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【翻訳】On Mastery of Arena (Play - Fundamentals)

Hearthstone Playersより、ADWCTA と Merpsによる Arenaでのプレイイングに関する記事です。
寄稿者のADWCTA と Merpsは本記事(プレイイング基礎編)の他にプレイイング応用編、ドラフト基礎編、ドラフト応用編なども書いており、Arenaのtierリストでも有名ですね。

元記事:http://hearthstoneplayers.com/mastery-arena-play-fundamentals/

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November 13,2014
CONTRIBUTED BY ADWCTA & Merps

目次:
 The Three Plays You Make in Hearthstone.
 Tempo.
 Value.
 Face Damage.
 On Gameplay.

補足として訳注(※1~4)を入れている部分があります。

■The Three Plays You Make in Hearthstone.
(HSにおける3つのプレイ)

ほとんどのArena記事はプレイイングではなくドラフトピックに焦点をあてている。理由は何にせよ、そのやり方は見当違いだと思う。Arenaではプレイイングの基礎がRankedよりも重要だ。そして、Arenaにおいてプレイイングの基礎はドラフトよりも確実に重要な問題である。Arenaではプレイイング技術に乏しいプレイヤーが良いデッキやランダム要素によって勝ち抜くこともあるだろうが、長い目で見ればそういったプレイヤーはパッとしない勝率に落ち着くことになる。一方でプレイイング技術に優れたプレイヤーは高い勝率を維持し、12勝を達成できる。

さて、この神秘的な「プレイイングの基礎」について何を話すべきだろう?Hearthstoneの背後にある理論は複雑で、ゲームデザインの話まで深く掘り下げたいのならこの記事よりも他に良いものはある。しかし、実践的な考え方はより単純だ。だから、このガイドでは主にどうやってゲームに勝つかに焦点を絞って、必要な時だけ理論に立ち入るつもりだよ。

Arenaでのプレイはテンポ、バリュー、フェイスダメージという2~3の選択肢の中からの選択を続けることだと考えることができる。このシリーズのドラフト編(※1)においても同じ3つのカード価値が出てくることに気をつけて欲しい。これには意味がある。あなたはドラフトしたカードをプレイすることになるからだ。もしも全てのターン賢明に選択したなら、あなたはゲームに勝つ確率を最大化でき、ゆえにArenaで連勝できるようになるだろう。ではArenaでの3つのプレイの基礎をマスターしていこう。

※1.On Mastery of Arena (Draft - Fundamentals)


■Tempo.(テンポ)

Hearthstoneの全ての理論のスタートとなるべきテンポから始めよう。テンポはリソースを盤面へ変換する際の効率だ。テンポは相対的な考え方であり、あなたがリソース(ほとんどの場合マナ、あとは手札、ライフ)を、対戦相手より多く盤面へ変換させた分だけ得られる。ここでキーとなるのは盤面だ。カードを引くこと等、盤面への変換以外に使われるリソースはテンポを改善しない。あなたがFlame Impをプレイした時、1マナと手札1枚と3点のライフを盤面の3/2に変換する。Bloodfen Raptorをプレイした時は2マナと手札1枚と0点のライフを同じく盤面の3/2に変換する。カードドローが付いた3マナ3/2が仮にいるとすれば、それをプレイした時は3マナと手札0枚と0点のライフを盤面の3/2に変換している。以上の3枚は皆マナコストが違うにも関わらず、どれも得られたテンポは同じという結果になる。なぜなら、それらが3/2ミニオンを盤面に追加する他にやっていることは、ヒーローライフの支払いやカードドローという盤面と関係ないことだからだ。獲得したテンポの評価では、盤面に何が残っているかのみを考え、そのために消費したリソースは考えない。だから、盤面に影響を与えるために大量のリソースを用いた時でさえ、盤面に何も影響を与えないよりも、テンポ的には良い変換であるといえる。

プレイヤーが盤面にどれだけのプレッシャーをかけているか正確に知るために、具体的な数字を使ってテンポを考えることも役に立つ。Hearthstone、特にArenaでは、トリッキーなプレイや1ターンのうちに相手を倒すようなコンボは少なく、盤面を見て「自分は今対戦相手より+Xのテンポ(上の優位)がある」と言えることが重要である。どうやってXを求めるか見ていこう。
一般に、盤面の能力を持たないミニオン(バニラ)は以下のように換算できる。

