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フワちゃんの非常識ラジオ

ミューコミという僕の転換期となった番組が終わった。月曜日から木曜日までの0時~1時までの帯番組。
十年以上前から放送していた、メールもツイートも読まれた思い入れのあるラジオの終了に、悲しみに溺れ、浸る間もなく、同時間帯に新ブランドが立ち上がった。

オールナイトニッポンX(クロス)

月曜日から木曜日までは決まったパーソナリティが担当、金曜日だけは週替わりパーソナリティが担当する。
この記事は水曜日を担当している、フワちゃんのオールナイトニッポンX(クロス)について書いていこうと思う。

はじめにフワちゃんの印象、それからフワちゃんのラジオの特徴、終わりに僕がこのラジオに思うことについて書いていこうと思う。


クロスの1時間弱という枠の中で、僕が一番成功していると思っているラジオだ。

ラジオを聞き始めて十五年くらい経つけれど、これほどヤバいラジオは聞いたことがない。
異常だ。とにかくぶっ飛んでいる。


フワちゃん

フワちゃんについては未だに詳しく知らない。

第一印象はテレビに出ているカラフルな服着た明るいぶっとんだタメ語を使う芸人みたいな、そんな印象だった。

彼女は厳密には芸人ではないらしい。
YouTuberから成りあがってテレビに出てきた人で、元々ワタナベエンターテインメントの研修生だったかで事務所に所属していた、みたいな感じだった。

ちょこっと彼女のYouTubeを覗いてみると、そのぶっとんだ感性をそのまま落とし込んだような動画が見られた。

上手く言語化できないが、その展開の速度や、スタンプのようなものが画面を通り過ぎたり、突然画面転換してフワちゃんの身体が膨らんだり、サイケデリックな画面になるなど、普通のYouTuberの動画ではない。

とにかく見てもらえればわかる。一応ちゃんと動画タイトル、趣旨とは合っているので楽しく見られるとは思う。事実、僕は楽しめた。


たまにフワちゃんのツイッターを覗くと、大体面白いことになっている。

ザ・ぼんちと写真撮って「マヂ馬合う、宅飲み誘う」ツイートや、京都府景観条例に則ったバニラ広告の写真撮って「京都のバニラ景観守ってて草」など、これだけで面白いのだが、噂によれば、伊集院光とまったく絡んだことがないのに、勝手に写真撮ってツイッターに上げていたらしい。
一種のブランディング活動だとは思うのだが、凄いやり口だ。

タメ語を使う芸能人は沢山いたと思うけれど、そんなに長くは続いていない印象だった。

しかし、彼女はテレビに出だしてからもハイテンションで敬称を付けないキャラクターを、一貫して演じている。

いや、演じている。というよりは、多分素がそんな感じなのだ。


とにかく、そんなパリピな彼女のキャラクターを受け入れられるかどうかで、ラジオが楽しめるかどうかも違ってくる。

僕の友人は、失礼な態度や敬称をつけないのは無礼だからフワちゃんは好きじゃない、と言っていた。

たしかにそこを許せないという意見はわかる。キャラクターとはいえ、基本的に先輩に友人のような態度で接する、敬称を付けないというのは、常識的に間違っているのだろう。フワちゃんの大きな騒ぐような声が、五月蠅くてやかましいと思う人もいるかもしれない。

多分、僕はそれなりに受け入れられたのだと思う。


今が旬の芸能人なのだろうというのはわかる。

フワちゃんを追っかけているわけでもないのに、テレビを付ければちょっとした情報番組、バラエティ、ドッキリの対象、エアロビクス、なんでもやっていて、テレビを付ければ顔を出している印象だ。

