英検1級に合格した中学3年生が他の生徒と圧倒的に違うところ
I couldn't have passed Eiken grade 1 without you.
(先生のおかげで英検1級に合格することができました)
合格発表があった日の放課後、
Aさんはそう言った。
現在、私の勤めている学校は国際色が強い中高一貫校。幼い頃から英語を学んでいる生徒や帰国子女が多く在籍する。Aさんもその中の一人で、小学生の時はインターナショナルスクールに通ってた。
廊下ですれ違う際は、
"Hello, Mr. Yama"
と元気に挨拶してくる生徒だ。
そんなAさんが中学3年生で英検1級に合格した。
英検1級では、英語力に加えてアカデミックな力が求められ、レベルは大学上級程度と言われている。
(中学卒業レベルは3級、高校卒業レベルが2級である)
実際、Aさんが受験した回の英作文でも英語力だけでなく、社会問題に対する知識が求められるお題であった。自分の主張とその3つの理由を時間制限がある中で書かなければいけない。いくらインターナショナルスクールに通っていたとはいえ、日本人であるAさんが中学3年生で英検1級に合格したのは単純にすごいと思う。
もちろん、Aさんは努力をしている。
参考書はボロボロになるまで勉強し、図書館では英字新聞を読むことで知見を広げる。また、高校生に混じって、国際問題について英語でディベートもしていた。
ただ、Aさんを見ていて、他の生徒と圧倒的に違うなと思うところがある。
それは、感謝の気持ちを表現する力だ。
これまで多くの人の英検対策を行なってきたが、Aさんほど感謝の気持ちを表現できる人と出会ったことがない。
毎回のレッスン終了後には、必ず目を見て「ありがとうございました」と伝えるのもそうだが、言動から感謝が溢れていた。試験翌日には、あたりまえのように試験の報告と感謝を伝えに来た。
語弊を招かないために言うが、別に生徒からお礼を求めてはいない。
(教育機関で働いているため、生徒には感謝の気持ちを持つ大切さは説くが)
「Mr. Yamaー。英検受かったー」
彼らが合格を喜んでいる姿を見るだけで本当に微笑ましい気持ちになる。
ただ、人は感情を持つ生き物。頑張っている人や感謝の気持ちを持つ人には「心の底から応援したい」気持ちが自然と出てくる。
とある金曜日の放課後。
Could you check and correct my essays?
(英作文の添削していただいてもいいですか)
とAさんは言ってきた。
二つ返事で引き受けたのはいいものの、日曜日の就寝前にAさんの英作文を思い出した。月曜日に返してほしいとは一言も言われていない。けれども、「記憶の新しいうちに返してあげたい」とベットから起き上がり、机に向かって添削を始める。時刻は0時を過ぎていた。
きっとね、人間性がいい人は周りの人間が放っておかない。応援もされるし、チャンスを掴む確率も必然と増えてくる。そして、良い人間関係を築くことができる。
感謝の気持ちは相手に伝わってこそ、意味のあるものになる。
そんなことは小学校の道徳で教えられることかもしれないが、いくつになっても大切な考え方だと、Aさんの英検合格を通して感じた。
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