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【翻訳】On Mastery of Arena (Draft - Advanced)

Hearthstone Playersより、Arenaでのドラフトピックに関する記事(応用編)です。
長い記事ですが、デッキ全体のシナジーという考え方が特に重要な部分のようですね。

元記事:http://hearthstoneplayers.com/mastery-arena-draft-advanced/
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October 27, 2014
CONTRIBUTED BY ADWCTA & Merps

目次:
 Advanced Hearthstone Arena Drafting.
 Deck Synergy.
 Diversity.
 C-C-C-Combos.
 Mana Curve.
 Life and Death.
 Conclusion.
補足として訳注(※1~3)を入れている部分があります。

■Advanced Hearthstone Arena Drafting.(はじめに)

この記事では、あなたのゲームをネクストレベルに高めるであろう、ドラフトにおけるいくつかの応用的な概念について議論していく。この記事を読む前にこのシリーズの基礎編(※1)を読むことをお薦めするよ。本記事では基礎編で詳しく述べた基本的な考え方の多くが説明無しに登場する。基礎編では伝統的なTCGの概念について別の視点からアプローチしてもいるし、上級者にも復習になるだろう。

基礎編ではバリューランキングにおいてカード価値がどうやって決められているかと、HSのカードに見られる3つの基本的なバリュータイプに焦点をあてた。本記事では、客観的な「バリュー」の話の範囲を完全に越え、デッキ構築や、「Xというカードは大抵Yというカードより良いが、ここでは違う」というような場面でのピックに焦点をあてる。客観的なバリューの低いピックをしてしまう時、特にtierリストの何列も下のカードをピックする時はHSで最悪な気分の時の一つだ。しかし、「非バリュー」に向かうのが正しいピックであることはよくある。バリューランキングはカード価値の基準として解釈されるべきであるが、結局はあなたのデッキにそれぞれのカードがどうフィットするか、ということのほうがずっと重要だ。

要するに、あなたは価値の高いカード数枚よりも、毎ターン良いプレイができプレイの選択肢が多い首尾一貫したデッキを組むことを選ぶ方が良いということだ。

そうはいっても、Chillwind Yetiは常にピックするべきだよ。常に。マジで。他のピック候補なんて見なくていい。Yetiはどこにでもフィットするし格別にファジーだからね。

※1 On Mastery of Arena (Draft - Fundamentals)

■Deck Synergy.(デッキ全体にシナジーを持たせる)

私たちがArenaで組むデッキのポイントとは何だろう?ゲームに勝つことだ!残念ながら、個々のカードの価値に焦点をあてた結果、ほとんどのArenaドラフトではデッキ構築においてこのことが忘れられている。もしも純粋にカード価値だけに従ってドラフトをすれば、全て正しいピックをしたとしても、あなたのデッキの価値はピックで出てきたカードの価値と同じ程度にしかならない。それってRNGの定義では?ドラフトにおいてランダムの領域から抜け出すために、そしてより高い価値を生み出すために、私たちのデッキは勝つことを念頭に置いて構築されるべきだ。

シナジーのあるArenaデッキの最も重要な要素は大きな除去と小さな除去のバランス、さらにこれら除去とドラフトしたミニオンのバランスだ。ほとんどの除去は価値が非常に高いため、あなたは大抵取れる限りの除去をドラフトするだろう。Arenaデッキにおいて除去のタイプや配分をコントロールしないかわりに、あなたは除去をランダム要素として考え、除去を中心にミニオンは優先度を下げてドラフトしなければならなくなる。ここで私がChargeミニオンを除去のカテゴリーに含んでいるのは、Chargeミニオンの役割は調整可能だからだ。それらはリーチのあるミニオンにも、除去の代わりにもなれる(さらにArgent Commander、Druid of the Claw、Stormwind Knightのようにスタッツの良いものは除去付きミニオンとしても働く)。それら2つの役割により、また、一般にそれらは除去より価値が低いことから、ドラフトにおいてChargeミニオンは除去の枚数・タイプを補完するのに使える、柔軟性のある良い選択肢となる。デッキに入っている除去にシナジーを与えるようにドラフトすると、盤面や手札を使って得た主導権を活用してゲームをコントロールするのが容易になる。

「大きい除去がたくさんあり、小さい除去が無い」
デッキに大きい除去が多く、小さい除去が十分にない場合、どんなことになるか考えてみよう。例えば、Hex(3マナ確定除去)が3枚とLightning Bolt(3点ダメージ) が1枚(他の小さい除去は無し)のシャーマンのデッキがあるとする。このケースでは、シャーマンはHexを使うと同時にもう1つカードをプレイできる必要がある。彼には(対戦相手の)大きいミニオンにHexを使うターンにプレイするための大量の小さいミニオンが必要だ。もしも大きいミニオンをHexで除去すればとても大きなテンポが得られ、さらにこのテンポをゲームに勝つための盤面のコントロールとフェイスダメージに変えていくことができる。一方、もしも私たちが主に大きい除去と大きいミニオンを持っている場合、盤面で主導権を得るのに十分なテンポを得ることは決してできない。そしてもし対戦相手がこちらの大きいミニオンに対処するための大きい除去かテンポカードを何枚か引いたら、負けてしまうだろう。

