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「オープンレター」債務不存在裁判における「リーガルハラスメント」の主張 呉座勇一さん関連裁判まとめ 2

呉座勇一さん関連裁判の整理

 呉座勇一さんをめぐる民事訴訟は何件か存在しているため、それぞれ個別に名称をつけていくこととします。オープンレターに関わった者が呉座勇一さんから内容証明郵便等で請求された後にオープンレターに関する債務不存在を主張して呉座勇一さんを提訴した民事訴訟を「オープンレター」債務不存在裁判、呉座勇一さんが「オープンレター」債務不存在裁判の提訴に伴って呉座勇一さんがこの民事訴訟の原告を主に提訴した民事訴訟を「オープンレター」反訴裁判とよぶこととします。

「オープンレター」債務不存在裁判の請求の趣旨

 「オープンレター」債務不存在裁判において、原告らは次の請求の趣旨を掲げて呉座勇一さんを提訴しました。

請求の趣旨
1 訴状別紙1「記事目録」の「文章内容」欄記載の文書を、同「公表日時」欄記載の日時に、同「URL」欄記載のURLにて公開した行為に基づく原告らの、被告に対する金100万円の損害賠償債務が存在しないことを確認する。
2 原告らは、被告に対し、訴状の別紙1「記事目録」記載の文書を削除する義務を負わないことを確認する。
3 被告は、原告らに対し、各金1万1000円及びこれに対する2022年2月17日から支払い済みまで年3分も割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決及び第3項につき仮執行の宣言を求める。

 「オープンレター」債務不存在裁判では、呉座勇一さんが内容証明郵便などでオープンレター関係者に内容証明郵便等で請求した主張の債務の不存在を求めるというものが主となる請求の趣旨でしたが、この請求の趣旨の中で私が着目したのは第3項でした。

「弁護による法的措置の予告はリーガルハラスメント」と言いたそうな訴状

 第3項の金員の請求の理由として、神原元弁護士をはじめとする弁護団は、「被告(呉座勇一さん)による不法行為」があるとして、その不法行為は「法的措置の予告及び本件通知による威嚇及び侮辱」が理由であると訴状で述べています。なお、訴状で「本件文書」はオープンレターを指しています。

第4 被告による不法行為~法的措置の予告及び本件通知による威嚇及び侮辱
1 本件各行為
(1)法的措置の予告
 被告代理人は、前記ツイッターに以下の通り投稿した(甲20)。被告は被告代理人が下記投稿をするにあたって、これに同意をしているものと考えられる。
「しかし、呉座准教授は、多勢から名誉毀損を受け続けています。呉座は不適切な投稿をしてしまったことを認め、謝罪もしています。それでも、呉座への名誉毀損は、学術的権威による虚偽の烙印とでもいうべきものであり、到底正当化できるものではありません。」
「状況の是正には法的措置を執るしかなく、事情をよく知る私が代理人として関与することが必要と考えるに至りました。」
(2)本件通知書(甲第15)の送付
 前記のとおり、被告は、代理人を通じ、2022年2月17日、電子メールを使用し、公開されたメールアドレスに送付する方法で、本件通知を原告らに送り、原告らはこれを目にすることとなった。
 通知書には以下の文言があった。
「本件文書には、依頼人の社会的評価を低下させる虚偽の事実の摘示が含まれており、これは名誉毀損として不法行為、犯罪行為に該当します。」
「これら(1)(2)の事実の摘示はいずれも虚偽であり、本件文書の公開及びその継続は、名誉毀損として、差出人及び署名者による不法行為に該当するとともに(民法709条、719条)、名誉毀損罪(刑法230条)の共同正犯に該当します。」
「以上のとおり、本件文書は、差出人及び署名者による名誉毀損であり、共同不法行為、犯罪行為(共同正犯)であって、これによって依頼人は甚大な損害を被っています。その損害を金銭的に評価すると少なくとも100万円を下りません。したがって、依頼人は、まずは貴殿らに対し、本書面到達から1週間以内に、100万円の損害賠償を連帯して支払い、本件文書を削除して書面で謝罪することを求めます。」

 これらの文面からは「法的措置の予告」はリーガルハラスメントであると言いたそうな原告や原告訴訟代理人の意図が透けて見えると思います。