組織再編税制の特異点①組織再編税制序章〜夢の中で、苦しんだ、ような・・・〜

こんにちは、公認会計士のなおです。

今回から、自分の勉強も兼ねて、組織再編税制についてのまとめをしていきます。

ターゲットとするのは、組織再編税制を専門にしている人ではない会計士や税理士の方、あるいは経理や経営企画の方です。

参考にするのは、この本になります。
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組織再編税制をあらためて読み解く—立法趣旨と保護法益からの検討

あまり、冒頭を長くしても仕方ないので、早速、序章を始めます!

<目次>

1.組織再編税制とは?

2.組織再編税制の制度趣旨を理解する

3.まとめだよ_次回、「それはとても大変だなって」

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1.組織再編税制とは?


組織再編税制とは、合併や分割などが行われた際に生じる課税関係を整理した税制度のことをいいます。

条文の構造が複雑なので、いまいち理解できていない人も多いかと思います。

そこで、このシリーズでは、そんな難しい組織再編税制について、少しでもわかりやすく解説をすることを心がけます。

以下で解説をしていきますが、まずは合併と分割についての基礎を押さえることがとても大事になってきます。

特に、適格合併と適格分社型分割を理解することが組織再編税制を理解するためのスタート地点に立つことである、と言っても過言ではないはずです。

しかしその前に、組織再編税制の制度趣旨を理解することがもっとも大事なことです。

この制度趣旨を理解をしない場合は、いたずらに条文や要件の暗記をしたり、理屈がわからずに実務に当たってしまうと思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。

実際、会計や税務に携わる方は組織再編税制のせいで、夢の中でも組織再編税制がでてきて、うなされる、みたいな経験した方がいらっしゃるかもしれません。

まさに、サブタイトルの〜夢の中で、苦しんだような・・・〜です笑。

組織再編税制に対しては、なんとなくさわりだけ理解して、すぐ忘れて、また実務ででてきて困る、ということを繰り返してしまっていることが多いのかもですね。

そこで、今回の連続シリーズで、なるべくわかりやすく、組織再編税制を学んでいけるような、そんな連載にしたいと考えています。

それでは長い長い旅の始まりとなります!!!


2.組織再編税制の制度趣旨を理解する。


組織再編税制はなんのためにあるのでしょうか?

あまりこういうことを考える人は少ないかもしれませんね。

しかし、税法も法律であるからには、なんらかの目的、つまりなんらかのことをさせようと促しているか、あるいはなんらかのことを禁止しようとしているのかのいずれかであるはずです。

これを、立法趣旨、と言ったりしますね。

組織再編税制の立法趣旨は、ズバリ二つあります。

①簿価承継した資産について含み損がある場合に、その含み損を利用した脱税行為を制限する。

②子会社に対して、含み損のある資産を譲渡したり、現物出資することで子会社株式の価値をあえて毀損させることで、(1)子会社株式に含み損を生じさせ、(2)もともとの含み損ある資産を譲渡することで、二重の含み損を利用することに対する制限をする。

税法では、①については5年にわたって50%超の支配関係がある場合は、含み損の利用についての制限を解除するようにしており、また、②については、将来にわたって子会社株式を継続して保有する意思があれば、問題ないこととしています。

紹介した本では、①については過去の要件、②については未来の要件と表現していました。

逆に、よく言われる、完全支配要件支配要件共同事業要件はどういうものになるのでしょうか。

これらは、簿価承継を認めるための要件となります。

簿価承継を認めるだけでは、含み損や繰越欠損金の利用などの一番重要なところについては何も言っていないことになりますよね。

ですので、組織再編税制では、まず、この二つの要件と制度趣旨を理解することがとても重要になります。

逆にいうと、この二つの制度趣旨を害さないようなケースの組織再編であれば、過去の要件や未来の要件は課されないことになります。

このように、複雑な要件がある場合の制度を理解するためには、その制度がなぜ作られたのかを理解し、その趣旨に反しないようなケースであれば、要件は課されないのではないか、というような発想がとても重要になります。

3.まとめだよ_次回、「それはとても大変だなって」


組織再編税制の1回目どうでしたでしょうか?

あまり長いと読まなくなってしまうので、なるべく短く記載することを心掛けるつもりです。

本稿で重要なポイントは、

①簿価承継による含み損を利用するためには
→50%超の支配を5年超行う必要があること

②子会社株式に含み損が生じてしまうような組織再編行為において
→子会社株式を継続して保有する意思が必要なこと


の二つとなります。


次回からは上記の制度趣旨をベースにして、個別の再編行為に関する要件などを解説していきますね!

引き続きよろしくお願いいたします。

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