「小さい除去がたくさんあり、大きい除去が無い」
一方で、もしも小さい除去をたくさん持っていたら、例えば5枚以上Wrath(3点ダメージか1点+1ドロー)やClaw(ヒーローは+2アタックと2装甲を得る)を持っているが大きな除去は無い場合、大きいミニオンが必要になる。大きいミニオンが盤面にいなければ、結局はカードアドバンテージ上、非効率なトレードをすることになる。このため、大きなミニオンを十分にドラフトし、それらを守ったり対戦相手の大きなミニオンを止めたりするためのTauntミニオンをドラフトすることが目標になる。対戦相手の小さいミニオンを軽い除去で処理したり、大きいミニオンを除去と相討ちでトレードし(カードアドバンテージは失うが)テンポを取っている間、こちらの小さいミニオンは継続的にダメージを与えることができる。この方法では、序盤の盤面を維持でき、小さいが着実なテンポアドバンテージをキープし、こちらの失ったカードアドバンテージが問題になる前にリーサルを与えることができる。一方、もしも小さい除去と小さいミニオンしか持っていなかったら、複数除去、早い段階での息切れのどちらに対しても非常に弱くなってしまう。

「除去がたくさんある(だけ)」
時々、あなたは幸運にも9枚以上の除去をドラフトできることがある。これは天からの贈り物のように思えるが、HSでは自分のミニオンをずっと生かしておけることはない、ということを忘れないようにしよう。もしも対戦相手があなたのミニオンを全部除去できるとしたら、どんな除去もたいしたメリットをもたらしてくれない。なぜなら、除去を大量に入れたミッドレンジデッキは能動的なアクションのないターンを迎えることが多く、結果としてそれがロスになるからだ。除去が大量に入ったデッキは次の2つのうちいずれか1つを守らなければならない。
1)ミニオンを引き、盤面に出し、それを活かすためにたくさんカードをドローできること。これは典型的なコントロールデッキだ。盤面に留まってくれるのは高ヘルスのミニオンやSilver Hand Knight(5マナ4/4+2/2)だけであり、デッキにはそれらを好んで入れるべきだ。このデッキは除去のいくつかが複数除去であるなら、よりシナジーのあるデッキになる。
2)対戦相手が序盤の小さいミニオンを処理するための除去を十分持っていないことをあてにし(低いマナカーブで展開できることが保証できており、初手の除去はマリガンするようにして)、リーチを兼ねる除去の入ったオールインのアグロコントロールとしてプレイすること。このようなデッキは長引くとやがて負けるし、盤面のミニオンが切れても負けるので、「win-moreカード」(※2)は特に有用だ。盤面にミニオンがいない状況はすでに負けてるってことだからね。このデッキは除去がリーチ・バリューも併せ持っているならば、よりシナジーのあるデッキになる。

※2 勝っている盤面をさらに有利にするが、不利な状況では機能しないカード。

「除去が無い」
除去が無いか非常に少ない場合はよくある。そうなるだろうということは20枚くらいピックした後で判断すべきだ。この時点で、あなたのゲームは盤面でのポジションに依存したものになる、ということを認識する必要がある。デッキに主導権を得るためのカード(除去)がないので、盤面から主導権を得られないゲームで勝つには苦労するだろう。これは、すぐに盤面に影響を与えるカードや、主導権についての計算を変えるカードが非常に高い価値を持つようになる状況だ。たとえRaid Leader(2/2+他の自ミニオンのアタック+1)、Hand of Protection(ミニオン1体にDevine Shield)やFrostwolf Grunt(2/2+Taunt)のようなカードであってもね(他に良い選択肢がない時の話だよ)。主導権を得るためのカードが無いデッキは、盤面を維持するために、状況を選ぶテンポカードである「win-moreカード」(※2)をあてにしており、カードドローのためにテンポを無駄にするような余裕はないため、その枚数は多くても2,3枚だろう。あなたは盤面で十分なテンポを築くことでのみ勝つことができ、その方法は直接的に盤面に影響を与えるか、遅いゲームでのカードアドバンテージを使うかのどちらかである。

除去は価値の高いカードタイプであるだけではなく、あなたのデッキを定義する。カードドローやドロー付きカードも普通、非常に高い価値を持つため、結局はこれらのカードを中心にしてデッキを組むことが多い。除去は主導権をもたらすが、盤面にミニオンを与えてはくれない。ゆえに、除去に関するシナジーを作るには、主導権を最も効率的に利用する方法、そして正しいミニオンをデッキに補充する方法を理解することが必要である。カードドローは追加のカードをもたらすが、テンポを与えてはくれない。ゆえに、カードドローに関するシナジーを作るには、(テンポ損失によってゲーム序盤に負けないようにしながら、)カードを最も効率的に利用する方法を理解することが必要である。

