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一般社団法人Colaboは領収書をなぜ徴取したのか ~一般社団法人Colaboが東京都の住民監査結果に基づく措置に反論 1~

一般社団法人Colabo弁護団が東京都再調査結果に声明文を公開

 暇空茜さんが東京都に請求した住民監査請求監査に監査結果報告書で東京都監査委員は、監査対象局である東京都福祉保健局に対して再調査を行うことを求めていましたが、東京都福祉保健局は令和5年2月28日付け「『東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果』における監査委員の勧告に基づき講じた措置について」により東京都知事名で監査委員に報告を行いました。

 この措置報告書において、東京都は次のように述べて一般社団法人Colaboに対し、次のように述べて改善を指示しています。

 なお、今回の調査過程において、都職員が団体を訪問し、本事業に係る支出の根拠となる領収書原本の提示を求めた際、団体側から領収書の一部の提示がなされなかったことは、仕様書の規定に反しており、団体に対し改善を指示するものとする。

措置報告書

 この改善指示に対し、一般社団法人Colabo弁護団は次のように声明文を発表しています。

 まず、この東京都福祉保健局による措置報告書は、住民監査請求監査に基づく措置の報告にすぎず、東京都監査委員が令和5年度以降に必ず行うであろう東京都監査委員の定期監査等の監査委員が主体となってなす監査とは異なることを認識しておく必要があります。つまり、住民監査請求人である暇空茜さんの主張と証拠に基づいてなされた住民監査請求監査とはまったく異なる監査権限に基づいて東京都監査委員による定期監査がなされるわけです。
 また、一般社団法人Colaboは、2023年3月6日付けで一般社団法人Colabo弁護団名義で「令和3年度会計報告に関する東京都の再調査結果を受けた声明」を公表しています。

 この声明の文章の構成をみると、神原元弁護士の準備書面の文章構成に極めて近いことから神原元弁護士が中心となって執筆したものと思われますが、疑念が残るものとなっています。それは「第3 『領収書の一部提示を拒否』と記載されている件について」とされている部分です。

第3 「領収書の一部提示を拒否」と記載されている件について

1.本件再調査結果における指摘
 他方において、本件再調査結果のなかには、例えば給食費について、「受領者に関する一部の情報の提示を団体側が拒否し、領収書の内容全てを確認できなかったため、証憑書類としては認められないものが1件800円あった」等の記載があります。同様の記載は、旅費交通費、宿泊支援費の説明にも見られます。そこで、以下、この点についてご説明致します。

2.Colaboは女性のプライバシーを保護するための措置をとったこと
(1) 領収書記載の女性のプライバシー情報を保護する必要性
 この点、Colaboは再調査の過程において、福祉保健局から提示を求められた領収書原本はすべて提示して、原本の存在の確認を受けたという認識です。ただし、Colaboが支援した女性の実名を秘匿して原本を提示した例がありました。
 例えば相談に訪れるための交通費等を女性たちに渡した際に受け取った領収書には、当然ながらその女性の名前等が記載されています。
そのような女性の名前・住所等は、絶対に外に出すことはできない情報です。そもそも、若年被害女性等支援事業では、様々な背景や経験から行政に対する不信感を強く持っていることなどから、公的支援に繋がることができずにいる女性たちと出会い、公的支援に繋ぐことを目的にアウトリーチ等の活動を民間団体へ委託しています。
 そうした女性たちと繋がるColaboの活動は、利用者との間の信頼関係の下に成り立っており、Colaboは利用者との間で守秘義務を負っています。女性たちに最初に「行政から求められたらあなたの情報を開示することになる」と説明し、守秘義務解除の同意を求めるということでは、支援は成り立ちません。また、後になって行政から求められたことを理由に女性たちから同意をとることは現実的ではなく、同意なく情報を開示することも当然できません。
 実際に、若年女性を虐待する親が公務員であり、行政の支援を利用することで、被害を相談したことや居場所を親に知られることを恐れる女性も少なくありません。Colaboの支援を利用したら、Colaboの外の人物にも名前が知られてしまうということでは、若年被害女性等支援事業は成り立たなくなってしまいます。
 したがって、女性を特定できる情報を提示しないという点については、女性たちとの信頼関係維持のため、Colaboとして譲ることができない一線です。このような対応方法は、委託事業を受託することになった2018年度以降も一貫して取ってきたことであり、また、これまで行政からも理解が得られていたことです。
 女性のプライバシー保護は、若年被害女性等支援事業の根幹に位置する重要事であることを、皆様にもご理解頂きますようお願いいたします。

令和3年度会計方向kに関する東京都の再調査結果を受けた声明

一般社団法人Colaboはなぜ支援女性から領収書を徴取する必要があったのか

 この一般社団法人Colaboが支援女性から徴取した領収書を開示することができない理由について私は納得することができません。なぜならば、このような理由であれば支援女性から領収書を徴取する必要性がないからです。一般社団法人Colaboが支援女性の個人情報が記載された領収書を行政に提出することがないのであれば、領収書は元々必要がなく、一般社団法人Colaboが会計帳簿にいくら支払ったか記録していればよいだけであるからです。つまり、支援女性の個人情報が含まれた領収書を徴取しているということは、この領収書を税務申告等又はその経費が争われる民事訴訟ににおいて証拠書類として示すための準備であるとしか考えられないのです。そうではないとすれば、一般社団法人Colaboは、行政に提出しないのであれば必要がないはずの支援女性の作成した領収書をなぜ徴取する必要があったのでしょうか。
 付け加えれば、行政が個人情報を利用するためには非常に厳しい規定に基づいて行う必要があるため、東京都の特定部署に提出した個人情報を他の部署が閲覧するためには、個人情報を利用する正当性と必要性を示さない限り開示されることはありませんし、ましてや所属する公務員個人が見たいといって見ることができるものではありませんから支援女性らの心配は杞憂であるといえます。したがって、委託契約の条項に基づいて支援女性に個人情報の利用について理解を求めるのは一般社団法人Colaboの責務であると思いますし、支援女性に理解を求めるためには、個人情報の取扱いについての掲示を見やすい箇所になしていれば済むわけです。
 今回の事例とは異なりますが、接待を伴う飲食店の従業員女性の会計書類を見たことがありますが、この飲食店が女性に支払った給与の領収書は女性の源氏名で記載されたもので住所も記載されていませんでした。一般社団法人Colaboが本当に支援女性の個人情報を守りたいと考えており、支援女性から徴取した領収書を行政に提出していないのであれば、領収書を徴取することを止めるか、領収書に個人情報を記載しないようにするだけで済むわけです。そうしない一般社団法人Colaboの領収書の取扱いには疑念だけが残ります。