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声優ラジオのススメ

人の生活には、ラジオの音が溶け込んでいる。

ラジオが好きな人の生活には、ラジオの音は欠かせないものになっている。



ラジオは毎週、もしくは毎日やっている番組を聞くというのはルーチンというよりは、カンフル剤なのだ。毎週放送の番組なら、この日の為に毎週頑張れる。平日放送ならば、このラジオを聴くために毎日頑張れる。

そして、安らぎ、あるいは笑い、楽しみ、元気をもらい、また明日も頑張ろうと足を踏ん張ることができる。


今最も人気のあるラジオと言っても過言ではない、オードリーのオールナイトニッポンが都合により2週連続お休みになったことで、ツイッターにはラジオ難民が多く見られた。

タイムラインを見ると、オードリーのラジオは「エンタメというよりインフラだから生活に支障が出る」といったツイートが軽くバズっていたのを覚えている。



大衆の心に入りやすいかという違いで、言い回しはなんでも成立するのだと思う。

カンフルだろうが、インフラだろうが、栄養分だろうが。

いずれにしろラジオがないと生活が成り立たない。ラジオ依存と言えば聞こえが悪いが、ほぼそういうことだ。


ラジオ好きからすると、懇意のパーソナリティの声が聞こえないというのは、生活に影響を及ぼしてしまう、本当のことだからしょうがない。


この依存状態が正常か、健康かどうかについては議論の余地があるだろうが、個人的にはある種の正常だと思っている。この話はまた別の記事に書き起こすことにしよう。



特別ラジオ好きというわけではない友人とラジオについて話すと、自分の感覚とはかなりかけ離れているのだなあと思う、当たり前のことだが。


ラジオは生活の一部に溶け込んでいる。ラジオ好きじゃない人からすれば、その音がなくなっても日々の生活にそこまで影響はない。繰り返すが、それは当たり前のことだ。


例えば、懇意にしているアイドルや俳優、芸人がいたとして、その人のラジオを聞きたい、と思うよりは、その人がラジオを放送しているのなら「聞いてみようかな」という距離感で、「絶対に聞かなきゃ」という感覚ではない。


その人の推し具合にもよるのだろうけど、恐らく優先順位としてテレビやYouTube等の動画媒体が上位で、ラジオについてはそこまでの熱意で追わないのだと思う。


気まぐれに「聞こうかな」とラジオを付けて、その時々のパーソナリティの声を聴くのが、ラジオとの付き合い方で、一週間の楽しみとしてとっておくものではないようなのだ。



それに対して、ラジオ好きというのは懇意のパーソナリティの声を聞きたくて仕方ない。

電波に乗せて流れるパーソナリティの声を聴いていないと生活ができない、流れる音は食物と同じだ。

ラジオ好きはラジオの音を吸い取って生きているのだ。



自分にとって深夜ラジオ、主にオールナイトニッポンはその食物にあたると思うのだが、声優ラジオについては、その”聞こうかな“と思ってラジオを付けて聞くものにあたる気がする。



この記事は声優ラジオについてのものだ。


まずは、インターネットラジオ「超A&g+」内で放送中の女性声優二人の番組「洲崎西」について掲載する。


洲崎綾、西明日香。

この二人の女性声優のラジオパーソナリティとしてのポテンシャルは、放送開始当初、誰も想像していなかったように思う。


洲崎西



中学のとき、なんとなく精神的に落ち込んでいるときに深夜アニメと出会った。そこで所謂オタクに片足を突っ込む。


多方向に嗜好を巡らし手を伸ばしていた時代は、その期に放送されるすべてのアニメ1話を見て、様子を見たいときは3話まで見て、そこから面白いと思ったすべてのアニメを最終回まで見るのは自然と言っていいくらいで、何も苦痛じゃない、義務感にも駆られない、ただただ娯楽としてアニメを見ていた。


ピークを越えてからはめっきりその体力も減ってしまい、面白いアニメを見つけにいくのではなく、面白いと言われているアニメを見に行くスタンスになっている。直近ならヴァイオレットエヴァーガーデン、鬼滅の刃あたりの超メジャーアニメだ。


