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イデオロギーにとらわれたご都合主義

師岡康子弁護士の「ヘイトスピーチ・セミナー」講演に関して思い出すこと

 令和2年11月23日に沖縄のヘイトスピーチ規制条例制定を考える「ヘイススピーチ・セミナー」が行われました。

 このセミナーの講演で師岡康子弁護士は次のように述べています。

沖縄独自の論点として、米軍批判をどう考えるかも分析した。「米軍は出て行け」は、「米国人だから排斥する」という趣旨の発言ではないと解説。「ヤンキーゴーホーム」は、米国籍や米国ルーツの人々に向けた場合はヘイトスピーチである一方、基地反対の定型句として使われる場合は該当しないと述べた。

 この師岡康子弁護士の解釈で思い出すのは、かつて反差別カウンターで精力的に活動していたbcxxxさんのツイートです。

 bcxxxさんのツイートもかなり偏っていますが、韓国政府を批判すべき時には「韓国」という国すべてを指す表現を用いず「韓国政府」と特定すべきであるという良識を求めるという趣旨と考えると、その点のみにおいて同意することができると思います。
 しかしながら、師岡康子弁護士は米軍批判の際に「ヤンキー(Yankees)」を用いることを問題がないと述べています。「Yankees」自体相当問題がある表現ですが、なぜそれを容認するのでしょうか。師岡康子弁護士とイデオロギー的に近い基地反対運動で「Yankees go home」とシュプレヒコールをなしているからなのでしょうか。


 弁護士法第1条は次のように定められています。

第1条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

 弁護士は、弁護士法第1条に定められた弁護士の使命に基いて行動すべきであり、弁護士個人のイデオロギーより弁護士として身に着けた法令等の知識とその職業的倫理に基いた判断を優先するべきでしょう。しかしながら、そうではない弁護士もいらっしゃるようです。それがこの師岡康子弁護士です。

 ヘイトスピーチ規制法と一般によばれている本邦外出身者に対する差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律の制定に関しては、現在は反差別活動家から敵対視されているヲ茶会さんが在日特権を許さない市民の会の街頭宣伝活動の様子を撮影した動画を編集し、その動画がいかに在日コリアンなどに対するヘイトスピーチが酷いものかを国会議員に説明する資料として用いられたと聞いています。その結果、他の差別に優先する形で本邦外出身者に対する差別的言動の解消が最優先されたわけですが、仮に、在日コリアンの共同体の圧力をちらつかせながら1時間以上も無抵抗の日本人大学院生を殴る金良平さんの音声と被害直後の顔写真を国会議員が知り得ることとなっていたらどうでしょうか。本邦外出身者に対する差別的言動だけでなくあらゆる差別的言動の解消に向けた取組の推進へと法律の趣旨が変わっていったということは考えられないでしょうか。

 師岡康子弁護士の講演の内容の論理をそのまま用いれば、在日特権を許さない市民の会などが、竹島に常駐する韓国軍に対して「チョンコ、出ていけ」などと主張している場合、韓国の武力侵略反対の定型句として使われる場合には該当しないということになってしまう段階で説得力ゼロであります。
 同様にbcxxxさんが米軍批判の際に「アメリカが嫌い」ということがレイシズムであると述べるなら信念が通っていると評価するところですが、これもまた私の頭の中でまったく想定できない「if」なので非常に困っています。