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「ちょっと高い」が正解だったようです:エルゴトロン ディスプレイアーム

銀河系16777216人の「ディスプレイだけでも重力制御出来るようになりたい」と本気な皆様こんにちは。銀河系のどっかを探せば実現している人はいそうですが、そんなもん探してる間にアーム選びでもしたほうが1024倍有意義なのでそちらをオススメします。香月です。

さて、今回はディスプレイ置き換えに伴って、何年使ってたかわからんレベルのディスプレイアームを試しに置き換えてみましたよ、という内容。これまでは「ちょっと高いなぁ」と思って購入までに至らなかった「エルゴトロン」のディスプレイアームです。

ディスプレイ置き換えの記事はこちら。

見た目がちょっと違うエルゴトロンOEM製品

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(今回は販売元がHPのOEM製品を調達)

「エルゴトロンのアームを調達した」とは言ったものの、今回の製品そのものはHPが販売している製品で、ベースプレート部分にもHPロゴが入っているものです。アーム部分含め全体的に梨地の金属仕上げとなっており、ツヤっけが無いせいもあってか、安物感はありません。

現状(2021/11/10現在)でAmazonにて入手可能なエルゴトロンアーム(その中の「LXアーム」)に関しては、エルゴトロン純正、HP純正、AmazonBasicsの3種類があります。

アーム部分のカバーがエルゴトロン純正と他2製品で若干形状が異なっているようですが、ディスプレイ取り付けプレート含め、基本的に3製品とも互換性があり、延長アーム等も同様にエルゴトロン製のものが使用可能です。3製品のざっくりした違いとしては色合いや表面処理で、

・エルゴトロン:マットブラック、ホワイト、メタル3色
・HP:つや消し(梨地)金属のブラック
・AmazonBasics:つやあり金属のブラック

このような違いがあります。カラーバリエーション的にはエルゴトロン純正が豊富ではありますが、他2製品はその分(?)安価になっており、AmazonBasicsに至っては「2本で18,000円」という販売タイミングもあり、その場合1本9,000円程度という事になります。

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(開封した中身。ちなみに外装箱はいわゆる「茶箱」)

ベースプレートの他、取扱説明書にもHPのロゴが入っていますが、同時に各所にエルゴトロンのロゴやサポートサイトURLの掲載もあり、いわゆる「隠す気のないOEM」という形の製品です。尚、AmazonBasics版はまだ手元に置いたことが無いため、未確認。

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(机側のベースプレートにHPロゴが、ディスプレイ固定プレート側にエルゴトロンロゴがそれぞれ)

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(HPロゴ部分裏側。ネジ留めのようで、エンブレムは外せそう)

3種類のうち見た目が一番おとなしいのがどうやらHP版のようで、アーム部分に刻印等無し、ベースプレートに黒の同系色でエンブレムのみ、といった具合。エルゴトロン純正ではアーム部分にメーカーロゴが追加されている他、AmazonBasics版ではAmazonカラーの黄色が入っているらしく、見える位置に置いた場合にはちょっと目を引くかもしれません。それ以外の点に関しては、先の「アーム部分のケーブルまとめカバー」以外は同一形状に見えます。

安価なアームではとても感じられない「安定感」

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(中央の34インチディスプレイに取り付け。ベースのセンターとディスプレイのセンターが完全に一致)

そんなわけで早速取り付けを行ったのですが、これまで使用してきたアームの中で一番取り付けが簡単で、かつ固定に必要なネジ類も最小限でした。

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(取り付け前のパーツ類。写っているものが必要なものすべて)

まずは写真一番上のベースプレート。安価な製品ではベースプレートが小さく、別途補強プレートを挟まないと机が変形する、などのネガティブがありますが、本製品では最初からベースプレートが大きい範囲で机に接しており、その接している面がすべて金属製の為、補強プレート無しで留めても全く問題のないレベルでした。ベースプレートが大きいということは、プレート周辺の机と水平なスペースを専有してしまうという事ではあるものの、結局補強プレートを入れなくてはならないとなれば大差ない……と言いたい所ですが、そこそこの厚みがあるため、「補強プレートあたりにスマートフォンスタンドを置いておきたい」といった使用方法の場合には注意が必要です。