アニメを見始めた当時は声優ブームなるものが来はじめた頃だったと思う。自然な流れで“中の人”という存在にも目が向く。ハルヒ役の平野綾なんかは地上波テレビ「ピカルの定理」に出ていたし、声優がラジオをやることもなんとなく知っていた。


ただ、そのときにラジオを聞きに行くというほどファンになる声優はいなかったのだと思う。ラジオを聞くならAMはほぼニッポン放送だったし、FMはJ-Waveといった具合に。

文化放送がどんな局なのか、超A&gなんてまったく知らなかった。



それでも面白いラジオは話題にあがるもので、いつ頃だったか、あるラジオが巷で話題になりだした。


洲崎西

パーソナリティ、洲崎綾と西明日香の名字を取って「洲崎西」シンプルな名前だ。


さて、ハルヒやらきすたらへんでこの世界に片足を突っ込んだ自分からすれば、京都アニメーション作品は今でもそれなりに見ていて、その中の一つ。「たまこまーけっと」も見ていた。

面白い作品だった。シンプルに見えて奥深く。もちろんアニメも良かったのだけど、特に映画は際立ってよかった。まあ、細かいことを語るのは控えておこう。見たことがない人は見ればわかる。


そんなわけで、主人公、北白川たまこ役の洲崎綾という声優の名前くらいは知っていた。しかしながら、西明日香という声優はまったく知らなかった。


今となっては二人とも人気声優と言って申し分ない実績と知名度を誇っているが、このラジオが始まった当初の洲崎綾、西明日香、二人は有名とは言えなかったと思う。


新人女性声優二人のラジオが始まったくらいの認識だったのではないだろうか。自分は「洲崎さんはたまこ以外にやってる役あるのか?」という印象だった。

後にキルラキルという作品中の満艦飾マコという超はまり役が彼女と知るのはもう少し後だ。




さて、聞いてみる。



継続した笑いを30分受け取ったあと、どうしようもない虚無感が襲う。


この満足感、しかし聞いたのが間違いだった。




「女性声優美しくあれ」



と、天津向が本渡上陸作戦内で度々口にするちょっとした常套句なのだが、これは彼女らにとっては間違い。

と、こうして「間違い」と書くと彼女らに本気で怒られそうだ。あれはそういう番組だと思う。


今まで辛うじて保ってきた、女性声優という清廉潔白なイメージをなにもかも崩してしまったのがこの番組だった。



洲崎西は女性声優というパッケージに熱心なオタクに現実を突きつけていく。


女性声優は一人の女性だ。そして世の女性はこういうもんだと、現実が辛いオタク、現実逃避気味に日々を過ごし、女性声優に理想を夢見るオタクにとっては身を引き裂かれるような放送になっていたかもしれない。


そのうち「試されるガチ勢」というパワーワードが生まれる。

この言葉がこのラジオのすべてを物語っているような気がする。



とりあえず、このラジオは今まで聞いてきた中でもトップレベルに面白かった。面白いのだが、当時の荒み具合はとにかく酷い。


口を開けばとにかく結婚したいと言い始める、女性のリアルな心情と現実話。

その声がリアル過ぎる。

シンプル下品話。

自分をちょっと変な奴と評価している洲崎綾、掘れば掘るほど出てくるめちゃくちゃ変な奴エピソード。


彼女曰くビジネスで、戦略的にラジオでのキャラを演じているらしいのだが、演じている部分がどこなのかわからないくらい素も変である。というかこれですべてを演じているのだとしたら怖すぎる。


こんな変な奴の相方はさぞかし大変だろうと思いきや、西明日香という声優も並々ならぬ女性声優だった。

そこまで変じゃないと思いきや、やっぱり掘れば出てくる激ヤバエピソード。

愉快な家族、ノリが関西人過ぎる。ゲラ過ぎる。おかしいことがあれば大笑い。当然のように下品は下品。


「(西゚∀゚)アハハハハ八八ノヽノヽノヽノ\/\」


上記のアスキーアートは西さんの笑い声をリスナーが表現したものだが、ラジオを聞けばこのまんまの笑い声が聞こえる。



この二人はラジオで初めて抱き合わせたペア、つまり初対面スタートだった。

シーサイドコミュニケーションズはとにかく初対面ペアでラジオをスタートさせることが多い。この番組はシーサイドコミュニケーションズが最初で最後の奇跡的融合に成功したラジオだった。


