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性交同意年齢の引き上げに関する一考察

性交同意年齢の引き上げは成熟の問題でもある

 刑法改正論議の中で、強制性交罪を不同意性交罪に、性交同意年齢を16歳に引き上げるという改正が国会で審議されています。

刑法の改正案に関する与野党4党の実務者による修正協議が始まりました。性行為への同意を判断できるとみなす年齢を変更する案に関連し、立憲民主党は、中学生と成人の性行為が認められることがないよう、相手の年齢に関する規定の修正を求めました。

現在、国会で審議中の刑法の改正案では、「強制性交罪」を「不同意性交罪」に変更し、時効を今より5年延長するほか、性行為への同意を判断できるとみなす年齢を、現在の「13歳以上」から「16歳以上」にすることが盛り込まれています。

同意の有無にかかわらず、16歳未満との性行為は処罰されますが、若者どうしは除外するため、被害者が、13歳から15歳の場合の処罰の対象は「5歳以上」年上の相手としています。

この改正案について、18日午前、自民・公明両党と、立憲民主党、日本維新の会の衆議院法務委員会の理事が、修正に向けた協議を始めました。

立憲民主党は、「不同意性交罪」の時効をさらに長くする必要がないか、今後、調査を行えるよう、対応を求めたほか、被害者が13歳から15歳の場合の処罰の対象は「5歳以上」年上の相手という要件について、中学生と成人の性行為が認められることがないよう修正を求めました。

与野党4党は、夕方、改めて協議することになりました。

協議後、自民党の宮崎政久法務部会長は「要望は真摯(しんし)に受けとめ、速やかに検討したい」と述べました。

NHK「性行為”同意年齢”などめぐり与野党4党が修正協議」

 この性交同意年齢の引き上げは、未成年者が成年者となっていく過程で成熟をどう考えるかという問題でもあります。つまり、性交同意年齢未満であるということは、相手方が犯罪となることによって、未成年者自身が性的な自己決定権が認められないほど未成熟で保護すべき存在であると看做されているということを意味します。ただ、この未成熟な未成年者が、16歳の誕生日を迎えてからわずか2年で国や地方公共団体の行く末を自分なりにちゃんと判断することができる存在であるとして選挙権が与えられます。性的な自己決定権すら認められないほど社会的に成熟していない15歳の未成年者の16歳の誕生日前日から18歳の誕生日前日までの成熟を随分と過大に評価しているものだと感じるのは私だけでしょうか。
 そして、性交同意年齢の引き上げに伴って5歳以上年上の相手が刑罰の対象となるということですが、これは15歳の高校生と20歳の大学生の交際を認めないということでもあるわけです。こう考えれば、この性交同意年齢の引き上げがまともな議論を経て立案されたものではないことを示しているということが明らかです。