+0.5のテンポ = スタッツ合計が2
+1.0のテンポ = スタッツ合計が3
+1.5のテンポ = スタッツ合計が4
+2.0のテンポ = スタッツ合計が5
+2.5のテンポ = スタッツ合計が6

等々…(※2)

例えば、Flame Impは3/2なので合計スタッツ5で+2のテンポであり、一般には2マナのコストになるだろう。一般的なマナコストに比べ得られるテンポ+1につき2~3点のライフ消費が必要になる。Fiery War Axeをプレイするのは2マナであるが+4~+5のテンポを与えてくれる(2体の3/2か3/3を除去したと考えよう)。Venture Co. Mercenaryは5マナで+6のテンポを与えてくれるだろう(合計13スタッツ = +6のテンポだ)。一方、得られるテンポより多くのコストがかかるカードもある。例えば、Priestess of Eluneは6マナかかるが5/4のスタッツしか持っていない。これは一般的には4マナ相当のスタッツだ(つまり+4のテンポのために6マナを使ったことになる)。Arcane Intellectは3マナを使って得られるテンポは+0である。最後に、パラディン、シャーマン、メイジ、ドルイドのヒーローパワーは+0.5のテンポを盤面に与え、メイジとドルイドのヒーローパワーはミニオンを除去した時、そのミニオン分のテンポを得ることができる。ローグとプリーストのヒーローパワーは有効に使われた場合、-2または+2のスタッツ分の効果があるため、+1のテンポを得られる。

さらに、盤面に影響を及ぼすミニオンの能力は追加のテンポを与える。例えばTaunt(+0.75のテンポ)やDivine Shield(ミニオンのアタック値の半分相当のテンポ)である。

※2.盤面上にいるミニオンの評価基準、あるいはカード単体をプレイする際の評価基準と思われます。これ以降の話に出てきますが、複数のカード間でトレードをする際には普通、それらのマナコスト差でテンポを考えます。


最高のバリュー・カードは全てテンポ的にも悪くないか、中にはテンポを得られるものもある。例えば、もし相手のBloodfen Raptor(2マナ3/2)と Ironfur Grizzly(3マナ3/3)をChillwind Yeti(4マナ4/5)で除去したなら、あなたは4マナで2+3=5マナのトレードをし、正味+1のテンポを得る。あなたのBloodfen Raptorと相手のIronfur Grizzlyをトレードした時にもテンポは得られ(3-2=+1のテンポ)、Fire Elementalが場に出た時の3点ダメージでIronfur Grizzlyを除去しさらにSpiteful Smith(5マナ4/6)と相討ちした時にも得られる(5+3-6=+2のテンポ)。注意すべきなのは、相対的という原則に基づいて考えれば、たとえあなたが全てのマナを使い切ったとしても、実際にはテンポを失っているということがありうるという点だ。例えば、Assassinate(5マナの除去)でOgre Magi(4マナ4/4)を除去した場合、盤面上は+3.5のテンポを得るが、実際にはあなたのリソースを使ってできたはずのこと(※3)と比べて-1のテンポを失っている。もしこのような不利なトレードを続けていれば、対戦相手はあなたより大きくテンポを積み重ねていってしまうだろう。

※3.例えばこちらも4マナ4/4を出して相討ちする等

テンポに大きく影響するもう一つ重要なものはCoinだ。ゲームの間、先手プレイヤーは後手プレイヤーよりも合計9マナ以上多くのマナをテンポに変える機会がある。そのため、後手プレイヤーは盤面で主導権を得て有利なトレードを行うため、あるいは長期戦において追加のカードでバリューを稼ぐため、賢くコインを使わねばならない。