激ヤバコミュお化けぺっちゃん、激ヤバゲラあっちゃん、洲崎西はこの二人でしか成り立たないラジオだ、誰に聞いてもそう答えるだろう。



毎週30分と短いながら、刺激的な放送だった。深夜の放送というのも加速させたのか、当時の女性声優では考えられないくらい何もかも鋭敏だった。


この二人は卑屈なところがない。

リスナーの雑な弄りには本気で怒るし、つまらないメールには率直に「つまんね!」と悪態をつくし、面白いメールには大笑いする。二人ともネガティブな面は基本的に見せない、いつでもなんでも大笑い。

トークだけで取れ高があるから一時期はメールなしで放送していたときもあったくらいだ。


歳を重ねていくうちにその猪突猛進ぶりも落ち着きを見せて、現在は二人とも結婚し、肩で息をして真剣を振り回しているような放送ではないけれど、今は料理包丁を振り回して放送を継続している。




たまたま何周年かだったかの放送を聞いた。


一時期のように毎週聞いているようなラジオではなかった。夜ふかしをして、気が向いたときに超A&g+を付けて放送を聞くような頻度で聞いている状態だった。


その日はたまたま起きて聞いていたのだ。


放送内容は、周年記念でご飯を食べながらお話していた。ご飯を食べながら放送するのが恒例みたいになってるけど、ご飯食べながらラジオやっていること自体はハイヒール姉さんと同じだ。


そんでもって、洲崎さんが口を開いたかと思えば引っ越し時の旦那の愚痴からマジ切れ、料理包丁を振り回していると感じたのはこの件だった。

その後、ひと段落した後の西さんの話の切り出し方が「ねえ、聞いてよ」もうただの奥様ランチだ。

笑ってしまう。面白い。


直近で聞いていて面白かったのは、洲崎綾初めてのコンタクト装着チャレンジ30分放送。
ただ、コンタクトを目に入れたことがない洲崎さんがコンタクト装着に挑戦する30分という放送だ。メールは読んでなかったと思う、ただただコンタクトを装着する30分をトークで乗り切る放送なのだ。

笑ってしまう。面白い。



何をしているわけでもない、これだけで面白いのは彼女二人のたぐいまれなるトークスキルとタレント性が高いパーソナリティを持っているところにあると思う。


面白いラジオには面白いリスナーが集まるとは自論だが、その通りだと思っている。メールも一癖あるものが多い。



なお、このぶっ飛んだ番組は、2016年第二回アニラジアワード最優秀女性ラジオ賞を受賞している。

それでいいのかアニラジアワード。




声優ラジオ



自分が聞いている限りだが、声優ラジオというのはメール主体の放送が多い。


声優ラジオに限らず、パーソナリティ能力が高ければ高いほど、またそのタレントに勢いがあればあるほど、フリートーク主体で放送が進むのだけど、声優ラジオというのはファンとの交流の方が先立っているのだと思う。


だからパーソナリティは普通のおたより、所謂「ふつおた」を受けてトークを展開するというパターンが多い。相方なしの一人喋りだと特に多い印象だ。


なので、深夜ラジオ特有の「ラジオノリ」というものがそこまで存在しない。

「究極の内輪ノリが深夜ラジオ」、「内輪ノリが醍醐味」、という人もいるのだが、そこまで強く賛成はできない。良いラジオとは内輪ノリもあり、新規リスナーにも優しいのだと思う。