「ドローカードがたくさん」
カードをたくさん持つことは常に良いことだろうって?間違いだ。全てのドローカードは非テンポなものだ。もしもドローカードでいっぱいの手札を持っていたら、あなたはゲームに負けるだろう。たとえそれがみんなAzure Drake(4/4+1枚ドロー)レベルのカードだったとしてもね。ドローカードがたくさん入ったデッキをプレイするコツは、除去をたくさんドラフトした時と同じだ。アグロかコントロールどちらかに極端に寄せてプレイしなければならない。コントロールプレイをするなら、カードドローを異なった状況に対処できる様々なカード(少なくとも1枚の回復を含む)で補う必要がある。ほとんどのゲームで盤面を取れないと思われるので、主導権を得るためのカードや自分の盤面にミニオンがいない時に効果的に働くようなテンポカードをドラフトしたい。あなたの目標は対戦相手がカードを使い果たすまでゲームを引き延ばすことだ。そこまでいけば、あなたはカードアドバンテージによってテンポを取り返し、ゲームに勝利する。他の方法は、アグロにプレイすることだ。あなたのデッキのマナカーブがとても低く、引いたカードを全部展開できる場合の話だね。一般に、これは依然としてテンポが悪いということに気をつけて欲しい。Bloodfen Raptor(2マナ3/2)をドローするためにウォーロックのヒーローパワーで2マナ使うことを考えよう。3/2のために4マナ使っていることになる。カードドローの入ったアグロが機能するためには、序盤に相当のテンポを得る必要がある。そうすれば、あなたが動き続けている限りは(カードドローがそれを可能にしてくれる)中盤に速度を落としても問題ない。ここでのカードドローの目標は、リーサルを与えるためにもう2,3ターンを稼ぐことだ。

「ドローカードが無い」
ドローカードをたくさん持つことが常に悪いことである一方、カードが無いことも普通は悪いことだ。そうなるだろうということは20枚くらいピックした後で判断すべきだ。カードドローが無ければ、盤面からカードアドバンテージを得る必要がある。つまり、Forked Lightningのように2対1交換できるカードや、Chillwind Yetiなど、そのようなトレードをする可能性の高いカードが優先されなければならないということだ。さらに、カードを失う余裕がないため、テンポカードを2,3枚以上ピックすることは良い考えではない。デッキに除去が無いと、主導権についての計算に影響を与える低バリューなカードをドラフトせざるを得なくなるが、カードドローが無いと、それと反対のことをする必要がある。あなたの手札はタイトなマナカーブに沿ってプレイできなければならないことになる。

ほとんどの場合、シナジーを作るためのピックはドラフトの終盤になるまで目に見える形で現れない、ということに気をつけて欲しい(はじめの10ピックでHoly Smitesが4枚出てくるようなことはほとんどない)。だから、そういうピックは結局、デッキを同一方向に偏らせたり、ほんの数枚のカードでデッキ全体の方向を歪めたりすることになりがちである。あなたがメイジのヒーローパワーを小さな除去として扱ったり、ウォーロックのヒーローパワーをカードドローエンジンとして扱ったりしない限り、シナジーを求めてドラフトをするのは愚かなことだ。しかし、ドラフトが終わるまでバリューランキングに従いデッキ全体のシナジーを無視することは、あなたが良くバランスを取っているのでない限り、愚かな選択になるだろう。なぜなら、あなたが現時点までにドラフトしたカード(現状のデッキ)はすでに次のピックの価値を変えているからだ。


■Diversity.(多様性)

デッキ全体のシナジーに加え、デッキの状況によってドラフト終盤でカードが重要な追加の価値を持つことが時々ある。また、ドラフト序盤に、この先期待する選択肢によりカードが重要な追加の価値を持つこともある。簡単な例から始めよう。

Arenaのデッキはほとんどがミニオンで構成される。だから、基本的なミニオンの多様性についての話から始めよう。ミニオンの多様性の最も重要な部分は、ミニオンのアタック値とヘルス値のスタッツだ。例えば、(同じ5マナでも)Stranglethorn Tigerは5/5で、Spiteful Smithは4/6で、Fen Creeperは3/6だ。5マナのミニオンから、私たちは盤面で3つの異なったタイプのダメージを出すことができる。異なるスタッツのミニオンを持っていることは重要だ。そうすれば2枚のミニオンが手札にある時、盤面に対しより良いプレイをする選択肢が生まれる。それは、主導権を得ておらず、盤面に残るミニオンやトレードするためのミニオンが必要な場合にも(ヘルス側の多様性)、主導権を得ていて次のターンにより効率的なトレードができる盤面を築くためにも(アタック側の多様性)、どちらにしても重要である。ミニオンの多様性は同じマナコストのミニオンに限らないということに気をつけて欲しい。私たちは(5マナ使用できる時に)2マナミニオンと3マナミニオンをプレイすることもできるし、バリュー・プレイのために4マナミニオンを出すだけにすることもできる。だから、ドラフトのある時点までに、あなたはミニオンに多様性があるかについて考え始める必要がある。そしてもしも多様性が無いようなら、多様性を得るために若干、非バリューなピックをする必要がある。これは特に大きなミニオンに当てはまる。大きなミニオンは、プレイできるようになる頃までに手札に(多様性のためにドラフトされた)同様な他の選択肢を持っている可能性がより高いからだ。