ちゃんと調べていないが、フワちゃんは恐らく事務所に所属していない、マネージャーはいるのだろうか。

芸人でもないから営業もないのだろうか。
少なくとも劇場の出番などはないわけで、ネタを考える必要もないから、テレビに集中して出ることができるのだと予想はしている。

それでも、僕はラジオを主に聞いているので、フワちゃんのテレビでの活躍や振る舞いを詳しくは知らない。

そんな状態で、僕はラジオを聞き始めた。

フワちゃんのオールナイトニッポンX(クロス)

ミューコミ番組終了直後、とりあえずオールナイトニッポンX(クロス)を一通り、全曜日の初回を聞いてみた。

先にフワちゃんのラジオの基本特性について触れておく。

あのキャラクターに反してフリートークを用意して喋るタイプだ。毎回ツイッターでは、喋ることないどうしよう、というツイートが見受けられる。

でも、トーク自体はちゃんと面白い。
芸能界、テレビ、ロケの裏話、フワちゃんと親しいアンミカさんの話。そのほかにも、青山テルマ、指原莉乃などの芸能人とは頻度も多く遊ぶようで、よく話題に出てくる。話は適度に盛って、それなりに事実に忠実っぽい。

伊沢拓司が来た回はその盛り具合でケンカになっていたが。

還暦を過ぎても未だ頂点に君臨している明石家さんまは、面白ければエピソードトークは八割が嘘でいいとまで言っていた気がする。そんなわけで、芸能人のトークは盛ってなんぼのものなのだろうな、とは思っている。


コーナーも面白い。

僕の持論なのだが、面白いラジオには面白いリスナーが集まる。結果的に他のラジオでも名を馳せているハガキ職人がネタメールを送っている状態だ。

フワちゃんはとにかくよく笑ってくれるし、内容に関する受けのエピソードも提供してくれる、提供できなかったときは「できなかった」と言って失笑している、それも面白い。

ネタメールがコーナーの趣旨とずれると、本気で怒りだすようなところも笑える。

お笑いラジオと言うのは趣旨がずれていっても、メールが面白ければ採用されるという節がある。
そのせいでどんどん趣旨がずれていくメールが多くなって、結果的にコーナー自体が終了という形が多いのだが、裏を返せばスタンダードなネタが尽きてきたということでもあるので、終了するのは普通なのだと思う。


ここからは普通のラジオとは違った特性について書いていく。

さて、僕は初回から驚いた。

曲紹介に入り、しばらく聞き流ししようと思ったのだが、なぜかフワちゃんの声が被っている。そのまま曲をBGMに、彼女は一緒に歌い出したのだ。

ラジオというのは知っている曲を心地よく、楽しく聞いたり、自分の知らない曲と出会ったりする要素もあると思うのだが、なんと彼女はカラオケでもなく、原曲と共に歌い始めた。

衝撃だった。ラジオというのは曲紹介をしたら、しばらく曲のみが流れる。
こんなのめちゃくちゃ当たり前のことを書いていると思う。

一緒に歌うというのは稀にあるが、それは特別回だ。

直近で言えば、オードリーのオールナイトニッポンで春日の奥さん、くみさんが来たときに、星野源のFamily Songを二人で歌っていた。
面白かったし、感動的だったし、その後日談も面白かった。

しかし、このラジオは違う。ただフワちゃんが歌いたいから歌うのだ。
初回を聞いた時点で、これはずっと続くのだろうと予感させた。実際、その通りになった。

おかしい、ぶっ飛んでいる。

そして最後の最後までハイテンションで駆け抜け、エンディング。エンディングトーク考えてなかったと騒ぎ出して、どう終わるのかと思っていたら。

終わった。

突然終わったのだ。フワちゃんが話している途中、ぶつ切りで終わった。
頭から尻まで無茶苦茶だ。これ以上ぶっ飛んだ放送は聞いたことがなかった。


このラジオはラジオを聞き始めた歴が長ければ長いほど、可笑しくて笑えると思う。

「予測不能の4次元ラジオ」と銘打っているこのラジオはまさにその通りで、これまでのラジオの常識を次々と打ち破っていく、あり得ないことが起こりすぎて面白過ぎるのだ。

このラジオにツッコミは間に合わない。
全部に感想は書ききれないので、印象に残っている出来事や、従来のラジオではあり得ない、異常な部分を箇条書きで書いてみようと思う。