そういう意味では、声優ラジオは基本的にそんなノリを知らなくても充分に楽しめる。事実知らなくても楽しんで聞けている自分がいる。


毎回、その日に読むメールを基にトークが展開されるのと、収録での放送が多いので、リアルタイムでメールを送ろうという緊張感もなく、適当に流しておける。


面白い話題があったらそこで耳を澄ませて身を入れて聞き始めればよいのだ。



毎週聞いているわけではなく、聞こうかな。と思えるときに聞けるラジオ。

自分の中で声優ラジオは一般の人が言うラジオと近い感覚で聞いているように思う。





男性声優のラジオは聞いたことがない。

田丸篤志と内田雄馬のチンチーノ番組を洲崎西で話題に上がったときに聞いたのと、内田雄馬の焼肉のラジオを一時期聞いていたくらいだ。


なので、女性声優のラジオに限っての話になるかもしれないが、声優ラジオには大きく分けて二つのタイプがあると個人的に思っている。



一つはお笑い。

基本的に芸能人がパーソナリティを務めるラジオはエンタメだ。笑いと楽しみを与えるものだ。声優ラジオにもこのタイプが一番多いと言えるだろう。


二つ目は癒し。

ラジオ以外の媒体でも、YouTube、Abemaなどでもそうだが、声優はやたらと「一言」なるものを求められる。

可愛い声、かっこいい声でダミーヘッドマイクを使って、耳が痒くなるような「一言」を言うのが定番。リスナーからフレーズを募集したりもする。


引っ込み思案な自分からすれば、こんなの聞いているのも、演じるのも恥ずかしくて家から出られなくなりそうなのだが、こういう声優の「一言」を栄養にして自らを人間たらしめる人もいるわけだ。この「一言」を聞いてニヤけたことがあるのなら、その「一言」が栄養になっている証拠だ。

「一言」に可愛らしさや格好良さを感じて、生きていく糧にする。そんな癒しの要素も声優ラジオにはあると思っている。




声優ラジオの聞く敷居はかなり低いと思っている。


声優ラジオに送るメールも面白い内容というよりは、自分の身の回りでこんなことがあったよ、という内容だったり、声優さんがあなたにこんなことを言ってましたよ、みたいな報告のメールで採用される番組が多いと思うので、メールも送りやすい。


ただ、これは番組の空気にもよる。

お笑いに特化した番組だと、このルールが通用しない。

一時期の洲崎西ではなんせ、つまらんメールを読まれた上に「つまんね!」と一蹴されるからだ。


さて、女性声優ラジオ定番の「雑な胸弄り」があるが、あれは一回きりだし、面白いとは思わない。これが定番化したのも下手すりゃ洲崎西のせいかもしれない、業が深い。


パーソナリティが声優だから簡単じゃない。難しいのだ。お笑い系に振り切った声優ラジオのメールの難易度は深夜の芸人ラジオより高い。


深夜ラジオというのは、面白ければメールの内容はなんでもいいという節がある。

しかしながら、声優というのは品も求められている時代だ。不快感を与えるメール、過激な下ネタなどは採用されない。

だから、それをかいくぐった上で面白いメールを書くとなると、品がありつつ面白いメールを考えなければいけないということになる。


これがめちゃくちゃ難しい。

最近を思い返しても、記憶の限りでは、声優ラジオで採用されたのは本渡上陸作戦で1回、洲崎綾のてづくるラジオの大喜利コーナーに一通だけ送ったら採用されたくらいだ。


自分が主に芸人ラジオにメールを送るから、というのもあるかもしれないが、ポンと思いついても、品がなさすぎる、お笑いに全振り過ぎる、とメールを送ることを躊躇ってしまうのが現状になっている。


でもこれでよいのだ。声優ラジオは、気が向いたときにつけて聞くものだから。



声優ラジオでメールを採用されたいなら、「他のラジオであなたのこんなことを言ってましたよ」という報告メールから始めてみるのはいかがだろう。




ほかにもあるよ声優ラジオ


本渡上陸作戦

前章でも少しだけ触れたが、本渡上陸作戦という女性声優本渡楓とお笑いコンビ天津の向がパーソナリティの番組がある。

流石に芸人がパーソナリティのラジオだから、笑いにステータスを振っている。二人のトーク主体の簡易映像付き番組だ。


向さんは言わずもがな芸人だからトークは面白くてなんぼだ。


でも、たまに滑るから面白い。

トークが面白くなくて不満だった場合、または単純に向さんにイラついた場合。「指折るぞ」もしくは「○○折るぞ」という派生の言葉のみ、我々は合法で彼に使える。詳しくは調べてくれればよい。用法用量はちゃんとある。