Arenaのデッキには除去も入っている。除去の多様性は単体除去か複数除去か、あるいは小さい除去か大きい除去かという視点から考えることになるだろう。ミニオンのスタッツと同様に、除去の多様性は選択肢を増やすことによりデッキ全体にシナジーをもたらす。複数除去はほぼカードアドバンテージを保証してくれるので、普通、最も歓迎されるタイプの除去だ。しかし、たくさんの複数除去を持つのは、除去の対象がなくなる恐れがあるということを意味する。だから、複数除去は1枚ピックするごとにその価値を落としていく。これは対象を2体取る除去に関してはさほど問題にならないが、全体除去に関しては大きな問題になる。Arenaではドラフトした全体除去が多すぎるということはめったにないだろうが、3枚目のFlamestrikeよりPolymorphをピックしたり、4枚目のFlamestrikeより他の様々なカードをピックする理由は十分ある。これはConsecrationやHoly Novaにも言えることだ。多様性はカードのタイプに見られるものであり、カード自身ではないことを覚えておこう。つまり、Forked Lightning(対戦相手のランダムなミニオン2体に2点ダメージ)はLightning Storm(対戦相手の各ミニオンに2~3点ダメージ)と非常に似た働きをし、同様にShadow Madness(ターン終了時まで対戦相手のアタック値3以下のミニオンのコントロールを奪う)はHoly Nova(対戦相手の各ミニオンとヒーローに2点ダメージ)にとてもよく似た働きをするため、それらは全て同じくくりで考えられる。ドラフトにおける全体除去はテンポカードに似ている。2,3枚ピックするのは大きなボーナスになるが、それ以上は負債になる。将来のピックを考慮するべきであるため、もし最初のピックがFlamestrikeだった場合は、2回目のピックでFlamestrikeよりPolymorphを優先するのはおそらく正しい。(そうすれば)次にFlamestrikeが出た時のピック候補3枚がPolymorphよりずっと悪い2枚とFlamestrike、という不都合な状況だった場合にも身を守ることができる。


■C-C-C-Combos.(コンボ・バリュー)

いくつかのカードは、すでにドラフトした他の特定のカードと強力なシナジーがあるため、典型的な場合の価値よりずっと高い価値を持つことがある。これがコンボ・バリューだ。これらは一般的に、派手なことや面白いことが好きであまり上手くないプレイヤーに過大評価されているが、真面目なデッキにおいても役に立ち、12勝するための特別なバリューをもたらしてくれる。コンボ・バリューを考えてドラフトする前に、以下のような考察がなされるべきだろう。

すでにコンボパーツのうちの1枚をピックしているのなら、コンボについて考えるプロセスはシンプルだ。あなたはすでにピックしたコンボパーツを認識し、今あなたにとって(ドラフトしようとしている)カードがどのくらいの価値かを評価するだけで良い。例えば、Amani Berserker(2/3+Enrageでアタック+3)の価値はあなたがドラフトしたShattered Sun Cleric(3/2+他のミニオン1体を+1/+1)の枚数に応じて高くなる。私たちはここで全てのコンボを見ていくことはできないが、あなたはこのゲームにどんな2枚コンボがあるか、ざっくりとした考えを持っておくべきだ。ローグの使うSouthsea Deckhand(2/1+武器装備時にCharge)やメイジの使うTauren Warrior(2/3+Taunt,Enrageでアタック+3)のように、カードがヒーローパワーと「コンボ」する場合もある。これらの確実な「コンボ」は他のデッキにおける価値よりもずっと高い価値を持つカードだ。最も確実なコンボはバリューランキングで過小評価されている。次のピック選択肢の本当の価値を知るために、あなたが既にドラフトしたカードとコンボになるポテンシャルを持っているのはどんなカードかを常に意識しよう。あなたのNorthshire Cleric(1/3+ミニオンが回復されるたび1ドロー)が3枚入ったデッキでは、Voodoo Doctor(1マナ2/1+対象を2点回復)はWorgen Infiltrator(1マナ2/1+Stealth)より価値が高いだろう。

コンボ・バリューのもう一つの種類にあたるカードはとても価値が高いため、このタイプのコンボ・バリューを持つカードは先んじてドラフトする価値がある。それらは、後になって他のコンボパーツをドラフトできることを期待して、ドラフトの早い段階でピックされるべきである。コンボカードがどの程度、こういった先買いのコンボ・バリューを持つかは以下の要素を評価してみるといい。
・コンボになる相手(コンボ・トリガー)の数
・コンボとして使われない時(カード単体)のコンボ・トリガーの基本的な価値
・それぞれのコンボ・トリガーがどれだけコンボになる相手(コンボ・トリガー)を持っているか
・それぞれのコンボ・トリガーのコンボ・トリガーがコンボとして使われない時の基本的な価値

あなたの脳が爆発するまでやろうか。

実際には私たちがこんな計算をすることは無いと言っていい。基本的な考え方は、もしもそのカードとコンボになるカードが1,2枚しかないか、コンボにならない限り価値が低いようなカードである場合、コンボカードは先んじてピックされるべきでないということだ。例えば、Earthen Ring Farseer(3マナ3/3+対象を3点回復)とInjured Blademaster(3マナ4/7で4ダメージ受けて場に出る)のコンボについて少し考えよう。それらは単体でも素晴らしいカードだが、コンボ・トリガーは1つだけで、コンボパーツの片方はレアだ。Savage RoarとForce of Natureはどうだろう?考えるまでもない。同様に、Kobold Geomancer(2マナ2/2+Spelldamage+1)はパラディンのデッキではあまり採用は考えられないだろう。Consecration(対戦相手の各ミニオン・ヒーローに2点)はコモンでトップクラスのカードであるが、(コンボ相手は)それ1枚だけだ。同様に、Demonfire(2マナ:ミニオンに2点。自分のデーモンを対象にすると代わりに+2/+2)はウォーロックのかなりのカードとコンボになるが、コンボした時でさえ単体のカード価値が低いし、ウォーロックのデーモンは普通、基本的な価値が高くない(コモンの2体は別だけど)。