・オープニングトークが上手くいかずラジオ中に泣き出す、騒ぎ出す、暴れ出す。たしかAマッソ加納さんが最初に言い出したと思うのだが、曰く「発作」その後この言葉が定着。

・オープニングトークが上手くいかなかったところを、リスナーにいじられると怒り出して発作。

・トーク途中に水をガバガバ飲む、ツイッター、スマホ見る。

・リスナーのラジオネームを変えさせる。

・曲紹介をしたと思ったらその曲と一緒に歌い出す。流しているのは原曲ママなのでカラオケではない。

・歌いながら曲中にリアクションメールを読む。リアクションはするが、リアクションなしで歌を歌いに戻るときもある。

・曲の途中で曲を撒き戻す、と思ったら今度は早送り。

・オールナイトニッポンクロスはBittersweet SambaのAyaseリミックスが共通オープニングなのだが、ピアノ男というフワちゃんの友人に頼んで、更に音を重ねてフワちゃんリミックスにしてもらう。現時点で火曜~金曜までのオールナイトニッポンクロスでは唯一Ayaseリミックスではなく、フワちゃんの声をリミックスしたオープニング。

・毎週フワちゃんにゆかりのある芸能人や話題にあがった芸能人からジングルが届く。

・「むらかたののか、三歳です」というジングルを何回も流させる。その度、可愛さに発狂する。

・ネタコーナーで上白石萌歌(ラジオネーム ポリプロピレン)のメールが採用される。

・毎週台本をなくす。

・話の流れで、無断アップロードされているラジオを聞いちゃう。という旨を発言。直後に失笑してからフワちゃん曰く「今のはウッソー!」その後、動揺しつつもラジオを進行。

・大体の回はエンディングで喋っている途中、唐突にぶつ切りで終わる。

・ゲストにオードリーの春日を呼ぶ。その翌週の聴取率調査週間、スペシャルウィークで呼んだのはトンツカタン森本。

・放送中に「眠い」と言い出す。

・結局ラジオ中に寝る。

・座っていた椅子の背もたれを倒して、寝ながらエンディングに入って台本を落とす。

・放送直前なのにおならしているところの写真を撮ってほしらしかったらしく、スタッフに写真撮ってもらって、走ってブース入ってきて結局オープニングトーク駄目になって20分くらい発作を起こす。


ここまで書いたが、書き漏らしもあるかもしれない。
というか、おならしているところの写真撮ってもらいたいってなんだ。それでオープニングトーク失敗して発作ってなんだ。面白過ぎる。

とにかくラジオとして非常識だ。


直近の放送ではこんなことがあった。

僕はradikoで聞いていたのだが、CM明けのフィラーから戻らない、ずっと音楽が流れている。
この時点で、僕の口角は上がりっぱなしだった。

これは間違いなく何かあったぞ。

二分くらいで復旧して、機材が壊れていたらしいことを説明していた。

ちなみに、放送後に番組ツイッターをチェックすると、フワちゃんはラジオ中に、機材壊れてまーす。みたいなこと言ってる動画をツイートしてた。

予測不能の4次元ラジオは、機材までもぶっ壊してしまった。
とんでもないラジオだ。勢いよく駆け抜けて、一時間ずっと笑わせてくれる。


フワちゃんは、泣き出したり、コーナーで趣旨と違うメールが来て笑いながらも怒りだしたり、感情をとにかく素直に表現する……というよりは発現するというのが正しいのかもしれない。

