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小さな恋の物語~初恋の味はちょっと苦いビター味~

初恋

日常

小学生時代同じアパート、クラスも席もいつも近い。ななとおれはいつも一緒にいた。なんにも意識してなくて、駄菓子屋でお菓子を食べたり、家に行って漫画読んだりしていた。親友だと思ってた。

バレンタイン

小学校6年生の卒業の年、バレンタインデーが近づいてきた。いつも学校が終わり帰ろうとしたらななに呼び出された。いつも遊んでいる学校の池の近くで
なな「最後だから渡そうと思って。ほかの誰かに貰ってないよね?」
おれ「貰ってないよ!ありがとう!珍しいじゃん、こんなんくれるなんて!最後?離れてもいつでも遊べるよ。お返しがんばるわー!期待してて!」と必死に照れ隠し。
なな「いいよ悪いからずっと渡したかったけど、昔から一緒にいるしなんか恥ずかしくて」
おれ「すごい嬉しいよ。来年もちょーだいね!」

初恋

もうこの頃から意識し過ぎて好きになってた。いつも顔を思い出し、きゅーっと胸が締め付けられた。こんな気持ちは初めてで、どこかで会えないかな?って毎日ななの事考えて過ごした。

ホワイトデー

貰ったお年玉で、友達とマルイに行ってすごいのお返ししなきゃってソワソワしていた。なんとか買い物を済ませ、胸が押しつぶされそうになりながら、その子の自宅へ。

おれ「バレンタインありがとう。まずいかもしれないけど、良かったら食べてね。ほんとはもっと色々お返ししたいんだけど、困った事あったらなんかあったらなんでも言って!」

なな「ありがとう!こんなにいいの貰ったから私。。。手紙とかたくさん書くね!あとは卒業式しかないけど、寂しくなるね」

俺「???   いつでも会えるよ。近いし!手紙待ってるからね!じゃあねー!」

手紙を貰えることに、嬉しくて飛び跳ねて帰った。これでいつも一緒にいられるって無敵感を感じていた。

数日後の卒業式

ななとは少し話をしたくらいで、友達とまた会おうねって何事もなく終わった。
本当はもっと話しかけたくてしょうがなかったけど、目は合うけど恥ずかし過ぎてなにもできなかった。

中学入学後

新しい制服にウキウキ、ななの制服姿を見たい気持ちが抑えられず、自宅に向かいピンポーンとチャイムを鳴らす。
俺「。。。誰も出ないな、また行くか!」
自宅にて
おれ「今日ななの制服見てやろうと思って家行ったんだよねー!いなかったけど!」と親と談笑
母「え?ななちゃん達引越したんだよ?聞いてなかったの?」
俺「え?聞いてないよ!嘘でしょ?ホワイトデーも普通に会ったし、あっ。。。そういえば手紙書くって言ってた。。。」

母「あんたもバカだねえ。寂しがってたみたいだよ。夜危ないし、あんたに送ってもらうとか、一緒に学校行きたいって言ってたみたいだよ」
「ななちゃんあんたの事好きだったんじゃないの?向こうのお母さんからも、お返しのお礼にと電話来たよ。」

俺「。。。。」

家は近いからいつでも会えると思ってた。
この日常はいつでも、どこでも当たり前にあるんだと思ってた。

それから数ヶ月後親の離婚で県外へ引越す事になった。住所も変わった。
引越し後の住所は向こうは知らない。毎日、毎日、それでも届くんじゃないかと、ポストを確認する。当たり前のように毎日、毎日、ななからの手紙は届かない。ずっと一緒に住んでたあのアパートのポストへ手紙を書いてくれてるんじゃないか涙を流した。卒業アルバムを片手に眠りにつくこともあった。
ななとの初めての恋は、気持ちも伝えられず終わった。