一方、十分に価値が高く、コンボ・トリガーとなるカードに一貫性があるようなコンボカードは実際に先買いのコンボ・バリューがあり、先んじてドラフトされ得る。例えば、ドルイドデッキでのKobold Geomancer(2/2+Spelldamage+1)は3枚の価値の高いカード(Swipe、Wrath、Starfall)とコンボするため、考慮に値する。ウォーリアーのデッキのSpiteful Smith(4/6+EnrageでWeaponのアタック値+2)は3枚の(Curse of Naxxramasリリース後は4枚の)価値の高いコモン、レア、エピックとコンボしそれ自体の基本的なバリューも良いため、より高く評価されるだろう。パラディンのデッキでKobold Geomancerと2枚以上のConsecrationをドラフトし、早い段階でConsecrationを使ってしまうことなくそれらが手札に揃うことはほとんどないが、ドルイドなら少なくとも2~3マッチに1度はKoboldシナジーをうまく使うことができるだろう。ウォーリアーのデッキではSpiteful Smithが良い働きをするのはほぼ保証されている。コンボ・バリューは全く予想できないため、幸運にもArenaでドラフトし使うことができた時は特に高い価値がある。Arenaではコンボの95%はケアされない。HSでは多くのカードがある種のコンボ・バリューを持っているが、先買いのコンボ・バリューを持つカードは非常に少ない。

カードが先買いのコンボ・バリューを持っているかどうか決める最も良い方法は、観察によって決めるというものだ。あなたがコンボでボッコボコにされるたび、そのコンボをドラフトするのは合理的かどうか、コンボを引いてくる確率はどのくらいか、一緒に引けなかった場合にコンボパーツはどのくらいの価値があるか、を考えてみよう。すぐにどのコンボが価値のあるコンボで、期待できる(あなた自身がドラフトする)ものか、また、既に個々に十分なコンボ・トリガーがピックされている時にだけドラフトされるべきカードはどれか、感覚がつかめるだろう。

コンボ・バリューの極端なバージョンは、一連のカードが全てお互いコンボになるような場合だ。あなたのコンボカードに多くのコンボ・トリガーがあり、コンボ・トリガーのコンボ・トリガーが元のコンボカードと同じタイプのカードである時、あなたはすごいバリューを得ることになる。ハンターは多くのビーストカードとビースト関係のシナジーで悪名高く、Unleash the Hounds(ビーストカードだ)関係でさらに追加のシナジーもある。Unleash the Houndsは特定のビーストカード(Scavenging HyenaやStarving Buzzard)とシナジーがあり、ビーストカードを使う他の特定のカード(HoundmasterやKill Command)ともシナジーがある。あなたがハンターでドラフトする時、最終的に大量のビースト関係の選択肢を持つことは非常に良い賭けであるだけでなく、大概はそれらのビーストから良いバリューを得られるだろう。これらのシナジーは明確なバリューをもたらしてくれるように見えるが、実際には不用心な人にとっては罠となる。コンボ・バリューのためのカードをより多くピックしようとすると、あなたのデッキはそれらのコンボが(ドラフト段階にせよプレイの段階にせよ)うまくいかなかった時に厳しい状況に陥る。もしも、結局トリガーが1枚のHoundmaster(4/3+味方のビースト1体に+2/+2,Taunt)と2枚のKill Commands(3点ダメージ、味方ビーストがいれば5点)だけということになれば、ビーストの群れは望むような働きをしてくれないだろう。あなたはそれらのカードから同じマナコストのバニラより+1のテンポ(Houndmasterの+2/+2分)を得るだろうが、12枚のビーストを他のカードより優先してドラフトしたこと(良い選択肢となれるポテンシャルはあるが)によりあなたが失ったバリューはどれくらいだろう?あまり役に立たなそうな1枚のKobold Geomancerがデッキを沈没させてしまうことはないが、コンボの先買いを狙ったドラフトの間中にわずかなバリューの損失が積み重なった場合、沈没してしまうだろう。ハンターのクラスカードの75%以上は重要なコンボ・バリューを持っている(※3)ため、クラス全体としてドラフトするのがとてもリスキーになっている。コンボ・バリューをあてにしたドラフトをしなければバリューを失うし、コンボをあてにしたドラフトをしたら他のコンボパーツを見つけるのに失敗してバリューを失うだろう。コンボ・バリューと他の応用的なドラフトの考え方とのバランスをとるよう努力するのは悪夢のようだ。ハンターがArenaで最も悪いクラスの1つであるのにはふさわしい理由がある。この例はCurse of Naxxramasが全部リリースされる前の時点で書かれていることに気をつけて欲しい。Naxxではニュートラルのビーストに価値の高い2マナ域が追加されたし、クラスカードには1マナのビーストもある。この追加はArenaのハンターに一貫性をもたらすのに十分だろう。

コンボについてもう一つ気をつけて欲しいことは、遅いゲームではカードドローがコンボの一貫性をより高めるということだ。だから、もしも多くのドロー付きカードをドラフトしたら、コンボ・バリューを高く評価するチャンスだ。そして、もしあなたのデッキ全体がランダムなコンボ・バリューで一杯であるなら、おそらくArcane Intellect(3マナ:2ドロー)はFaerie Dragon(2マナ3/2+対戦相手の呪文、ヒロパの対象にならない)より強いカードになるだろう。

※3 執筆時点(2014年10月)でのデータ

■Mana Curve.(マナカーブ)