麒麟川島さんに可愛がられていて、TBSラジオでもアシスタントのような立ち位置でレギュラーを持っているが、主戦場はアニラジ。芸人ラジオの雑誌でジャンル限定のラジオスターとか言われてた、その通りだと思う。



さて、本渡上陸作戦という番組名だ。声優の本渡楓がもう一人のパーソナリティになる。


ただ、本渡楓という声優のパーソナリティもなかなかのもので、このバラエティ感覚は先天的なものなのか後発なのかはわからない。

でもなんとなく向さんのことを育ての親という認識ではいるようだ。

「オレが育ての親だ」という旨の向さんの冗談交じりの言葉に対し、「それは否めない……」みたいなこと言ってた気がする。向さんは「地獄みたいなことになるから否定して」と言っているが。


付き合いが長いおかげで、互いにかなりディスり合って放送している。

どっかのラジオで赤尾ひかるさんに向さんはえーでちゃんの相方とまで言われてた。相方はエロ詩吟の木村だ。

ただ、信頼関係はホンモノなのだろう。それを意識しない方がこのラジオは楽しめる気もするけれど。



「本作戦は若手声優本渡楓が、人気声優の誰もが持つトークスキルを身に付けるべく様々なミッションに挑み、より一層のランクアップを目指すものである」


と、番組冒頭で向さんがコールして始まる番組なのだが、現在はこのコンセプトもリスナーに募集をかけて放送している。

最初こそ、この趣旨でスタートし、本渡さんがミッションに挑む企画もあったようだが、現在は完全トーク主体だ。


最近、コーナー等が迷走していたが、少し落ち着いてきた。

フリートークコーナーとなるポエム、それから本渡さんの担当するアニメからスポンサーについた佐賀県を上げるコーナーと、シンプルな大喜利コーナー、あとは自分の番組グッズを売る番組になっている。


大喜利コーナーは2週に1回のペースでやっているのだが、猛者が集まっている印象がある。

やはり、面白いラジオには面白いリスナーが集まる。


本渡上陸作戦もアニラジアワードを受賞している。まさかの「ためになるラジオ賞」だったが。

受賞当時の放送時間は深夜2時だったはずだ。

アーカイブもない超A&g+で、視聴者をまず稼がないといけないアニラジアワードのシステムを考慮すれば大健闘だと思う。



のむこがみなみ

アーカイブが残るという点では音泉というネットラジオコンテンツはかなり有利だ。
そのためなのか、音泉で配信されている番組はやたらとアニラジアワードを受賞している。会社全体で取ろうとしてるからパーソナリティがやたらとけしかけてくる。

アニラジの季節が近づくとこぞって投票にけしかけるの怠いは怠い。ブランディングとしてはいいかもしれないけど、もうそんなにしなくても充分コンテンツとして優秀になっていると思うし、正味そのせいで中身が面白くなかったら終わりじゃん。


資産が潤沢になってきたのは最近のように感じる。

8番組も一気に立ち上げたかと思えば、また秋に新しく3番組くらい立ち上げていた記憶がある、流石に新番組すべては聞いていない。


ただ、同時に8番組立ち上げたときは軽く聞いた覚えがあって、唯一現在も毎週聞いている番組が「のむこがみなみ」だ。

パーソナリティの一人、古賀葵という声優はかぐや様は告らせたいというアニメで主演を務めた。


当時、ほぼ無名だった古賀葵がこのメガヒット作品で、一気に主演女優賞を獲得する才覚を見せつけた。ここ数年でこの人以上のシンデレラストーリーは知らない。


そんでこの人、面白い。可愛らしい。

写真集も出すくらいもちろん容姿も素敵な方なのだが、ラジオは外見ではない、現れるのは人格だ。


古賀葵で検索すればいくらでも面白い動画は出てくると思うが、最近見て一番笑えたのは東京から青森までの電車賃を答えるクイズに、新幹線代も含め3700円と答えていた動画だ。