そうは言うものの、じゃあ、「テンポ・プレイ」とは何だろうか?ここまで読んできたテンポについての説明は何のためなのか?テンポ・プレイとはまさに、あなたのこのターンの盤面でのテンポを最大化するプレイだ。盤面でのテンポは重要だ。なぜなら、それによりあなたは「主導権」を得ることができるからである。主導権を得れば、あなたはそのターン自分に都合の良いようにトレードを行うか、ダメージのためフェイスを殴るかを決めることができる。各ターン終了時、あなたは、次のターンを始めようとしているプレイヤーにプラスになるように(少なくとも彼が使えるマナ分は)テンポがスイングする(変化する)だろう、と予想することができる。あなたは、あなたのターン開始時に対戦相手より多くのテンポを持っている時はいつでも「主導権」を持っている。そしてあなたのターン終了時、もし次の対戦相手のターンに想定される行動の後で、あなたの盤面でのテンポが彼より勝っているようなら、あなたは「盤面のコントロール」を握っている。(だから、対戦相手の使えるマナ数の2倍以上のテンポを取っていることになる。)例えば、もしあなたのターン開始時、両プレイヤーがBloodfen Raptor(3マナ3/2)を盤面に出しているなら、あなたは主導権を持っているが盤面のコントロールは握っていない。なぜなら、あなたが何をプレイしようと、対戦相手は次の彼のターンに少なくとも同等の脅威を出すことが予想できるからだ。除去やCharge付きミニオンやWeaponは主導権を得るためのカードだが、これらのカードは数に限りがある。Arenaでは、あなたはたいてい、対戦相手よりテンポを多く取ることで盤面の主導権を得ることになるだろう。最後に、もしあなたが2体のChillwind Yeti(4マナ4/5)を空の盤面に6ターン目終了時までに出しているとすると、対戦相手は次のターン、テンポ差を埋めるのに苦労するだろう。この時、あなたは毎ターン継続的に盤面の主導権を得ることがほぼ確実で、あなたは盤面のコントロールを握っていると考えられる。盤面のコントロールを握っていると、あなたは自分の盤面(のミニオン)を使って対戦相手の盤面をきれいに処理でき、さらにいくらかのフェイスダメージを与えることもできる。それから、手札を使い、対戦相手を次のターンも同様の状況に置くために十分な追加のテンポを取ることができる。これはあなたがゲームを完全にコントロールするということである。もちろん、対戦相手がテンポ価値の高いカードを持っていた場合、予想を超えるスイングが起こることもある。あなたは主導権を得るためのカード(除去、Charge、Weapon)を手札に十分抱えておくことにより盤面のコントロールを握ることもできる。そういったカードを使うことで対戦相手が繰り出すどんな脅威にも対抗できる。しかし、これらのカードは消耗品のため、あなたは盤面のコントロールを維持するには継続的にこれらのカードをドローする必要がある(盤面に残るミニオンとは違う)。Arenaでは、主導権を得るためのカードを大量にドラフトしたのでもない限り、このプレイスタイルは普通、継続不可能だ。

テンポ・プレイはHSで行うプレイの中で最も簡単だ。なぜなら普通、盤面を作るため「全てのマナを使い切る」動きをするなら、自動的にテンポ・プレイをすることになるからだ。もしこれまでに述べたテンポの計算をしてみれば、あなたはすぐにプレイすべきカード、すなわち相対的に得られるテンポが最大となるカードがわかるだろう。アグロデッキはもっぱらテンポ・プレイをすることがほとんどだ(メイジが1ターン目にMana WyrmからCoin、Mirror Imageと動くところを考えてみて欲しい)。遅いデッキは盤面を安定させる必要のある早いターンにのみテンポ・プレイをし、普通はテンポよりも他のリソースを得るカード(ドロー付きミニオン等)やヒーローパワーのためにマナを使う。

では、テンポ・プレイは常にベストなプレイなのだろうか。ゲームは普通長いターンにまたがり、テンポ・プレイは以下の3つの問題に悩まされる。

1.盤面を展開すると、CleaveやFlamestrikeのような複数の対象を持つ除去やMind Control Techを対戦相手にプレイされた時に、テンポ的にもカードアドバンテージ的にも相手に有利なトレードになってしまう。

2.盤面を作ることにより、対戦相手に次のターン、リソースをより有効に使う選択肢を与えてしまい、そしてテンポをひっくり返される。例えば、もしあなたがChillwind Yeti(4マナ4/5)をプレイしたら、対戦相手はSilver Hand Knight(5マナ4/4 + 2/2)ではなくStranglethorn Tiger(5マナ5/5 Stealth)をプレイすることを選ぶだろう。

3.テンポ・プレイはカードの使い方として、バリューの低い使い方になってしまう。終盤にはもっと良い使い方ができる時もある。例えば、あなたの残り最後の1マナの使い方として Leper Gnome(1マナ2/1)を除去するためにArcane Missiles(1マナ1点ダメージ×3)を使うのは、バリューとしては良くない。より遅いターンにメイジのヒーローパワーで同じことができるからだ。しかし、それでもやはりArcane Missilesを打つプレイは、ただターンを終えるのに比べて+1のテンポである。