さて、もうちょっと意匠を凝らしてみよう。初心者でさえデッキに5枚の2マナミニオンを入れることの価値は知っている。では、マナカーブについて考えることのどこが洒落ているんだろう?2手目のピックを考えよう、ヒーローはシャーマンで、候補はArchmage(6マナ4/7+Spelldamage+1)、Frost Elemental(6マナ5/5+対象のミニオンかヒーローをフリーズ)、Darkscale Healer(5マナ4/5+味方各ミニオンとヒーローを2点回復)だ。どれをピックする?答えは明らかだろう。しかし多くの良いプレイヤーがこれを間違う。正解は明らかにDarkscale Healerだ。Darkscale HealerをElven Archer(1マナ1/1+1点ダメージ)やKobold Geomancerに置き換えることもできる。そして正解は同じだ。私が言おうとしているのは、6マナミニオンをシャーマンのドラフトの早い段階で取るべきではない、ということだ。6マナ域はマナの特別な分断点にあたり、そこに達する時点で6マナのカードを持ちすぎていることは絶対に避けたい。ゆえにドラフトの早い段階では平均的な6マナミニオンの優先度は非常に低くしておくべきだ。ではマナカーブがどのように機能するかを見ていこう。

2,3,4マナのミニオンは好きなだけピックしても良い(とはいえ3マナ域は一般的に価値が低い)。ゲーム終盤においてさえ、2枚の4マナミニオンをプレイしてヒーローパワーを使う動きができるからだ。5マナ域のミニオンはあなたのヒーローパワーを使いにくくする。特定のターンにヒーローパワーを使えないことによるバリューの損失はおおよそ1マナに相当する。ゲーム終盤では、あなたの5マナミニオンは実際には6マナ相当であることがよくある(ヒーローパワーが使えず1マナ余らせる場合)。まぁ理想的ではないが、それ自体は負けにつながるようなことではない。しかし、あなたは6マナミニオンを同じターンに2枚プレイすることは(ドルイドを除けば、)決してできない。これは明らかなことのようだが、10マナの上限は大きな影響力を持っている。もしも6マナ以上のミニオンを6ターン目までに2枚引けば(統計学的には6マナ以上のミニオンを4枚以上デッキに入れていれば起こり得そうな状況だ)、あなたは7ターン目までそれらを2枚とも盤面に並べることはできない。そしてもしそれらをプレイしたら、同じターンに除去を使うことは普通、不可能だ。もし6マナ以上のミニオンを3枚引いたら(それでも重要なチャンスではある)、もっと遅れてしまう。除去はテンポを得るための第一の方法である上、一部のクラスを除いて、ゲーム中盤は大きなテンポスイングを得られる最初のタイミングでもあるので、常にこれらのテンポスイングを起こす側でいたい。6マナミニオンは他に何かするためのマナを残せないばかりか、対戦相手があなたからテンポをスイングし取り返すためにうってつけの的を与えてしまう。もしも6マナミニオンを数枚手札に抱えていても、それらはゲームの途中まで腐っているし、1ターンのうちに6マナミニオンを2枚プレイすることはできないため、あなたはデッキから十分な6マナミニオンを引いたとしても手札からプレイしきれない。6マナミニオンを効率的に使うためには手札を使い切ってトップデッキ状態になりたいものだが、皮肉なことに、トップデッキ状態になるには低いマナカーブが必要になる。

さて、これは6マナミニオンをデッキに入れるべきでないという意味ではない。ファッティを少しデッキに入れておくことは、全体除去をケアしあなたの脅威に多様性を持たせる非常に良い方法だ。しかし、多すぎてはいけない。テンポやカードアドバンテージと同様に、対戦相手より少し多い枚数ならば素晴らしいが、たくさん持ちすぎるのは逆効果だ。

シャーマンの例に話を戻そう。シャーマンとプリーストはクラスカードのトップコモンの1つが6マナミニオンであるため(そしてArenaのドラフトではコモンのクラスカードはニュートラルカードの2倍以上多く出現する)、特に6マナミニオンを多くドラフトしすぎることになりやすい。さらに、プリーストにはMind Control(10マナカード)がありシャーマンにはOverloadがある。このことは、ドラフトの早い段階では弱い6マナ域を避けるべきということを意味する。そういったカードは実際、ポテンシャル的にWisp(0マナ1/1)より悪いカードだからだ。6マナ域を持ちすぎることはただ悪いことだ。それは何もしないでただ手札にいるカードだ。ドラフトが終わるまでにもしもBoulderfist Ogre、Argent Commander、Fire ElementalやTemple Enforcer(のような優秀な6マナ域)が十分な枚数出てこなければ、平均的な6マナ域も役立つカードになるだろうが、ドラフトの序盤では、これらのクラスの場合は特に、平均的な6マナ域はとても価値が低い。普通はバリューランキングが示す価値よりも低くなるだろう。より程度はましになるが、ドルイドの5マナ域についてもこのようなことは当てはまる。