彼女の出身の佐賀県には新幹線がないのかもしれない。なかったとしても3700円は凄い回答だ。


良識や常識はしっかりあるのだとは思うのだが、変わっている。

テンションが高いとますます変になる。かぐや様で同じ現場の鈴木崚汰曰く「テトテト」している、素晴らしい表現だと思う。

忙しすぎてこうなっているのだろうかと少し心配にもなるが、可愛らしいし面白い。だけどやっぱり心配ではある。



そして、南早紀。

はっきり覚えていないが、同じく音泉の番組。ためらじ経由だったと思う。

後に向さんのラジオでコーナーのモデルになっているのも知る。隠れた狂気を抱えた人だ。

ただ、話題がないところからトークを作り出すのが上手い。0から1を創り出すタイプなのだと思う。


3人目は野村香菜子。

この人もラジオをやって長い人みたいだが、自分はまったく認知しておらず、前情報がなかった。
彼女を知った今、この人が「のむこがみなみ」というラジオの根幹を担っていると言っても過言ではないと思える。


この人は、なんというか、瞬発性バラエティ能力が高すぎる。

なぜそうなったかなど、詳しいことは割愛するが、3人で踊り始める件があった。
そのときたまたま赤い法被を着ていた野村さんは「でーまえかん!でまえかん!」と有名CMの出前館の歌を歌って(しかも全然CM準拠じゃない)、そして踊ったようなのだ。


自分の格好や状況などを瞬間で把握し、そのとき思い付いた言葉を発して大爆笑をかっさらう。

このときの古賀さんの笑いっぷりは凄まじかった。告radioでも聞いたことのない、今まで聞いてきた中で図抜けた大笑いしていたと思う。



3人ともに共通するのは、少しだけねじが外れている。

そんな、ぱっと見ヤバい3人で放送する「のむこがみなみ」だが、放送内容もヤバい。


3人のキャラを正すことなくそのままぶつけるとツッコミ役がいないので、放送中にツッコミどころがあると、作家かディレクターが「クラッシュボタン」なるものを押して、勇者王檜山さんの「クラーッシュ!」という叫び声と共に、自動的に話題が終了する。

何か話題に詰まると「クラッシュ」で終了。メールの漢字が読めないと「クラッシュ」で終了。メールを噛んで「クラッシュ」で終了。

そのままのキャラクターで放送していると、クラッシュが多発する3人だ。初期は本当にメールが読めなかった。


この番組も人気があり、音泉内での再生数ランキングでも一桁順位を推移しているそうだ。

現状でも充分面白いとは思うのだが、スタッフ、恐らく作家さんはこの好評な結果を受けてもなお実験的なことを続けたいらしく、たまにラジオドラマや、そのドラマとラジオ内容が交錯したものも放送される。


個人的に面白かったのは野村さんが言い出した夢に出てきた人をゲストに呼んで放送するという趣旨のドリームラジオとかそんな名前の放送。


ただ、実験的なことも面白いものでないとリスナーは離れる。

そもそも「クラッシュボタン」がある時点で実験的だったし、結果ここまでの評判にのし上げている時点で、基本的には実験的なことも成功していて面白いのだから、このままの路線でもよい気はするが、このままだと飽きられるという懸念もきっとあるのだろう。


ラジオ番組一つ継続させるでも大変なのだ。こちらは受け取るだけでいいのだから、エンタメというのは本当にありがたいものなのだと思う。



通常回を一度聞けば、全員のキャラクターを理解した上で、野村さんの天才的なセンスが突出していることに気が付くだろう。番組としてどうにか成立しているのは、全員の相性が良いからなのだと思う。

あと、3人の声がそれぞれ聞き取れるのもラジオとしてポイントが高い。


なお、のむこがみなみは今年のアニラジアワード「大笑いラジオ賞」にノミネートしている。




小原好美のココロおきなく

さて、前の章で上げた、「癒し」という作用は声優ラジオに多い印象がある。


アイドルがパーソナリティを務めるラジオ番組はストーンズのオールナイトニッポンサタデースペシャル、乃木坂46のオールナイトニッポン、松田好花の日向坂高校放送部などがぱっと浮かぶ。聴取率も好調な3番組だ。


乃木坂46は新内さんが卒業ということで、最近は毎週聞いていた。日向坂高校放送部もサッカーから影山優佳、そして日向坂46と興味を持って、今のところ初回から聞いている。