バリューを犠牲にして最大限にテンポ的なプレイをする理想的なタイミングは、あなたが一度盤面を有利にし、その盤面を利用して目指す明確なゴールを持っている時だ。盤面を有利に保つのはほとんどの場合良いことだ。しかし、あなたは盤面を有利にする価値と、それにより失うもののバランスを取らねばならない。あなたがメイジで手札にFireball(4マナ6点ダメージ)を持っていて相手をリーサル(致死ダメージ圏内)にするまであと少しの状態なら?空の盤面でテンポ・プレイをすれば、あなたは攻撃に必要な盤面でのポジションを得ることができるだろう。一方、もしあなたが対戦相手より数枚多くの手札を持っていてリーチがないとすると、今の盤面をそのままにしておくのは問題だろうか?別の観点として、もしあなたが対戦相手よりかなり多くの手札を持っていたら、バリューを得ることはおそらくもう関心事ではないだろうから、テンポ・プレイをするだろう。もしあなたの負け筋が突然のテンポシフトによってリーサルに陥ることだけであれば、たとえ確率は低くてもあなたはそれを防ぐ必要がある。あなたがCult Master(4マナ4/2+自ミニオン死亡時1ドロー)を出した直後ならLeper Gnome(1マナ2/1)を除去する必要があるし、その際1マナしか残っておらずArcane Missiles(1マナ1点ダメージ×3)があなたの唯一の選択肢であれば、使う必要があるだろう。どちらにせよ、前の段落で述べたようなネガティブな展開に陥る前に、あなたは自分のテンポ・プレイのゴールについて明確なビジョンを持ちたいと思うだろうし、リターンがリスクに見合うべきだと思うだろう。初心者の犯す最も大きな間違いは、「テンポ重視過ぎる」ことだ。普通、あなたが盤面のコントロールを握っている時に+20のテンポは+16のテンポとそれほど変わらない上、テンポのために余計にカードを消耗するだろうし、(もし追加のカードを消費していないとしても、)次のターン対戦相手のテンポスイングによりさらに-4テンポ失うリスクがある。あなたの手札やデッキ構成によるが、対戦相手に対して保つべき最適なテンポの量がある。このテンポ取り過ぎの閾値は普通、先ほど述べた盤面のコントロールの閾値と同じであるか、あるいは、追加の主導権のため盤面や手札に少しの余裕を見た値である。この閾値がいくらか常に正確に知ることはとても重要だ。なぜなら、それはテンポのため積極的にカードやライフをトレードをすべき時や、バリューのためそれらを温存しておくべき時、あなたのプレイのガイドになるからである。


■Value.(バリュー)

テンポの他にあなたがHSでよく行うプレイは、バリュー・プレイだ。バリュー・プレイは個々のカードを最大限に生かすねらいがある。ここでの重要な考え方はカード効率だ。あなたがGnomish Inventor (4マナ2/4 + 1ドロー)をプレイする時、もし2/4に3/2を除去させるだけなら、なぜ4マナ4/5をプレイしないのだろう?なぜ将来の選択肢のために追加のカードを手に入れるのだろうか?もし対戦相手がSen’jin Shieldmasta(4マナ3/5 Taunt)をプレイしあなたがそれに対処しなければならないなら、5マナ5/5が丁度よく、Boulderfist Ogre(6マナ6/7)までは必要ない。Mortal Coil(1マナ1点ダメージ + 1ドロー)を盤面の1/1に使うことでマナを全て使い切ることができたとしても、より大きなダメージを負ったミニオンに使うため温存するのがおそらくベストだ(例えばあなたの4/5で相手の4/5を殴った時など)。これらはバリューの考え方であり、テンポの考え方とは一致しないことが多い。例えば、あなたのGnomish Inventor(2/4)が3/2とトレードすれば2/1となる(盤面上+1のテンポだ)が、Chillwind Yeti(4/5)は同じトレードをしても4/2が残る(+2.5のテンポだ!)。バリュー・プレイは盤面に与える影響がテンポ・プレイよりも小さいが、それでもカードアドバンテージという利益を得ており、一般的には良いトレードをしている。なぜなら、(テンポは)盤面に出したそれぞれのミニオンによるトレードを見ているだけであり、あなたはテンポスイングの中で除去や有用なカードをそれらの価値を最大化できるよう温存したからである。もっともバリューの大きいプレイの一つは、適切な時にヒーローパワーを使うことだ。カードを使わずに盤面を改善したり(2ヘルスを支払って)ドローすることは、どちらもバリューとしてはとても良い。