最後に、頭でっかちに(高マナ域が多く)なりすぎないことを除いては、それぞれのマナスロットに当てはめるべき正しい枚数というのはない。どんなデッキにもそれぞれ好ましいマナカーブがあり、それはあなたがデッキのカードからどうやってバリューを得るかに基づいている。プリーストはShadow Madness(ターン終了時まで対戦相手のアタック値3以下のミニオンのコントロールを奪う) と程よい枚数のTauntミニオンがあれば、それほど多くの2マナ域を必要としないだろう。後で回復とShadow Word: Death(3マナ:アタック値5以上のミニオン1体を破壊)のようなカードにより失ったテンポを取り返せるからね。一般に、マナカーブを低くドラフトするほど得られるカードアドバンテージは少なくなり、ゲーム終盤に得られるテンポも小さくなる。あなたの小さいミニオン達はやがて、テンポ的に悪くなくカードアドバンテージで手柄をあげる大きなミニオンにトレードされ、食い荒らされてしまうだろう。だから、マナカーブの低いデッキには、カードドローと「アンカー」になる大きいミニオンを数枚入れておくことが重要だ(Frostwolf Warlord、Venture Co. MercenaryやStormwind Championは、あなたがテンポで優位に立っている時には自身のマナコストに比べ強力なアタックができるため、この役目には特に良いカードだ)。一方、マナカーブが高いと一般には序盤のテンポに悩まされる。そして遅れを取り戻しカードアドバンテージ・バリューでゲームに勝つまでの間に回復、Tauntや複数除去が必要になるだろう。覚えておいてほしいのは、結局マナカーブの各マナ域を埋めるだけのために、無理をしてバリューを失うようなことは必ずしもする必要はない、ということだ。私は、ほとんどのプレイヤーはちょっとマナカーブにこだわり過ぎているのではないかと思う。デッキの構成と、各カードにシナジーのある良い役割を与えることのほうがずっと重要だ。

そうはいっても、まずは、2ターン目にプレイできる2マナ域または1マナ域が少なくとも5枚、3ターン目にプレイできる3マナ域が4枚(または追加の1マナ、2マナ域)、そして4ターン目にプレイできる4マナ域が4枚(または追加の2マナ域がたくさん)は欲しい。5マナ域は3枚(または追加の4マナ域)、6マナ以上は3枚(または追加の5マナ域)は欲しいね。私は絶望的に序盤の動きが不足しているのでない限り、マナカーブだけを考えて決められた順位よりバリューランキングの順位を選ぶ。しかし、この記事の初めに書いたデッキ全体のシナジーに関する考えは、カードの価値を大きく変動させる。それはどうやって勝つかということに関わっているからだ。


■Life and Death.(ヘルスをリソースとして扱う)

最後に、ほとんどの初心者は全くその価値を認めていないが、経験豊富なHSのベテランは、HSにおいてマナやカード以外のリソースを使ってテンポやカードアドバンテージを引き上げる非常に限られた方法の1つが、ヒーローのヘルスであることを知っている。ヒーローのヘルスをリソースとして使えるようになることはHSで良いプレイをするために非常に重要だ。これができるカードをピックすることは最優先事項になる。これらのカードは一般にとても価値が高い。しかし、もしもあなたのヘルスが低くなりすぎたなら、テンポやカードアドバンテージにかかわらず結局は盤面で効果的な主導権を失ってしまうため、自身を傷つけることは良いことではあるがやりすぎは良くない。ではヘルスを追加のリソースとして使えるカードと、それらについて行うべきバリュー調節の考え方を見ていこう。

最もわかりやすい例はWeapon(武器)だ。武器は使われる度にヒーローにダメージを与え、このことは武器のマナコストに反映されている。武器のマナコストは普通、それが出せるダメージにふさわしいコストの半分程度になっている。武器はテンポ的に素晴らしい動きであり、あなたのヘルスをリソースに変える最も良い方法の1つだ。しかし、自分のヘルスには気をつけるように!ローグとウォーリアーはどちらも武器カードや武器に関連したカードの価値が高いため、「武器の使い過ぎ」に非常に陥りやすい。ウォーリアーに関しては、はじめの数枚の武器の価値は高いが、ある時には、あなたのArcanite Reaper(5マナ武器:アタック5、耐久2)は合計ダメージ10点のために、5マナ+ヒーローパワーに使った10マナ=15マナも使っていることがある。それはもはや強いとは言えないね?ローグに関して言えば、武器を使いすぎれば死ぬだけだ。どちらのケースでも、「武器の使い過ぎ」になる可能性はドラフトのまさに初手から真面目に考えないといけない。ウォーリアーは武器のバリューが高いが、Fiery War Axeを除いては(こいつは驚くべき性能だ)、私はドラフトの早い段階で武器をピックするのが理に適っているとは思わないし、もし武器を既に数枚ピックしていればきっとドラフト終盤でもピックしないだろう。ヒーロー1人では回復やArmor(装甲)を使うまでは2~3枚の武器を使う(ヘルス的)余裕しかなく、ゆえに武器の価値は低下していく。平均的なドラフトでは、ウォーリアーは少なくとも5枚武器をピックする機会があるだろう(※3)。Curse of Naxxramasでウォーリアーにコモンの武器が追加になり、これはさらに大きな問題になるだろう。Arcanite ReaperやArathi Weaponsmith(3/3+アタック2耐久2の武器を装備)のようなカードはドラフトの序盤には価値を低く見ておくべきだ。ローグでは、ウォーリアーよりドラフトで武器が出てくることは少ないが、自身がダメージを負うにつれて徐々に彼女のヒーローパワーの脅威は小さくなっていく。ローグはヒーローパワーとして自身のヘルスをリソースとして使う方法を持っているので、普通、武器はローグにとって価値が低い。Deadly Poison(1マナ:武器のアタック+2)を使いすぎないようにしよう。それはどうやってもただの3マナのFiery War Axeだ。シャーマンはたいして武器の使い過ぎを心配する必要はないが、Stormforged Axe(2マナ武器:アタック2、耐久3、Overload1)はヘルスを多く失うため典型的な2マナの武器1.5枚分と数えよう。3枚以上のStormforged Axeをドラフトすることは普通、良くないことだ。パラディンはTruesilver Championがヘルスを回復しくれるため大きな問題はない。回復があるためTruesilver Championは武器0.5枚分と数えられる。パラディンにはGuardian of Kings(5/6+ヒーロー6点回復)という悪くない回復手段もあるため、可能な限りライフを使いたい。Light’s Justice等が追加のバリューをもたらしてくれるだろう。