では、その二つのラジオに「癒し」の要素があるのかと言われると首を傾げる。

トークに入る助走の部分でメールは読むものの、リスナーの悩みや相談に乗るというよりは、それをきっかけにしてトークを始め、その放送のほぼ大半がトークで回っている。

30分番組とはいえ、この前の日向坂高校放送部なんてコーナーぶっ飛ばしてオープニングトークで終わっていた。

じゃあ、そのトークが癒しを届けているのかと言われると、微妙と答える。松田さんのフリートーク、先日はタクシーの厄介運ちゃん話だった。癒しというよりは、面白いが優勢だと思う。


ストーンズはほとんど聞いていないのが正直なところ。

ただ、せいやがゲストで出演した回を聞いたが、あれはもうほぼお笑いな気がする。ジャニーズはその毛がある。



そんなあまり提供しているラジオがない「癒し」という作用を存分に感じるラジオ。

「小原好美のココロおきなく」は声優、小原好美がパーソナリティを務める30分番組だ。




ラジオにはパーソナリティの素が出るとは言ったものだが、このラジオ以上に人格がそのまま飛び出してきたような放送はないと思う。


最近の放送ではなくなりつつあるものの、とにかくリスナーに感情移入をして泣いてしまう。彼女の繊細な性格が本当によく出ている。


最近は「ありがとうのコーナー」をやっているのだろうか。

リスナーが感謝を伝えるメールを送るのだが、このメールを読んでいる最中に毎回泣いてしまうものだから、一時期このコーナーは中止になった思い出がある。


生まれて1万日記念に自らの母に電話をする放送をしていたが、これも彼女らしい。

放送最後にはリスナーから募集した「一言」で終わる。最後はあまりの台詞の甘さに照れたり、おかしいものには軽く突っ込んだり、最後まで彼女の人柄が出た素晴らしいラジオだと思う。


毎週は聞いていない。日曜20時の予定が空いていたら、超A&g+をつけて小原さんの声を聞く。穏やかな気持ちになりたいときに、ここちゃんの声と真摯な彼女の性質に触れて和んでいる。


なお、このラジオはアニラジアワード、癒しラジオ賞を受賞している。

ベストコンフォートラジオ。癒しラジオ賞。このラジオにぴったりな賞だと思う。




もっと評価されるべき声優ラジオ



そもそも声優と声を主な媒体とするラジオとの親和性は高いのだと思う。世代的にはゾナーのイメージが強い森久保祥太郎さんはFMに番組を持っていたはずだ。


オールナイトニッポン系列で言えば、最近木村昴のオールナイトニッポンクロスが放送されていた。個人的にも面白い放送だったし、実際好評だったと思う。

深夜ラジオと声優ラジオのメールの質はかなり別物なのだが、その深夜ラジオのメールにも木村さんは適性を見せていた。

彼は朝の仕事もあるのでレギュラー化は難しいのだろうが、深夜ラジオに適性を持つ他の声優もいることだろう。



しかしながら、どうも声優ラジオというのは深夜ラジオに比べて注目度が低い。その声優のファンしか聞かないような放送が多い。


自分がオールナイトニッポンというブランドを好きな理由の一つに、タレントのジャンルが絞られていないところがある。

芸人、アイドル、俳優、ミュージシャン、YouTuber。声優もその中の一つになれるはずだ。

何の気なしに聞いてみて興味を持つことができるのは、大看板番組の大きな強みだと思っている。


オールナイトニッポン、金曜クロス枠は週替わりだ。声優は江口拓也、内田雄馬、木村昴がパーソナリティを務めていたことがある。

この調子で、声優が担当する声優ラジオももっともっと、色んな人の目に留まって欲しいと思う。




最後に。


この記事を書いているうちに、洲崎西の最新回が放送された。

近年稀に見る酷さだったが、夜中に本当に声に出して笑ってしまった。


先に書いておけば、主なトークテーマはAVとおなら。


放送中にも口走っていたが、この人たちから下品を取ったらなにも残らないとは、本当にその通りだと思う。


女性声優が下品な話をすることに抵抗がない人ならおそらくほとんどの人が笑えると思う。

一度聞いてみて欲しい。

激しい拒否反応か、中毒反応が出ること必須のラジオになっているはずだ。

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