バリュー・プレイとテンポ・プレイは互いに排他的なわけではないが、それらが同じプレイになる時について議論するのはあまり面白いことではない。なぜなら、そのような状況では選択肢は無いからだ。だから、ここではバリュー・プレイがテンポ・プレイの代わりに選択されるような場合についてのみ議論する。この種の非テンポなバリュー・プレイは以下の3つの問題に悩まされる。

1.あなたの次のターンの選択肢が少なくなる。例えば、3/2に対してChillwind Yeti(4/5)でなくGnomish Inventor (2/4 + 1ドロー)をプレイするということは、対戦相手の次のターンの4/4(例えばAzure Drakeなど)を除去する選択肢を持てないことを意味する。

2.バリュー・プレイはテンポを大きく取る動きに対して弱いことが多い。適切なテンポ効率の良い除去や複数除去を持っていなければ、対戦相手のこのような動きで1ターンのうちに完全にゲームを持っていかれてしまう。

3.バリュー・プレイは将来により高いバリューを得ることを見込むため、想定した状況が起きなかった場合、バリュー・プレイに見えるプレイが実際は非バリューかつ非テンポなプレイになってしまう。例えば、あなたが盤面のRiver Crocolisk(2マナ2/3)にShadow Word: Pain(2マナ-アタック3以下のミニオン破壊)を打たず、Sen’jin Shieldmasta(4マナ3/5)やFen Creeper(5マナ3/6)やGurubashi Berserker(5マナ2/7)のために温存することを選んだのに、対戦相手はそれらのおいしい標的をデッキに入れていない、ということが時々ある。

バリュー・プレイをテンポ・プレイよりも優先する理想的なタイミングは、想定されるどんな脅威にも対処できる適切なカードを持っているか、あるいは、対処できない脅威をプレイされないと信じられる根拠がある時だ。これはつまり、あなたがすでに十分なテンポを得ているか、または手札に主導権を得るためのカード(確定除去、複数除去、確実にテンポを取れるカード)を十分持っているべきということだ。そうしておけば仮にまずい展開になったとしてもテンポを取り返せる。

Arenaでは、継続的にバリュー・プレイを選べるような様々な回答の入ったデッキを組むことは難しい。このため、バリュー・プレイは普通、テンポ・プレイの次の(第二の)選択肢として考えられ、望ましいテンポを達成できている場合にのみ行われる。しかし、バリュー・プレイをテンポ・プレイより優先することが決してないということではない。盤面に深刻な悪影響を及ぼすことなくバリュー・プレイをして利益を得ることができるなら、それは遅いゲームでカードアドバンテージを得るとても良い方法だ。裏目のないバリュー・プレイはテンポ・プレイよりも良い。重要なのは少しのテンポを失っても良いと決心することと、どんな時にテンポの損失が致命的になるかを決めておくことだ。このようにテンポとバリューのバランスをとることがHSのArenaでの良いプレイを構成する要素の90%を占める。そのバランスはデッキやマッチアップによってそれぞれ違うだろう。たいていバリュー・プレイは対戦相手の次のターンの行動によって簡単に打ち砕かれるため、次のような方法でテストしてみるのが良いだろう。すなわち、テンポ・プレイでなくバリュー・プレイを行おうとする時はいつも意識して行うこと、そして、テンポを失うことにより次のターンあなたがどの程度損害を受けるかを知るため、行動の結果を1ターン後にチェックしてみることだ。この練習により、対戦相手があなたの非テンポなバリュー・プレイをどうやって咎めるか、感覚が鍛えられ、将来そのような状況を避けられるようになるだろう。


■Face Damage.(フェイスダメージ)

