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自らが託された権限と自らの言動の影響力の大きさを自覚しない政治家たち

小西洋之参議院議員とツイッターアカウント「Dappi」の民事訴訟

 本日、東京地方裁判所における調査により、小西洋之参議院議員が原告、株式会社ワンズクエストとの民事訴訟が係属していることが事実上判明しました。

 「事実上判明した」という意味については私の調査方法にかかわるため詳詳細は明らかにしませんが、裁判所が認めたと考えてもよい高い確度であることを申し上げておきます。ただ、この民事訴訟については、権力者である小西洋之参議院議員から何の権力も持っていない株式会社ワンズクエストに対するものであるという認識は決して忘れてはいけないものであると思います。

国会議員が原告となって提起した民事訴訟の例

 国会議員が原告として提起した民事訴訟は、決して少なくはありません。判例時報にも掲載されている菅義偉元総理大臣が総理大臣となる前に原告となって報道機関に対して提起した民事訴訟をはじめ、東日本大震災の福島原子力発電所への海水注入を巡って菅直人元総理大臣が原告となって安倍晋三総理大臣(当時)に対して提起した民事訴訟、古くは作家の三島由紀夫さんの小説に対してプライバシー侵害であると有田八郎元外務大臣が民事訴訟を提起した「宴のあと」事件などがあります。ただ、小西洋之参議院議員の民事訴訟が異なる点は、民事訴訟の相手方がただの一法人であるにもかかわらず、権力者である小西洋之参議院議員が自らの民事訴訟を煽りながら宣伝している点です。
 かつて、安倍晋三総理大臣の時代に報道の萎縮が生まれると厳しい批判がなされたことがありました。

 奥野氏は、政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に電波停止を命じる可能性に触れた高市早苗総務相や首相の発言を追及。有名キャスター降板と官邸の意向が関連しているのでは、とした週刊誌記事などを例示し、「首相自身の発言が報道の萎縮を招かないか」などと問いただした。

 安倍晋三総理大臣の言動が報道の萎縮を招くと批判していた民主党の国会議員であった小西洋之参議院議員が、報道機関よりはるかに小さな存在である一法人に対して民事訴訟を提起するのは仕方ないとしても、それを自ら煽りながらツイートを繰り返すことは国民の言論の萎縮を招くとは考えないのでしょうか。しかも小西洋之参議院議員が名誉毀損であると主張するツイートは、名誉毀損であるかどうかについてかなり見解が分かれそうなものであるからなおさらです。

なぜBuzzFeed Japanと一部の政治家は自由民主党との取引を強調しているのか

 この民事訴訟に関連して、BuzzFeed Japanと有田芳生参議院議員が株式会社ワンズクエストが自由民主党支部や国会議員との取引をなしていることをもって批判をなしています。ただ、それは石垣のりこ参議院議員と一時期交際していた菅野完さんが代表取締役を務める株式会社コーポレーションが石垣のりこ参議院議員の政治資金管理団体と取引していることとまったく変わらず、その法人が数多くなしている取引の一つがそうであったことにすぎません。

 なぜこのような報道になったのでしょうか。権力の側である国会議員が一法人をやり玉に挙げるような構図を避けたいという価値判断があることと、自由民主党と取引がある法人は自由民主党と何ら変わらず同じであるという穢れの思想が強く根底にあるからだと私は考えます。その穢れの思想は江戸時代の身分制度に基づく部落差別を現代まで残したものであるといえますが、リベラルであるはずのBuzzFeed Japanや反差別を標榜する有田芳生参議院議員はこれらの報道や言動と自らの報道姿勢や思想をどのように整理なさっているのでしょうか。