずあると思うんだ」
「後悔してること、ねえ」
「なにか思い当たる?」
「…実は俺、むかし夢があったんだよね」
「いいじゃない。どんな夢だったの?」
「…いやあ、恥ずかしいから言わないよ。もう俺も40だし、ほんとばかげた夢だから」
「恥ずかしがることはないよ。夢を持つなんて、とても素敵なことじゃないか。ばかげた夢なんて言わずにさ、これからだって叶えられるかもしれないだろ?」
「いやあ、さすがにもう遅いと思うんだ」
「夢を追うのに、遅すぎるなんてことはないじゃないか。今からだって大丈夫。いいかい、人生は何歳からでもやり直せるんだよ。カーネル・サンダースは、65歳でケンタッキーを創業したんだ」
「…君の話のおかげで、なんだか自信が出てきたよ。もう一度、目指してみようかな」
「応援するよ、君の夢。」
「ありがとう。頑張ってみるよ」
「どんな夢なんだい?」
「てれび戦士」
「遅いわ」
「え?」
「普通に遅いわ」
「天才てれびくんの」
「むりむりむりむり」
「子役の」
「きついきつい」
「きつい?」
「きつい」
「なんで?」
「普通に」
「そか」
「なんかごめんな」
「いやいや」
「うん」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「じゃあ俺、ここで降りるわ」
「おう」
おしりんまるwwwww