あなたがHSで行うプレイの最後のタイプは、フェイスダメージ・プレイだ。それは対戦相手にダメージを与えることと、あなたが受けるダメージを避ける、または回復することの両方にわたる。対戦相手にダメージを与えることは重要だ。なぜなら、fatigueダメージを除いてそれがゲームに勝つ唯一の方法だからである。しかしその点に触れるまでもなく、あなたのヒーローライフ総量はあなたがどのようにゲームをプレイできるかに影響を与える。自分が致死ダメージをくらう恐れがあると考えるプレイヤーは、対戦相手の盤面を毎ターン処理することを強制される。ゆえに、たとえそのプレイヤーが対戦相手より多くのテンポを得ており主導権を持っていたとしても、対戦相手のフェイスを殴ることが難しいために、その主導権は実体のないものになる。対戦相手がこのような状態であれば、あなたはただミニオンを盤面に出しているだけで主導権を持っているかのようにゲームを決定づけられる。ここでの重要な考え方は有効な主導権だ。Arenaのゲームは対戦相手を自由にさせておくとすぐに形成が一変する可能性があるので、あなたが有効な主導権を持つ立場になることは重要である。あなたがもし対戦相手にフェイスダメージを与えられる時に与えていなければ、盤面を失った時に何のリソースも無くなってしまう。だから、対戦相手の次のターンの悪いトレードに悩まされることなく対戦相手のヒーローを直接攻撃できるのであれば、フェイスを攻撃するべきだ。

フェイスダメージのチェックリストは以下の4つだ。

1.対戦相手が盤面に脅威を出していない
2.あなたはこのターン複数除去やMind Control Techをケアしてプレイするつもりではない
3.盤面上であなたの方がより多くのダメージを出せる(ヒーローライフを考慮に入れた後も)
4.あなたはあなたの他のミニオンを守る必要がないか、または守りたくない

しかし、そんなことは明らかじゃないか!もちろん、僕らは対戦相手が盤面にミニオンを出していなければフェイスを攻撃するだろう。ここで重要なのは「脅威」という言葉だ。対戦相手はいくつかミニオンを盤面に出しているかもしれない。しかし、それらがあなたの盤面を脅かしていない限り、それらは無視できる。そう、盤面をきれいにするのは常に正しいプレイとは限らない。盤面のミニオンは、それを無視した時にテンポやカードアドバンテージを稼ぐトレードをされる時のみ、脅威となる(あなたが攻撃的にプレイする時には、バフが無いという確証を持っているのでなければ、盤面のそれぞれのミニオンは+1のバフをされる可能性があると考えよう。また、終盤では+2のバフをされると考えよう)。時々、あなたがテンポを押し通そうとしている時、対戦相手にトレードのためにヒーローパワーを使われてもあなたは安心していられるだろう。なぜなら、それは良いトレードをしているように見えるが実際には良いトレードではでないからだ。例えば、対戦相手があなたの Ancient Brewmaster(4マナ5/4)をBloodfen Raptor(2マナ3/2)で攻撃しメイジのヒーローパワーで除去するのは、カードアドバンテージもテンポアドバンテージも得ていない。しかし、Dark Iron DwarfやDire Wolf Alphaのような(バフ付きの)ものはテンポの遅れに悩まされることがないことに気をつけよう。(対戦相手がバフにより有利なトレードをしてくることを考えると)盤面をきれいにすることは普通もっとも安全なプレイである(あなたはテンポを失う可能性を防いでいる)。フェイスダメージ・プレイをするため、アタック+2以内のバフであなたのミニオンを除去できるような対戦相手のミニオンを放置しておくことは、テンポを-2する可能性よりもフェイスダメージの方を高く評価するということだ。これは普通避けるべきで、あなたが既に+2以上のテンポを得ているか、(そうすれば、その量のテンポを失ってもそこまで損害を受けない)リーサルに持ち込めそうな時(その時には盤面を保持することはもはや重要でない)のみ正しいプレイだ。特にゲーム序盤では、フェイスダメージに行けるのかどうかは、あなたのデッキや手札や盤面の状態にかなり依存する。

これは、気をつけないとテンポやアドバンテージについて有利にトレードできることなら何にでも当てはまるということを覚えておこう。だから、もしあなたがプリーストと対戦したなら、ゲームの間はPower Word: Shieldでミニオンのヘルスが+2されることを想定するべきで、6ターン目以降は(Temple Enforcerで)ヘルス+3されることを想定するべきだ。これらのカードは特に人気が高いものである。メイジのヒーローパワーやDark Iron Dwarfのように追加のカードを使わないためだ。だから、実際にはプリーストの盤面はすべてきれいに処理することが正しい場合がほとんどである、ということになる。Blessing of KingsやMark of Natureのような実際のバフ呪文はカードを消費するため、マナコスト以上にテンポをスイングさせる可能性がある状況で考慮するべきだ。

