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京都市長選挙について

地方公共団体の首長選挙を党勢判断の基準とする愚

 京都市長選挙から1週間が経過しました。マスコミの中には地方公共団体の首長選挙を未だに党勢判断の基準としているクソマスコミ様もいらっしゃるようです。玉城デニー沖縄県知事、石丸伸二安芸高田市長のように地方公共団体の首長におかしな人物が就くと住民は非常に迷惑します。

◆立民は自民・公明と同じ候補に「相乗り」だった

 京都市長選で焦点となった一つが日本維新の会の動向。共同代表で大阪府知事の吉村洋文氏は昨年8月、「維新として候補者を立てる」と述べたことから、大阪府外への党勢拡大に他党は神経をとがらせた。

 立民は自公と相乗りで松井氏を推薦する形になった一方、「無所属市民派」を掲げた福山和人氏は共産が支援。維新はといえば、京都が地盤の前原誠司衆院議員が率いる新党「教育無償化を実現する会」や国民民主党ともども、元市議の村山祥栄氏を推薦したが、政治資金パーティーを巡る疑惑が浮上したため、推薦を取り消す事態になった。

 最終的には、松井氏が約1万6000票差で福山氏との接戦を制したが、この結果に立民への落胆と疑念が湧き上がっている。

「国会での顔と京都での顔は全く違った」。京都市在住の大島堅一・龍谷大教授(環境経済学)は嘆く。

 市長選では泉代表や福山哲郎元幹事長ら、京都を地盤とする立民の「表看板」が応援のために足を運んだ。

 大島氏は「4期16年続いた前職の路線に待ったをかけ、反自民の流れをつくれたのに、自民の延命に手を貸した。期待が大きいから言うが、二枚舌に思えてしまう」と残念がる。

 市長選前、福山元幹事長は地元紙の取材に「共産や維新に市政は渡せない」と回答していた。推薦した松井氏は2021年、「立憲民主党 私の中では”完全”に終了です」と題した月刊誌の論考で、共産との連携に傾斜する立民を批判していた過去がある。

 戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏は「党を批判した松井氏の側に立ち、自民と結束した事実は重い」と憤る。「立民幹部は『反共』の方が裏金問題の追及よりも優先順位が上か。自民党的な政治の終焉(しゅうえん)を願う支持者を失望させ、影響は国政にも及ぶだろう」と述べ、選挙の大義に疑問を呈す。落語家の立川談四楼氏も「納得できる説明がなければ、支持者の戸惑いは収まらない」と断じた。

◆「自民を倒す覚悟ない」

 落胆や疑念が膨らむ原因は他にもある。松井氏に相乗りした京都の自民といえば、西田昌司参院議員がいる。保守色が濃く、教育勅語は「日本の伝統的な価値観」と述べていた。

 学生・教員時代に京都で過ごした環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也氏は「最悪だ」と切り捨てる。裏金問題の渦中にもおり「立民幹部の振る舞いは政治戦略上の失敗でしょう」。

 高千穂大の五野井郁夫教授(政治学)は「歴史修正主義などで立民支持者には譲れない線がある」と説き「自民との違いを打ち出せなければ、野党共闘など実現しない」と突き放した。

 京都大卒のジャーナリスト鮫島浩氏は「闘う姿勢」を疑問視する。「地方組織が弱い旧民主系議員は、選挙を取り仕切る連合の意向に逆らえない。労働政策の実現を望む連合は首長選で現職寄りで、共産とは全く相いれない。旧民主系は国政で自民と戦ったふりをしながら、足元の選挙区では手を握るという矛盾を続けてきた」と指摘する。

 鮫島氏は京都市長選の相乗りを通じ、立民の「保身」が垣間見えたと嘆く。

 「福山元幹事長は自民、共産などと二つの議席を争ってきた」と述べ、相乗りになってもお膝元の市長を当選させることで「自分自身の味方を増やしたい思惑では」。さらに「立民はかつての社会党と同様、議席の維持が最優先。相打ちになっても自民を倒すという覚悟はない」と突き放す。

東京新聞「選挙には勝ったのに『ガッカリ』を呼んだ立憲民主党の戦い方 京都市長選 期待していた人たちの嘆き」

 立憲民主党は京都市長に相応しいと判断した松井孝治候補を推薦したにすぎませんし、自由民主党が推薦したからといって立憲民主党が推薦を取り消したりすると立憲民主党の筋が通りませんし、党勢衰退に拍車がかかるでしょう。立憲民主党を支持しているように思われる記事に登場する御仁は、その程度のことすらわからずに政治を語っているのでしょうか。

京都市長選挙に当選する気がなかったとしか思われない福山和人候補

 東京新聞に登場する御仁がシンパシーを感じる福山和人候補ですが、私は今回の京都市長選挙に当選する気がなく、今後の政治的な立ち位置を有利にするために京都市長選挙に立候補していたと考えています。その証拠となるのが福山和人候補のマニフェストです。

 このマニフェストにはこうあります。

②公契約条例に賃金条項を設けて、市の発注事業で働く労働者に対しては市の責任で時給1500円又は設計労務単価の90%を保障する。

福山和人マニフェスト

 ここで私は福山和人候補に次のようにお聞きしたいと思います。

「設計単価ってどのように算出されているかご存じですか」

国土交通省の設計労務単価は次のようになっています。

特殊作業員    24,074円
普通作業員    20,662円
軽作業員     15,874円
とび工      26,764円
鉄筋工      26,730円
運転手(特殊)  25,249円
運転手(一般)  21,859円
型枠工      27,162円
大工       26,657円
左官       25,958円
交通誘導作業員A 15,967円
交通誘導作業員B 13,814円

 設計労務費単価では、交通誘導作業員Bでも時間給1,800円に迫る額となっています。つまり、福山和人候補のマニフェストによると、請負業者が学生アルバイトを雇って交通誘導作業をお願いする場合においてもその額がアルバイト代の基準となり、その不足額を京都市が補填することになるわけです。それは、ベテランの交通誘導作業員や交通誘導作業員を指揮監督する立場にある長となる者はそれ以上の給与を保障しなければならないということでもあります。
 どうしてこのようなことになるのでしょうか。それは設計単価の算出基準が最初から給与とは違い、設計単価は労務者の給与に加えて退職金積立額など人を雇うために必要な費用すべてを盛り込んでいるからです。建設業者の正社員であれば会社内で積み立てている退職手当積立額が単価に盛り込まれていますし、建設業者などの組織に属しない職人であれば建設業退職金共済の掛金が盛り込まれています。
 福山和人候補が本当に地方行政のことを勉強しているのであれば、京都市長になる見込みがないから今後の政治的な立ち位置を有利にするために大盤振る舞いしたのがこのマニフェストであるということになりますし、福山和人候補が京都市長になって本気でこのマニフェストを実現しようと考えているのであればただのポンコツです。このような候補に京都市政を任せようと考えるほうがどうかしているというのが私の結論です。