基本的にフワちゃんはよく笑ってくれる。リアクションメールに対しても笑う、ネタコーナーでも笑ってくれる。聞いていて楽しい気持ちになるのは間違いない。

ラジオパーソナリティフワちゃん


フワちゃんのラジオパーソナリティとして好きなところはハガキ職人に対してリスペクトがあるところだ。

記憶は曖昧だが、こんなことがあった。

新コーナーを立ち上げ、例題をラジオ側が出すのだが、それらがあまりしっくり来なかったときだったと思う。

フワちゃんは、ラジオやってる私が言うのもなんだけど、と切り出して、数名、有名リスナーの名前をあげてから、私よりハガキ職人たちの方が面白いと思うから、よろしくね。
という旨を電波に乗せていた。

名前を呼ばれたハガキ職人も、ツイッターで任せとけ、みたいな具合に反応していた。

けれど、リスナーはモブキャストだと思う。スポットライトが当たるところに立っている時点で、フワちゃんは凄い。
バラエティに適した性格、才能と、経験で積み上げてきたものの結晶がラジオの冠番組という結果なのだと思う。主役のいない舞台なんて成立しない。フワちゃんは主役なのにモブキャストを立てるのだ。

先輩芸能人、いや、どんな人に対しても。
それは素人であるハガキ職人に対しても、その人の長所やキャラクターなどをしっかり認め、リスペクトを忘れないところがフワちゃんのいいところだと思う。

フワちゃんは無意識なのかもしれないが、同じ人に敬称を付けたり、付けなかったりする。
その人へのリスペクトと、自身のキャラクターを上手く両立させている結果が、敬称を付けたり、付けなかったりする理由だと思う。
また、仲のいい人に対して敬語も態度もフランクなのはもちろん、人によって態度を選んでいるような気もする。
これはフワちゃんを悪く言っているわけではなく、人との距離感がとても上手く取れる長所なのだと思っている。

これらが恐らくフワちゃんの素で、賢い部分なのだろう。

仮にこれが演じているキャラクターだとしても、エンタメとして面白いので僕は良いと思っているし、個人的にはどう考えてもこのキャラクターが嘘だとは思えない。

テレビで見ているときには、なんとも思っていなかったフワちゃんを、いつの間にか好きになりつつある自分がいた。


トーク不発で発作、リスナーのリアクションメールでいじられて発作、伊沢拓司とトークの取り合いして発作未遂。
多忙で眠い中、寝ながらでもラジオを放送してくれる、エンタメを提供してくれる。

そんなフワちゃんをいじりたくなり、成長していくのを応援したくなるラジオでもある。

次の水曜日

僕はこのラジオをとても面白いと思っているし、毎週何も予定がなければ聞いている。

しかしながら、いつ終わってもいいと思っている。
なんというか、この勢いで駆け抜けて欲しいと思うのだ。

だから、終わっても特に寂しいという感情は湧かないと思う。終わることを想像してみたけれど「あー、終わるのかー」というような感想だ。

終わったのなら、あの伝説のフワちゃんのラジオを聞いていたぜ、というキショいマウントを取れる、とまで思う。

もちろん、不祥事とかで突然終わるのは後味が悪いので嫌だ。最終回はちゃんとアナウンスしてやって欲しい。
あのキャラクターで不祥事なんて起こそうもんなら袋叩きだろう。その辺のリスク管理も上手そうな彼女ではあるが。


ラジオでは一回だけ、リアクションメールをフワちゃんに読んでもらった。好きなラジオで読まれるのはやっぱり嬉しかった。

次の目標はネタメールだが、有名リスナーに分け入らなければならないのは大変なので、採用されるぞ、という心持ではなく、あまり身を入れずに送ってみようと思っている。
これはすべてのラジオに言える文言かもしれない。


フワちゃんのオールナイトニッポンクロスという番組が終了するまでに、フワちゃんはどこまで成長できるのか。そしてこの勢いでどこまで突っ走ることができるのか。

次の放送では何が起きるのか。

どんなラジオの常識をぶっ壊してしまうのか。


ああ、もう水曜日が待ち遠しい。

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