ベースプレートから短い支柱が立っており、途中にリング状のパーツがついていますが、これが「アームの高さを決めるパーツ」となり、付属の六角レンチで緩めて高さを決めて再びレンチで固定、という流れで根元部分の高さを調整します。

写真真ん中及び下側が中間アーム、及びディスプレイ固定アームで、これらの接合部にもそれぞれ先程と同じ小さな六角ネジが入っていますが、今回は敢えてレンチで固定せずにテストした所、「しっかり支柱が中を通っていれば」、レンチで固定せずともスポッと入り、グラつき等も発生しませんでした。写真のように3分割されているので、中間アームを入れた後、ディスプレイを先端アームに固定してから差し込むだけで設置が完了し、高さ調整等の際にもアームにディスプレイを固定したままスッと上に引き抜けるので、調整にたやら手間取る、といった事もありませんでした。2回程度つけ外しはしましたが、位置決めや高さ決めはかなり楽に行えた印象です。

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(アームとディスプレイの固定は手回しネジ4本。アームに付属)

ディスプレイとの固定にはアーム付属の手回しネジを使用。手回しでは無いタイプのネジも付属していますが、今回取り付けた34インチウルトラワイド(およそ9kg)の場合、手回しネジで全く問題ない程度に固定が行えました。指が入らなかったり固定位置が深いなどでこのネジが入らない場合はともかく、大抵の場合はこの手回しネジで固定が可能であろうと思います。

こんな勢いで、固定箇所の仕組みがかなり簡略化されている本製品、安定性はどうなのよという点については、もはや言うまでもないくらいにはブランドとして知れ渡っているわけなのですが、改めて自分で使ってみると「恐ろしく安定する」という強みを実感出来ます。前後左右のディスプレイ移動はもちろん、角度調整に関しても「止めたい位置で止まる」という、安価なアームでは味わえなかった「ぴたっと」感が強烈。特にディスプレイのチルト(画面の上向き・下向き角度)の調整に関しては、安価なアームだと「最終的に奥か手前かに若干ブレるから、強めに動かしてズレる分を余分に動かす」という製品が、少なくとも私の使用していたアームのすべてだったものですが、本製品に関しては「止めたい位置で手を離せばそのまま止まる」という、よくよく考えれば当たり前じゃなかろうかという部分が非常に気に入りました。ディスプレイの重量によって多少力加減が変わる他、この固定具合を調整するボルトもあるにはあるのですが、10kg程度の34インチという大型・重量級のディスプレイであっても、それらの調整は一切不要で使用できています。

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(画像離れちゃったのでもう一回。ベースプレートを中央にした設置例)

また、これも意外と安いアームでは少ない「ベースプレートとディスプレイの中央軸を揃えられる」という点で、本製品に関しては「適当に取り付けてアームを『く』の字に畳んだら、ディスプレイの中央軸と一致した」という具合で、採寸等もバッチリの様子。裏側を見なければ「ポールに直接ディスプレイ固定してる?」ぐらいにはピッタリ中央が揃っています。ただ、この状態だとディスプレイ直下にベースプレート分のデッドスペースが出来てしまう他、ポールが見える等でスッキリしたデスク環境にはしづらい、という事で次の項。

アームをすべて伸ばしきった状態でもやっぱりド安定

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(ベースを右に寄せて再設置)

そんなわけで、より一層ディスプレイ周りをスッキリ見せる為、ベースプレート部分をディスプレイ右側に寄せて、ケーブルだけでなくアームも可能な限り隠すことができるように再設置してみました。この状態だと向かって左側に2本のアームが伸び切る形になり、当然ながらベースより右側への調整は行えなくなるのですが、アームが2本とも伸び切って重量バランスが崩れたり、耐荷重的にもかなり負荷がかかる状態にも関わらず、例によって34インチの大型ディスプレイをびくともせずに支えてくれています。特に今回のディスプレイはウルトラワイドという事で、マウントプレート(≒アーム最先端部)からさらに遠くへディスプレイ端が伸びる状態になるのですが、確実にバランスも悪く、根元側アームやポールに左向きの荷重……というより、「てこの原理」レベルで左が重たくなる設置方法でしたが、これまた例によってアームがズレたり妙な歪みが出たりする事もなく、ピタッと支えてくれます。