ウォーロックは自身のヘルスについてより厄介な問題に直面する。ゲーム終盤では、ウォーロックの2点のヘルスは本質的に1枚のカード分の価値がある!これはArenaではばかげたバリューであり、ウォーロックは何としてでも自身のヘルスを守るべきだ。もちろん、自分のライフを守る唯一の方法は盤面の主導権を得ることだ。盤面の主導権は一般にはテンポから来るものだが、腹立たしいことにウォーロックのテンポカードはディスカードを伴うカード(Soulfire)やウォーロック自身にダメージを与えるカード(Flame Imp)だけである。Flame Imp(1マナ3/2+自ヒーローに3点ダメージ)は3点以上のライフを守り1マナというマナコストを埋め合わせることができるだろうか?それはわからない。もしあなたが主導権を得るのに十分なテンポを得ているか良いTauntミニオンを出していれば、Flame Impは普通この役目を果たさないだろう。ゆえに、あなたのデッキによってはFlame Impが実際にいかに悪いかを気付かされるだろう。バリューランキングではFlame Impはトップカードに位置付けられているが、それは非常にアグレッシブなデッキでのみ最高の価値を示す。Flame Impの価値は、それが与えるフェイスダメージか、もしくはテンポに問題のあるデッキで+1のテンポ・バリューが重要になるところにある。一方でSoulfireは最も悪く使われた場合(ヒーローパワーと合わせて使う場合)にさえバリューの良いカードで、誤った評価をされているために、同じような考え方は当てはまらない。

ヘルスをリソースとして使うもう一つの方法は、単純に何もしないことだ。メイジは武器を持っていないが、Flamestrikeをプレイする前のターンにStealth付きのミニオンやArcane Intellect、Secret(秘策)など盤面に影響を与えないカードをプレイすることで、ヘルスを使ってFlamestrikeへの準備をすることができる。対戦相手にミニオンをトレードする選択肢を与えない時、相手はあなたのヒーローへアタックせざるを得ないので、あなたは実際テンポ面やカードアドバンテージ面の利益のためにヘルスをトレードに使っている。これにより、ゲーム終盤に焦点を置いたメイジのデッキでは、盤面に影響を与えないカードやStealth付きのミニオン(Stranglethorn TigerやJungle Pantherなど)の価値が特に高い。Flamestrikeのフォローとしてでなくても、どのクラスにおいても、空の盤面のStealth付きミニオンは対戦相手に対しあなたのミニオンを除去する代わりにフェイスへのアタックを強制する、という仕事をする。ゆえにほとんどの場合、それらはヒーローのヘルスを使う能力を他に持たないプリースト、メイジ、ハンターのようなクラスにとって特に価値が高い。

裏を返せば、ヘルスを一貫してリソースとして使うデッキでは、回復や装甲を得るカードの価値がとても高いということだ。だから、ヒーローパワーで元々そういったことができるクラス(ローグとウォーロック)にとっては、Earthen Ring Farseer(3マナ3/3+3点回復)はトップカードだ。他のクラスにとっては、もしドラフトで組むデッキでヘルスをリソースとして使うことが多くなるようなら、ヘルスを得るカードは価値が高く、役に立つだろう。ウォーリアーは3枚の武器しか使えないが、武器を引いてきて常に使えるようにするためにデッキにはそれ以上の枚数を入れておきたい。(純粋なリーチカードにしてしまうことなく)より多くの武器をドラフトできるようにする最も簡単な方法は、回復カードも一緒にドラフトすることだ。Shield Block(3マナ:装甲5得て1ドロー)はウォーリア―のヒーローパワーのほぼ2倍のマナ効率だ。他のクラスは(ライフ獲得に)頼りにできるヒーローパワーを持ってすらいない。このため、ドラフト終盤では、Priestess of EluneやDrain Lifeのような(そういう使い方でなければ価値の低い)カードがとても価値の高いカードに変わるかもしれないということに気をつけよう。

ドラフトで見る最も大きな間違いの1つは、プレイヤーがドラフトやプレイの際にヘルス総量の管理を誤るということだ。これは非常に融通の利くクラスであるウォーリアーが最も不人気で最も成功していないクラスであることの理由である。私はこのクラスで平均8勝以上しているし、私の成功のポイントの1つは、ドラフトにおいて武器や装甲・回復を必要に応じてきちんと評価することだ。


■Conclusion.(まとめ)

やれやれ、やっと終わったね!このシリーズを楽しんでくれること、そして私の長ったらしい話が、あなたがArenaドラフトに組み込み始めているいくつかの概念をはっきりと説明する助けになることを願ってるよ。あなたの固有のデッキ、あなたの好むプレイスタイルのためにどれをピックすべきかを教えられるガイドはないけれど、これらの戦略が、あなたのデッキにとって正しいピックを行えるかどうかあなた自身で決定できるよう、自分のピックを分析する基礎を与えてくれることを願っている。


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