もう一つ考えるべきことは、あなたが完全に対戦相手の脅威を除去できるかどうかだ。対戦相手のメイジが2体のBloodfen Raptors(2マナ3/2)、あなたが1体のBloodfen Raptorsを盤面に出しているとする。あなたの次のターン、あなたのプレイがViolet Teacher(4マナ3/5)なら、あなたのミニオンを相手の1体とトレードすることには意味がない。なぜなら、あなたは対戦相手にとって有利なトレードができる選択肢のどれも潰せていないからだ(※4)。このケースでは、対戦相手は2体の脅威を盤面に持っているものの、それらは脅威でないと考えるべきだ。そしてあなたは上記に要点を述べた基準を満たすなら、フェイスを攻撃するべきだ(あなたのViolet Teacherを守る差し迫った理由があるのでない限り)。同様に、もしあなたが2体のRiver Crocolisk(2マナ2/3)を盤面に出していて手札に除去がなく、対戦相手がChillwind Yeti(4マナ4/5)を盤面に出しているなら、Chillwind Yetiを脅威でないとして扱うべきだ。なぜなら、どちらにせよそれはあなたのミニオンのうち1体を倒すだろうし、どちらが倒されるかは気にしなくて良いからだ。

※4.どちらにしても相手の3/2が残る

最後に、あなたはテンポやバリューを犠牲にしてでもリーサル(致死ダメージ)の射程範囲外にいる必要がある。例えば、 Earthen Ring Farseer(3マナ3/3 +3点ヒール)でミニオンでなくあなたのヒーローライフを回復するなど。リーサルを避ける最も良い方法は、対戦相手がバーストダメージを出せるクラスカードを知ることだ。そしてもし対戦相手がリーチをのばすカードを持っているかのようにプレイしていれば、それを突き止めよう。どんな時でも、確かな根拠を持っているのでない限り、対戦相手は盤面で見えているダメージに追加で少なくとも2点のダメージを出せると想定するべきだ。ヒーローや盤面の状態によるが、ほとんどのヒーローはドラフトでよく見るカードで大ダメージを出すことができる。もしあなたがウォーリアーやプリーストを使っていれば(効果は小さいがドルイドも)、リーサルが予想される1,2ターン前にダメージを予想しヒールやアーマーを使ておくのは良いアイディアとなる時がある。


■On Gameplay.(ゲームプレイ)

テンポ、バリュー、フェイスダメージの各プレイについて覚えておくべき最も重要な点は、ゲーム全体を通して一つのタイプのプレイだけに頼ってはならないということだ。これはRankedの試合ではない。ArenaとRankedの大きな違いの一つは、Rankedのデッキが予想しやすいのに対し、Arenaのデッキはきわめて予想しにくいということだ。対戦相手のデッキに何が入っているか分からないため(もしデッキに何か方向性を持たせようとしていても、それに合わないカードを入れざるをえないことが多い)、自分の役割を固定してそれに専念してしまうことを避けるのは、非常に重要だ。Arenaでは役割はすぐに入れ替わる。対戦相手がAzure DrakeやSprintや何かWeaponをプレイし完全に役割をひっくり返した時、あなたは有利なトレードをしなければならないだろう。あなたが大きなミニオンを盤面に出していて、対戦相手が小さいミニオンしか持っていないとわかれば、大きいミニオンで小さいミニオンをトレードダウンする側になるだろう。テンポの交代は頻繁に起こる。フリーズメイジとアグロパラディンの戦いはArenaでは起こらない。1ゲームの間に役割は大いに変わりうるため、MTGの「Who’s the Beatdown?」のような記事の背後にある考え方が依然として技術的に正しい一方で、それが適用されるのは極端な状況に限られる。Arenaでは常に多様性と不確実さが存在する。あなたの認識している役割に身を委ねすぎることは、役割を認識しないのと同じくらい悪いことだ。

これでおしまいだ!極めて簡単に言えば、以上がHearthstoneのArenaでのゲームである。もしあなたがこれらの考え方に気をつけて、ゲームにおけるテンポ、バリュー、フェイスダメージの各プレイのバランスをとれば、素晴らしいArenaプレイヤーになれるだろう。しかし、Arenaでのゲームプレイにはより複雑な考察もある。それはあなたのArenaをより洗練されたネクストレベルなものにしてくれるだろう。あなたがこのシリーズの次のパート"On Mastery of Arena (Play - Advanced)"を読めばね。

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