ベースプレートから出ているポール部分はそれなりの太さがあって、かつ長さも短いという安定性重視の設計でこそありますが、その上に乗る2本のアームは割と安価なアームと同じくらいの太さ(細さ)で、見た目ちょっと頼りないかなと思った感じはしたのですが、いざ設置してみるとそんなサイズでもこれまで使ったアームの中で一番ガッチリ支えてくれます。アーム一本の重量もぼちぼちあるので、かなり肉厚に作られているようです。

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(右のアームに気づかなければ、壁掛けか「宙に浮いてる」ようにも)

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(ツール用の小型ディスプレイでベース部分を目隠し)

最終的にはこんな感じで、ベースプレート手前にツール関係を表示する13インチのディスプレイを置いたのですが、こうなると完全にアームが隠れるので、なにやら宙に浮いているようにも見えます。ケーブル類もすべてアーム方向に流しているため、ディスプレイ下は完全に空きスペースとなり、机上の面積も大きくなりました。

強いてネガティブを挙げるとすれば、本製品も他製品よろしく「アーム内にケーブルを収納して配線できる」という仕組みがあるのですが、先に出たアームが肉厚なせいか、この収納部分は決して広いスペースではありません。3ピン電源やDPケーブルのような太い線を這わせようとすると、どちらか一方しか入らなかったり、無理な曲げが発生してしまう場合もあるので、今回はDPケーブルは面ファスナーのベルトを使ってアームに巻きつけるように固定しました。ディスプレイの電源が外部ACアダプタで、ディスプレイ行きのケーブルが細かったので、こちらはアームの中を通しています。これは好き嫌いの分かれる部分ではありますが、ケーブルガイドに関してはアーム内部を使うというより、外側にクリップを並べて取り付けて、そこを通すように這わせることができると、整理できるケーブルの幅も広がるので良いのではないかなと。最近はHDMIケーブルならかなり細身でもしっかりした製品が出ているので、通せるとしたらそういうケーブルを選ぶ必要がある点はちょっと残念でした。

総評:使ってみてわかった「安物との違い」、ちょっと頑張って導入できるならこちらのほうが確実にストレスフリー

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そんなわけで、今回はディスプレイ入れ替えに伴って同時に入れ替えた、エルゴトロン系のディスプレイアームを紹介しました。安価なアームが3000円台から買える中、ディスプレイ1台分で10000~12000円となると少し気が引ける気がしなくもないですが、その価格差を吹き飛ばすくらいには使用した感触が良く、また安心して固定を任せられるような作りの良さが実感できて、「なんで今までこれ入れなかったんだろうねぇ」と改めて思い知らされる事となりました。

エルゴトロンの事自体はかなり前から知ってはいたのですが、「ブランドモノ、高級メーカー品」という印象が先行してなかなか選択肢に上がらなかった事もあり、ようやくはじめて使用することになったのですが、これだけ使いやすさが身に沁みてわかると、もう完全に指名買いの対象に入るくらいの製品になりました。作業デスクにも他に数枚、また他のブースにもアームで吊っているディスプレイがあるので、順次エルゴトロンアームで置き換えを進めていこうと心に決めたのでした。

ベースプレートの大きさ故のデッドスペースやケーブルマネジメント機構の中途半端感等、ネガが無いわけでは無いのですが、工夫するなりなんなりでほぼ全て解消出来てしまう上に、それ以上のメリットが大きいので、こんなご時世で自宅のデスクも整理したいなと考えている方には「良いからまずは使ってみれ」と言える製品です。

最近は何かとデスク周りの整理がちょっとした流行になっていたり(たいていガラスパネルPCケースのせい)して、「いかに安価にキレイにするか」を目指す方も多くいるのですが、「必要な場所には必要な出費をすべき」といえる部分です。なんせ決して安くないディスプレイを保持する事になるかもしれない部分なのです、安心できる製品を選ぶに越したことはありません。現在使用中だったり、導入予定のディスプレイが耐荷重範囲内の重量・サイズである事を確認する必要はありますが、安心して机をスッキリさせたい方にはオススメです。

同じ「LX系」にもロングボールのデュアルアームモデルがあるのですが……結構お値段上がっちゃうのがまた……ロングボールのシングルアームなんて製品も見た記憶があるので、そっちを導入するかもしれません。